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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後3年目
499/1294

499 星暦554年 桃の月 18日 どうしようか?(6)

情報部の長老モドキなシャルロの大叔父さんの視点です。

>>>サイド ウォレン・ガズラート


「ウォレン叔父さん、お久しぶり~。

王都に戻ってきたんだね」

やっとザルガ共和国との交渉その他諸々も終わって落ち着いたので、焼き菓子で有名な喫茶店で久しぶりにシャルロと待ち合わせした。

そこそこ長い間あの新しい補給島に島流しのような形になってしまったが、変わらず元気そうで良かった。


もうすぐ新居を構えるはずだが・・・何か必要なのだろうか?

まあ、いい年をした大人のだからあまり口出しをしたら怒るかもしれんな。

だがこやつらはちょっと暢気だからなぁ・・・。


焼き菓子とお茶を頼んだ後、そんなことを考えていたらシャルロが手に持っていた鞄から何やら長細い筒のついた魔道具(?)の様な物を取り出した。

「そう言えば、ウォレン叔父さんの知り合いも家捜しで隠し金庫とか見つけようとすることがあるんでしょ?

この探知魔道具をちょっと作ってみたんだけど、試してみて何か使い勝手に関して思う事があったら教えてくれない?

税務調査の人にも試作品を渡したんだけど、折角だから叔父さんも機会があったら試してみて?」


渡された魔道具をまじまじと眺める。

何だこりゃ?

態々筒がついていると言うことは、この中を覗き込むのか?

「隠し金庫を見つけられる魔道具なのか?」


シャルロがちょっと首を傾げた。

「隠し金庫っていうか、魔力を探知して光るようになっているんだ。

基本的に金庫って隠していても隠していなくても、固定化された金庫を買ってきて壁とか床とかにはめ込むってウィルが言っていたから、金庫を買ってきてはめ込んだんだったらその傍にこれを寄せたら固定化の魔力を探知して光る・・・ように作ってあるの。

ただ、よっぽど強力な術を掛けた金庫じゃ無い限り、弱くしか光らないから、光ったら目立つように筒を付けてる訳。

最初は大きな箱の中に入れて真っ暗にしてその中に頭を突っ込んで動き回って貰おうとしたんだけど、ちょっとあまりにも使い勝手が悪かったから筒で光を遮って何とか見えなくは無いぐらいにしてみたんだ」


ほおう?

魔力探知ね。

それはそれで面白いかも知れない。

「面白そうじゃの。

ちょっと若いのに試させて、使った感想を報告させよう」


店の者が焼き菓子とお茶を持ってきたので、取り敢えず渡された魔道具をテーブルの上からどける。

「あ、あまり魔力を垂れ流す人が持つと持っているだけで光っちゃうから、使う前にまずは自分の体にあててみて光らないのを確認してから使ってね」


◆◆◆◆


「ガズラート老。

お疲れ様です。

今日は何か約束がありましたかな?」

第3騎士団本部をぶらついていたら、副団長の部屋から声が掛ってきた。

お。

丁度良い。


「うむ。

約束は無いが・・・ちょっと試したいことがあってな。

お主、この部屋に金庫を持っておるじゃろう?

ちょっと探させてくれ」

自分の家にも隠し金庫はあるが、どうせならば場所を知らない金庫をこの魔道具で探せるのか、試してみたい。


「はぁ?

金庫ですか?」

副団長が目を丸くした。


「うむ。

金庫というのは殴ったらあっさり壊れるようじゃあ意味が無いじゃろ?

だからああいうのは全部固定化の術が掛っているんだそうじゃ。

で、この魔道具はそういった術の魔力を探知出来るという話なのでな、本当に探せるのか試してみたい」


副団長の目が考え深げに細められた。

「隠し金庫を探せるというのは・・・便利かも知れませんね。

まあ、本当に大切な物は金庫の中に隠したりしては駄目ですが」


取り敢えず、本棚か絵画の後ろが一番怪しいだろうと壁沿いに魔道具を動かしていく。

う~ん、この筒の中を見つめながら壁一面を調べるのもそれなりに苦痛だな。

若いのを連れてきてそいつにやらせれば良かった。

この部屋で上手くいったら、副団長に預けて適当に若いのに試させよう。


右側の壁を探し、特に何も反応が無かったので反対側の壁沿いに動かしていったら暖炉の上で微かに筒の中に光が浮かんだ。

なるほど。

こういう感じになるのか。

暖炉の裏に手を伸ばし、隠し場所を探してみたら煉瓦が一つくりぬかれていた。

うん??

金庫にしては小さいぞ?

そっと手で探ってみたところ、何やら小さな箱形の物が指先に触れたので取り出してみた。


「そんなところに金庫はありませんよ?」

ちょっと笑いを含んだ副団長の声が後ろから聞こえてくるが、声を出さぬよう手で身振りしながら、取り出した箱を机の上においた。


シャルロから渡された探知機をその上にかざしてみると、さっきよりもはっきりと光っている。

魔道具なのだろう。

副団長に身振りで身に覚えがあるのかと尋ねたら、首を横に振られた。


「ふむ。

どうもちょっとこの魔道具は使い勝手が悪いの。

首が痛くなってきたので、ちょっと食堂で軽くお茶でも飲みながら休むぞ。

お主も付き合え」

怪しげな箱は机の上に残し、副団長に部屋を出るように身振りで指図しながら部屋を出て、鍵を掛けさせる。


「どうやらお主に見覚えの無い魔道具が仕込まれていたようだな。

盗聴か、それとも暗殺か。

至急確認した方が良いだろうな」

偶々調べた情報部の副団長の部屋にだけ魔道具が仕込まれているとは考えにくい。

もっとこの探知機をシャルロから貰ってこないと、他の部屋を調べるのも大変だな・・・。



情報部の上層部の部屋に魔道具を仕込まれちゃうなんて、大顰蹙ですね~。

ということで、これから大騒ぎになって徹底的に探し回ることに。


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