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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後3年目
491/1294

491 星暦554年 橙の月 21日 相談?(3)

「アレクにパラティアと話す時間を設けるように頼んで欲しいのか?」

シェフィート商会はサリエル商会を嫌っているけどね。

まあ、代替わりして大分嫌悪感が薄れたようだし、アレクは前会頭による嫌がらせには直接関係ないパラティアに嘘を教えたりするような人間ではない。


聞かれた以上のことを自発的に教えてくれるほど親身にならない可能性も高いが。


パラティアが小さく首を横に振った。

「いえ、流石にそこまでお願いするのは気が引けますから。

ウィル様がご存じな範囲で良いので教えていただけませんか?」


おお~。

常識的な答えだね~。

とは言え、俺もあまり知らんぞ。

商業関係の事は基本的にアレクに任せちゃってるから。


「まあ、お前さんにとって一番無難な働き方と言えば、サリエル商会の専属魔術師になることだろうな。

給料は普通の一般的な専属魔術師のと準じた基準にしないと商業ギルドとかからクレームが来るらしいからあまり給与レベルに関して深く悩む必要も無いし。

少なくとも、サリエル商会で働くんだったらうっかり何かポカをかましてもクビになるとか損害賠償を請求されるとか言う可能性は低いだろうし、妊娠したとか体調を崩した時にも仕事を休みやすいだろう」

というか、魔術師って妊娠したらどうなるんだ?

魔道具を作るのには特に関係ないが・・・召喚術みたいに、術によっては妊娠中の女性は行使しない方が良いかもしれないと言われている魔術もあったような気がする。

あんまり真面目にそこら辺に関しては聞いてなかったから良く憶えていないが。


まあ、どちらにせよ、シャルロによる義姉の妊娠苦労話によると女性にとって妊娠っていうのはかなりきついらしいからなぁ。

通常通りに仕事を続けにくいのかも?


とは言え。

どうも俺の言葉はパラティアにとってはイマイチ満足のいかない返答だったらしい。

「サリエル商会で働くのが一番楽だろうというのは分かっておりますわ。

それ以外の選択肢を選ぼうとしたらどんな事が可能なのかを知りたいのです」


家族と上手くいっていないのかね?

それとも、単に自分の可能性というものにもっと賭けてみたいのか。

「基本的に、商会出身だと魔術師の家系とか他のギルドの職員の家系とかに比べると商売に関する常識的知識が多い可能性は高いだろうね。

お前さん本人が知らなくても少なくともパラティアの親父なり兄貴は確実に事業を行う上での手続きとか補助金とか納税制度とかの詳細を詳しく知っているだろうから、気軽に質問できるはずだ。

だからまあ、自分で独り立ちするにしても、誰かと一緒に事業を始めるにしても、それなりにプラスではあると思うぞ。

ただし、魔術師としての一般常識は魔術師の家系出身の人間よりは欠けるだろうからそこらへんは気をつける必要があるし、事業関連の事だって魔術師としての事業と普通の商会の事業では色々違いがあるだろうから魔術院の相談所を積極的に活用するのが正解だろうな」

とは言え。

流石に1人でやっていくのは厳しいんじゃ無いかなぁ?


少なくとも。

俺は自分1人で事業をやっていこうとしていたら、魔道具開発では食っていけなくて軍や裏社会の依頼をメインに請けちゃうかなりグレーなビジネスになっていた可能性が高かったんじゃ無いかと今となっては思う。

やっぱり魔道具を開発するにしても、自分1人だけだと発想の幅が狭いんだよねぇ。

得意分野だって個人個人で違うし。


「自分1人でやるよりは仲の良い人間と一緒にやる方がアイディアも幅が広がるし、何かあった時に頼れる相手も増えるが・・・まあ、お前さんの場合は親がそれなりに恨みを買っている可能性があるからなぁ。

流石にガキが昔のお前さんの親からの恨みを晴らすためにパラティアを騙して仲良くなって、後で裏切って酷い目に遭わせようなんて企んでいる可能性は低いだろうとは思うが・・・一応誰かと何か大きなステップを取る前には親や兄貴にそいつの家族とか親しい人間と過去に何かやらかしていないか確認した方が良いだろうな」


俺の言葉にパラティアは小さくため息をついた。

「難しいのですね」


「まあ、騙されて酷い目に遭う可能性っていうのは常に存在するからな。

別にお前の親が何もやっていなくても、カモだと思われて騙される可能性は常にあるんだから気をつけておいて損はないだろうよ。

ちなみに、少なくとも金儲けに関して一番何も考えなくて良いのは軍に入ることだが・・・馬に乗っての行軍とか野営とかも場合によってはあるらしいから」

少なくとも軍だったらサリエル商会を恨んでいると言うことはあまりないだろう。

直属の上司から恨まれているとかいう状況に陥る可能性はゼロでは無いけど。


こうやって考えてみると、下手な親が居るよりも孤児の方が楽な場合もあるんだな。


「まあ、どちらにせよまだ魔術学院の1年目だ。

何が得意かすら分かっていない段階なんだから、あまり悩みすぎないで学生時代を楽しんで精一杯頑張れ」


先のことがどうなるかなんてその時になってみなきゃ分からないんだ。

深く考えすぎてもしょうがないさ。


パラティアが俺の言葉に小さく頷いた。

「そうですわね。

取り敢えず、勉学に励み、信頼の出来る友人関係を築けるよう頑張りますわ。

・・・そう言えば、ウィル様は魔道具の開発をしていらっしゃるのですよね?

私が魔術師になるということで何か良い事業機会になるかもと思ったのか、父が色々と魔道具を買い集めているのですが、先日入手した物がちょっと不思議な感覚があるんですの。

今度持ってきますので、確認していただけませんか?」


はぁ?

『不思議な感覚』って何それ?



娘が魔術師になるのを喜んだガルヴァ・サリエル氏は、引退して暇になったのもあって遠方から何か変わった魔道具を輸入したり加工したりするビジネスなんかどうだろうと思って私財を投じてちょこちょこと魔道具を入手してパラティアに渡してます。

まだパラティアは魔道具づくりの授業もやってないんですけどねw

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