表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後5年目
679/1298

679 星暦556年 緑の月 5日 人(+盗品)探し(3)

「ここが通信室です」

兵に案内された部屋は意外に広かった。

3つほど通信用魔具が設置された台があり、その傍に机まで置いてある。

周囲に音が漏れないように防音結界まで展開できるようになっていたし、入り口には防御結界と探知結界が設置されている。


中々厳重な管理がされているが・・・ある意味、重要な場所であるというのが一目で分かるな。


王宮の結界内は特別に定められた魔術以外は起動しにくい様になっているから大丈夫かも知れないが、戦争時だったりしたら、何も知らなくても嫌がらせとして外側の壁に爆弾でも仕掛けようと思われそうだ。


しかもそれだけ頑張って色々と結界を張ったのに、襲撃を受けたお蔭で部屋の中は色々と破片が散らばり、煤や血痕で汚れているし。


誰か死んだのか?

いや、魔具が一応ほぼ原形を残していることを考えると、中にいた人間も怪我はしても死んでいない可能性が高そうか。

だとしたら、まずは怪我だけで済んだここの人間に真実を漏らさず話すよう誓約魔術を掛けて尋問すべきだろうと思うが・・・まあ、そこら辺はあの爺さんのことだ、抜かりはないだろう。


ウォレン爺に見せられた暗号用魔術回路を脳裏に浮かべながら、心眼サイトでざっと部屋を視て回る。


各机に隠し引き出しがあり、何やら紙が入っている。

暗号用のコードか何かかね?

どの机にも紙が残っているから、この紙は無くても暗号を解読できちゃうんかな?

もしくは隠し引き出しになっているが単なるメモ用紙なのかも知れないが。


右側の壁に掛けてある絵の後ろにも隠し場所があるのが視えた。

金庫になっていないのは、魔力探知で金庫の場所がバレやすいという最近の考え方に従って固定化や強化の術を掛けない為なのかな?


中にはナイフと・・・パンしか入っていないが。

何だってパンを隠す???

残業時の緊急食なのかね?


隠し場所じゃなくって単なる引き出し代わりに使っているのか??

壁に掛けてある絵の後ろなんて、日常的な収納場所には向いていない気がするが。

パンなんぞ、すぐにカビるぞ?

カビないような長期保存用のパンは、固くてぱさぱさで食えたもんじゃないし。

それだったらシャルロお勧めの缶入り焼き菓子の方が美味しい上に長持ちすると思うけどな。


まあ、俺の知った事じゃあない。

通信用魔具の台に据え付けられた隠し引き出しの紙に関しては、暗号用のコードだったりしたら下手に読んだら後で面倒なことになりそうなのでそちらも無視。


最後に通信用魔具を確認する。

そう言えば・・・。

「ちなみに、この襲撃の後にこれらの通信用魔具から暗号用魔術回路は取り出してあるのか?」

取り出して安全な場所に動かしていなかったせいで、他の場所を探している間にこっちのを盗まれたりしたら馬鹿すぎて笑える。


「勿論です。

通常の業務規定に従って暗号用魔術回路は業務時間外に保管する場所へ動かしてあります」

案内してくれた兵が頷いた。


まあ、そうだよな。

というか、襲撃犯もその保管場所から盗めばよかったのに。

この部屋を襲撃できるだけの伝手が王宮内にあるんだったら、暗号用魔術回路の保管場所への伝手もありそうなもんだが、権限が足りなかったんかね?


通信用魔具をしっかりと心眼サイトで確認する。

色々と魔術回路が入り組んでいて分かりにくかったが、少なくとも暗号用魔術回路の大きさと密度に合う魔術回路は無かったので、ここには隠されていないようだ。


さて。

西棟が空っぽになるまではあちらを始めてもしょうがないから・・・取り敢えず、国の最新設備であると思われる通信用魔具の仕組みや魔術回路をちょっと視させてもらおうか。


仕組みそのものを活用させて貰ったらヤバいだろうが、考え方を参考にするぐらいだったら誓約魔術にも引っかからないだろう。


まあ、しっかりメモを取れるわけではないのでどれだけ覚えていられるかは不明だが。


ちゃっかりしているウィル君w

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ