表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後4年目
613/1298

613 星暦555年 橙の月 30日 忠誠心?(14)

ちょこちょこ魔術院や軍の情報部に呼び出されたり、虫除け・殺虫用魔具を製造・販売を始めた後のちょっとした問題点の対応、次の魔具開発についての話し合いなんかをしている間にいつの間にか月が終わっていた。


という事で俺は完成版の携帯型虫除け魔具を複数持ってシェイラの元へ遊びに来ている。

流石にもう南部でも蚊は居なくなったが、まだ多少は羽虫や蝿がいるらしいので虫除け魔具はあっても無駄では無い・・・筈だ。


「へぇぇ、大きいのをがっつり高いのを売るんじゃなくて小さいのを多数売るって違法な呪具にも共通する考え方なのね」

シェイラ的にはザッファの連中の事業モデルに中々感心しているようだ。

露骨にがっつり儲けると真似をしたり邪魔をしたがる連中が出てくるので、小さく沢山売って『全部足したら実は・・・』的に儲けるというのは商売の手法としても《《あり》》らしい。


「アファル王国では今まで類似した解呪用魔導回路の特許が無かったから50年は革新性を認めて特許を受理し特許料を払うが、その後は余程の改善でない限り特許切れ扱いで自由にその魔術回路の利用と応用を広く認める、とあちらの魔術師団体と解呪用魔具を作っている大手工房に通告したらしい。

そんでもって細かい解除用魔具を大量につくるのに付き合う気はないし、直接交易に関係ない国民に負担を負わせるのも違うだろうって事になった。だから交易税の一部から高機能解呪用魔具の高出力なのを作成させて、それらを掲示板や各種ギルド、神殿や騎士団の拠点といった人が集まる場所に設置することにしたそうだ」


国が東大陸との交易で儲けた商人から金を集め、それで対応用の魔具を作ることにしたのだ。

東大陸との交易のせいで流入してきた呪具なのだから、その収益で対応策を講じるのも悪くない考えだろう。


「ついでに全市民にちゃんと掲示板のお知らせを読ませることも出来たら、ラッキ~というところね」

シェイラが笑いながら付け足す。


東大陸から入ってくる呪具に関してはこれから数年間その危険性と対応策(その影響を解除するために定期的に掲示板やギルドに行く必要があり)を周知させるために繰り返し大々的に広報していく予定らしい。


数年経って完全に周知されたと見做された時点で、ちゃんと掲示板やその他の街中で人が集まるところに設置してある解呪用魔具があるところに寄りつかなかったせいで呪具に惑わされて違法行為をした場合、本人にもある程度責任があると見なされ、完全な免責は無くなるそうだ。


国やギルドとしては掲示板やギルドのお知らせに興味を持ってくれない人間に頭を悩ませていたから、丁度いいと喜んでいるらしい。


とは言え、解呪する為にギルドや掲示板の所に行ったってそこのお知らせを読んだり話を聞いたりする必要はないし、読んでもちゃんと理解するとも限らない。


多少は国やギルドの広報活動が楽になるかも知れないが、人の話を聞く気が無い連中は大して変わらない気はする。


「虫除け魔具も完成したし、東大陸関連の話も収まったけど、次はどうするの?

呪具発見機でも造る?」

笑いながらシェイラが聞いてきた。


「う~ん、もうすぐ年末だから今月は適当にアイディアを練るだけで本格的な活動は来年からかなぁ。

呪具発見機・・・というか精神汚染になっている人間を見つけられる魔具が出来たら便利だろうけど、精神に関連する魔具は一歩間違うと禁忌規制に引っかかるから難しいんだよなぁ」


高出力解呪用魔具がどの程度しっかり機能しているかを確認する為にも、精神汚染を確認できる魔具を作れたら軍部とかギルドとかが喜んで買ってくれそうだが、・・・精神へ働きかける魔具は基本的に違法だ。


働きかけを見つけるが絶対に働きかけ自体をしない魔具を創るのは中々難しいし、難しいから過去に申請された特許もあまりない。


だから特許切れになった魔術回路を改善するといういつもの手も使い難いから、大変そうなのだ。


まあ、記憶を呼び起こす魔具の研究をした際に多少はそれに近い魔術回路をある程度は見たが。

それでも精神汚染までいくようなヤバいのは見かけなかった。


「ちなみにシェイラはいつまでこっちにいるんだ?

年末の休みには王都に帰ってくるんだろ?」

シェイラ本人としては年末年始の休みにもこちらの遺跡で他の学者バカたちの面倒をみずにがっつり思う存分発掘作業をしたいらしいが、年に一度ぐらいは顔を見せに行かないと家族が煩いと言っていた。


下手に他の時期に会いに行くよりは、人が集まる年末に行く方が家族の方も忙しくてシェイラに色々煩く言い募る暇がないので都合がいいらしい。


寒い時期になって来たし、魔術学院の温泉にでも連れて行って楽しもう。

・・・ちゃんと掃除されているか、確認しに行っておくか。

冬の休暇で人がいなくなっていて掃除が手抜きされている可能性もあるかも知れない。


国が対処をしてくれるとは言っても、『万が一』の為に本店には解呪用魔具を設置する商会が出てくるでしょうから、やっぱり多少は民の負担が増えそう。

とは言え、香辛料とかが以前より安く出回る様になったんで、食べるのが好きな人ならプラマイゼロかな?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ