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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後4年目
526/1297

526 星暦555年 紫の月 1日 確認作業は重要です(5)

地上を小指の先程に小さな人影が歩いて行くのが見える。


空滑機グライダーが見つからないように、太陽を背にしてかなり上空を飛んでいるので人影の詳細は分からないが、取り敢えず追跡さえ出来れば良い。

「最後に出てきたうちの3人が、集団から外れていっているな」

と通信機を使って街にいるアレクとシャルロに伝える。


誰が最後に防壁を出たのか、門に居る衛兵に確認しておいてくれるだろう。

元々、住民が防壁の外に出ることは禁じられていない。

勝手に拠点を作られたりしたら困るので、出て行った人数が戻ってきた人数と一致することを確認する為に門に居る兵士が通る人間の顔を見て人数も記録しているが、防壁の外へ出る理由である依頼の確認はしていない。


というか、依頼証を一々各人に渡したりしていないので依頼と出て行く人間を一致させようと思ったら通信機で仕事斡旋所と1人ずつ確認する必要があり、そうなると手間も暇も掛りすぎるのだ。


かといってそこまで安くは無い紙を使い捨てにして1人1人に毎日の仕事の依頼証を書いて渡していたら費用が高く付きすぎる。

外で肉体労働をして汗だくになる人間に持たせたら紙が直ぐにボロボロになってしまうので、ほぼ確実に使い捨てになるらしいのだ。


木の札でも渡したらどうかとジャレットに提案してみたが、そんなものは簡単に複製出来てしまうのであまり意味が無いと言われた。


支払を受ける為の作業完了証はちゃんと働いた人間1人ずつに渡されるので、それで十分だと思っていたそうだ。


どうせまだ小さな港町なので、住民のほぼ全員が顔見知りだしということで特にそれ程真剣に調べる必要性も感じていなかったらしい。

『畑仕事の手伝いで』と出る理由を言われたらそれをそのまま信用していたそうだ。



昨日記録を調べるまで、何人かの人間がほぼ毎日目的不明な理由で防壁の外に出ていることに気が付いていなかったので、これから現実的な対応策を考えるとジャレットは言っていたが。


第一、王家直轄地であるこの島では勝手に拠点を作ることは禁じられているが、島の上を歩き回ることは明確には禁じられていない。


王家にしたって住民なり新規事業を考えている商会なりに、島で何か稀少な植物や使い勝手の良い土地を見つけて更に直轄地を発展させる提案をして貰えるのなら、それは有り難いことであるのだ。

島の中を探索することは禁じるどころかある意味推奨したいぐらいな行為なので、イマイチそれを規制する方向に頭が向いてなかったらしい。


「西の方の森に入って行った」

畑仕事にいく連中から離れた人影が森に入って行ったので、少し高度を下げる。

木が邪魔で、もう上を見上げても空滑機グライダーが見えないだろう。


代わりに俺も連中が目視できないのだが、それは心眼サイトがある。

その為に俺が早くから空に待機して、追跡する役をやることになったんだから。


幸い、この島には人間サイズの動物は居ないので大きめの生命の光が動くのを追っていけば良いだけだから楽ではある。


これで山羊とかが脱走して勝手に山や森に住み着くようになったら段々心眼サイトによる探索が面倒になってくるんだろうなぁ。


出来ればそんなことが起きる前に問題が全て発覚して潰されてくれると良いんだけど・・・。

まあ、山羊を脱走させないのが一番良いんだけどね。

今まで山羊が居なかった環境に山羊を放したら、下手したら大繁殖して環境のバランスを崩しかねないだろうし。


「お、動きが止った」

ふと見ると、森に入った3人組が足を止めていた。

良く見ると、ここだけ森が切り開かれた感じになっている。

見つからないように高度をあげ、太陽を背にするように位置を調整して森の中にぽっこりできた空き地を上から覗くと、何やら草が生えているっぽい。

まあ、森の空き地に草が生えているのは当然なのだが、男達の腰ぐらいまである草が畑みたいな感じに規則正しく植えられている。


「森で何本か木を切り倒して栽培所を作ったのか、偶々木が倒れて出来た空き地を見つけてそこで栽培することにしたのか知らないが、何かを育てているのは確実っぽいぞ」

通信機でアレク達に報告した。


「分かった。

ジャレットに報告しておくよ。街に帰ったところを尾行して、販売経路に関しては誰が関与しているかを調べれば直ぐに解決できそうだ。

お疲れ様。帰ってきて良いぞ」

アレクからの返事が通信機から聞こえてきた。


「了解~」

さて。

夜の捜査はジャレットの方でできるかな?

それとも手伝いが必要か?

まだ開発メインな陣営で、こっそり麻薬の売人を追いかけられる技能を持った人間がいるかちょっと微妙ですね~。

まあ、警備隊にそれっぽいのがいるかも知れませんが。

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