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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後5年目
700/1300

700 星暦556年 緑の月 29日 久しぶりに船探し(12)

取り敢えず、神殿の地下にあった物は明日シェイラに見せてから持ち出しを考えることにして、先に裏口の奥にあった神殿長の住処と思われる建物を見に行くことにした。


ネコババした神殿長が慌てて逃げる前に荒らしたであろう家の中を探してもあまり歴史的検証は出来ない可能性が高い気もするが、神殿の中の方がまだ取りつくっている可能性があるからシェイラに見せようって話になったんだ。


とは言え、神殿長の家の中に宝物があったらどうするかは微妙なところだが。

どうせ海中では学者たちが発掘作業は出来ない。


映像用魔具で色々記録してから物を持って帰るのがせいぜいかな?

持って帰ったブツを売るか否か、かなり悩ましい事になりそうだが。

換金性が高い物が沢山あった場合は、下手に歴史学会に言わないでさっさと売っちゃう方が良いかもという気もしないでもないが。


キンキラキンな宝を歴史学者が見つけても、あの連中だったら換金性よりも歴史的価値が高い物を優先して警備しつつノンビリ研究して、気が付いたら誰かに盗まれてそうだ。

他に類似遺跡があってまともな研究が出来るとか、ちゃんと警備の整った国立博物館に展示できるだけの価値があるって言うなら譲っても良いが、漠然と『古いから調べたい!』とだけ頼まれるのは遠慮したい。


まあ、魔力が微妙に残っていた魔具は研究用に暫く俺たちの手元に残しておくかな?


神殿長の家(多分)は流石に狭い島の上なだけあって、偉い人の屋敷としてはあまり大きくなかった。

平屋だったし。


玄関の扉は無くなっていたが、入って右側にあった扉は廊下に傾いて残っていた。


「応接間ってところかな?」

覗き込んだシャルロが周りを見回しながら言った。


「でしょうね。

ソファだったかと思われる枠組みとローテーブルとかがあるから。

残念ながら飾られていたと思われる花瓶とか置物は割れているけど」

後に続いて入ったケレナがゆっくり部屋の中を歩き回りながら言った。

外側への窓がすべて割れているから、部屋の中の物は島が沈んだ際に流れ込んだ海水に全部一度流されて壁に叩きつけられたんだろうなぁ。


そう考えると、地下室か隠し金庫にでも入っていた物以外は全滅かな。

ちなみに応接間なので流石に隠し場所は無かった。


廊下に戻って左側の扉を開けてみるとそちらは書斎だったのか、本棚っぽい作り付けの家具の残骸があったが、書籍類は完全に海水に溶けたのか、残骸すら無かった。

そこそこ元は立派そうだった机はあったけど・・・考えてみたら、神殿長ってどんな書類作業があったんだろう?

まあ、神殿の出納管理責任とかはあったんだろう。

ネコババする為には二重帳簿とかも必要だっただろうから、意外とこの部屋も活用されたのかも知れない。


ずっと昔の話なので、自分は海神さまの子孫だとか言って神殿の宝物は全て自分の物って言い張れた可能性もゼロではないが。


どの程度神殿を私物化出来ていたのか、ある意味興味があるところだが・・・記録は残っていないだろう。


「お。

ちょっとまった」

本棚の奥にあった隠し金庫に近づく。

薄い石板で覆っていたので露になっていなかった。


鍵は当然機能していなかったので、ナイフを差し込んで石板を動かし、開いてみたら・・・両手一杯ぐらいの真珠と、多分元は紙であったぐちゃっとした泥もどきな何かがあった。


「意外だな。

真珠はあまり価値が無かったのか?」

宝を持ち出す際に残したと思われるが。


「他にも色々ありすぎて、持っていけなかったんじゃないか?

真珠は国によって価値が大分変るし、この神殿があった国では海神さま関連で集まってもあまり換金価値は無かったのかも知れない」

アレクがコメントした。


なるほど。

宝石類は流行りとか偉い人の好みとか希少性に価値が左右されるからな。

海関連の神殿だったら真珠が入手しやすかったものの、市内での換金価値はそれ程高くなかったのかも知れない。


「ふむ。

取り敢えず、蓋をしておくか」

石板を戻して次へ。


奥の部屋はダイニングルームと台所だった。

それなりに見栄えが良かったのであろう飾り棚と沢山の陶器らしきものの破片があったが、ここも窓から流れ込んだ海水に負けたらしくって無事な物は全く見当たらなかった。

それなりに大きな破片はあったから、学者とかだったら継ぎ接ぎして色々と研究するかもだが。


こう考えると、沈没船って甲板から何重にも扉があって水の勢いが抑えられた上に箱に梱包されていたりしたお陰で陶器とかも無事に残っていたんだなぁ。

普通に建物が海に呑まれると割れモノは全滅すると言うのは考えてみたら当然な事だが、初めての経験なので想定外だった。


ダイニングルームの横にあった廊下を進むと離れっぽくなってそちらに寝室が幾つかあった。

神殿長と家族とか付き人の寝る場所だったのかな?

一番大きな部屋に、地下室があった。


掘るのが好きだね~。

まあ、海のど真ん中にある小さな島だからね。

下手をしたら嵐で家が洗い流される可能性だってゼロではないから、地下に大切な物をしまう習慣があったのかも知れない。


さて。

どのくらい物が残っているかな?


真珠ってずっと海水に浸かってても大丈夫なんですかね??

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― 新着の感想 ―
[一言] ミキモトのサイト等を確認すると 真珠の寿命は20〜30年だそうです 形は残っていても艶、輝きは失われるそうです また、有機質なので酸やアルカリにも弱いので 海水に浸されてるならますますアウト…
[一言] 真珠は湿度が必要なはず、宝飾店でもケースの中に水の入ったコップとかいれてた(今は湿度調整)
[一言] 真珠は炭酸カルシウムなんで、手垢つけるだけで駄目になりますし、 長い間海の中の浸かってるといろんな物(珊瑚とか)がくっ付いて駄目になると思います。
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