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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後4年目
557/1297

557 星暦555年 青の月 10日 結婚式の映像記録

ちょっと話が脇道にそれてますがそのうち戻る予定なのでサブタイトルはそのまま続けます。

12月22日追記:次の話の都合上、サブタイを変更しました。

「へぇぇ、これも試作品なの?」

王都に遊びに来たシェイラが俺の持参した焼き菓子をお皿に乗せながら聞いてきた。


普段はシェイラが遊びに来た際には適当に美味しい菓子とお茶を出す喫茶店やシェイラのお気に入りの食事処に行くのだが、現在は撹拌機ブレダーの試作品を色々作っている最中で大量に『混ぜた結果』の良し悪しを判断する為にデルブ夫人が色々な焼き菓子を1日中作りまくっているせいで、その処分の為に今日はシェイラの部屋でお茶をすることになったのだ。


流石元侯爵家の料理人だけあって、『試作品』と言っても十分美味しいしね。

はっきり言って俺には最初の試作品からその後怒涛の勢いで生産され続けている試作品の味の違いなんぞ殆ど分からないのだが、シャルロとケレナ(とデルブ夫人)にとっては色々と違いが感じられるらしく良く分からないことをデルブ夫人と話し合いながら細かく撹拌機ブレダーを連日調整しているところだ。


はっきり言って、俺的には2日目に出来た試作品でもう良いんじゃないかと思ったんだけどね。

『超一流店に売り込もうと思っているんだから、時間と労力の節約になるだけでなく、手作業よりも美味しいものが作れなくちゃ使ってもらえないよ!!!』というシャルロの熱意に負けて色々とイマイチ違いすら分からない微調整を続けているところだ。


そんな訳で言い出しっぺながらそろそろ熱意が薄れてきた俺は、シェイラにちょっと愚痴を言っていたところだったり。

まあ、食べ物に関しては俺が一番無関心だからな。

アレクですら、シャルロの言い分に納得して何も言わずに細かい試作品づくりに従事しているんだから俺が文句を言える訳はなく。

愚痴すら言えず密かにちょっとストレスが溜まっていたところだったので、シェイラが久しぶりに遊びに来てくれたのは助かった。


「それだけ食べ物に無頓着なウィルが惚れ込んだんだから、流石はドリアーナよねぇ」

お茶を注ぎながらシェイラが感心したように呟いた。


確かにね。

あの美味しさは何か今までに体験したことにない感動だった。


とは言え、シャルロが俺には違いが分からない焼き菓子の違いを色々とデルブ夫人やケレナと話し合っているのを見ると、もしかしたらあそこまで超一流じゃない食事処でも俺にとっては違いが分からないぐらい美味しいのかも??と密かに考えているところなんだけどね。


「そう言えば、折角記録用魔道具を作ったんだから、遺跡での発掘現場での記録と同じようにそれで王太子の結婚式も記録したら?

私も折角ならちょっと見てみたいわ。

一度しか見ることが出来ない特別な風景であることは違いないんだから、記録しておいたら将来子供とかに見せるのに良いと言って言って売り出しても良いと思うし」

シェイラが悪戯っぽく笑いながら提案した。


ふむ。

確かに、王太子の結婚式なんて一生に1度か2度程度のお祭り騒ぎだ。

記録したら買いたがる人間はそこそこ出てくる可能性は高いが・・・。

「映像その物は記録しても複写できないから売り出すのは難しいな。

でも、記録した映像から画像を出力して本にでもしたら良いかも知れない」

俳優の姿絵を色々と出力する為に金持ちファンな奥様方が出資して改良させた技術は、元々姿絵を出力するだけの精度を持っているのだ。


先日開発した、更新できる記録用魔道具を使えば良さそうな場面の画像を出力して本にするのもそれほど難しくないだろう。


・・・問題は、どうやってその映像を記録するかだな。

王太子の結婚式が行われる神殿の中になんぞ俺たちは入れないし、例えシャルロがコネを使いまくって参席するのに成功したとしたって勝手にその映像を記録したりしたら不味いだろう。


街中のパレードの場面だって道が混みまくっているんだから王太子夫妻の後を追って映像を撮りながら移動するのは不可能だろう。

空からだったら視界を遮る物も少なくっていいと思うが、ただでさえ王都の中で勝手に空滑機グライダーを飛ばすのは禁止されているのに、王太子の結婚パレードの最中に近辺を飛んでいたらあっという間に撃墜されてしまう。


「う~ん、技術的には十分可能だと思うが、記録すること自体が難しいなぁ」

考えながら呟いたら、シェイラが肩を竦めた。


「まずはアレクか彼の実家にでも売り出しを相談したら?

そういう記録だったら素人がやるよりも劇場とかで俳優の絵姿を記録している担当の人間とかの方が上手いだろうし、彼らの方が売れる画像とかを見極めるのも上手いかもしれないからそちらの人間も引き入れたほうが良いと思うわ。

ただし、記録から売り出しまでの流れをきっちり決めておいてから、王宮なり商業ギルドなりに許可を取る話を持って行かないと、アイディアだけ盗られてウィル達には何も入ってこない可能性が高いと思うから気を付けた方が良いでしょうけどね」


確かに。

ただなぁ。

例え許可が下りたとしてもどうやって記録を撮るかは問題だよなぁ。

あまり上空高くからじゃあ画像が荒くなりすぎるが、かといって王太子の馬車のすぐそばに空滑機グライダーを飛ばしたりしたら邪魔過ぎるだろう。


まあ、取り敢えずは相談だな。


食べ物に関してちょっと無頓着なウィル君は、料理関連の道具を作るのには実は向いてなかったw

シャルロが拘りまくってくれているからお菓子関係の道具は良いのが出来る可能性が高そうですが、この調子じゃあそれ以外の道具は超一流店が使ってくれるようなのを作るのは難しいかも・・・。

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― 新着の感想 ―
[一言] カメラマンだなあw 王家の方がむしろ欲しがるかも 両親の結婚式の時とか、子供達が大きくなった時に見せたり出来たら、楽しいだろうし
[一言] >超一流店が使ってくれるようなのを作るのは難しいかも・・・。 その超一流店から監修の料理人が派遣されてくるかもw 既存の作業を大幅に楽にする上に味まで向上させるのなら、「こんなのが欲しい」…
[一言] 望遠鏡のようなものは既存のものがありそうだけど、それを参考に望遠レンズとか作れないのかな? レンズをガラス、筐筒は金属製だと重くなりそうだから、魔術的な方法で。 まぁ、戦略物資扱いで、一般流…
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