表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後3年目
474/1298

474 星暦554年 黄の月 8日 転移箱(7)

「それで、盗まれた魔道具は見つかったの?」

結局、6日は殆ど徹夜で残りの10隻を調べる羽目になり、夜明け近くに俺はふらふらしながら家に帰ってきて昨日は1日寝ていた。

港の傍にある宿を取ってくれるとも言われたのだが、落ち着いてがっつり寝たかったので半分寝ながら帰ってきたのだ。


で、今日は昼過ぎに軍部へ行って残りの報酬を受け取り・・・ついでに事の真相を少し(聞いていないのに)説明された。

今までは軍部の怪しげな依頼を請けても、裏の真相とかの話は学院長経由でさりげなく無難な範囲で教えて貰っていたのだが、今回は直接説明された。

・・・これって幸先が良くないのかも知れない。


確かに金にはなるが、あまり軍部と仲良くしたい訳じゃあないんだよねぇ。

俺の技能が便利だと思われるのは色々とこちらにとっては不都合な気がする。

開発にも取り組んで無くて特にやることが無い暇な時に、良い金になる依頼が来るんだったら請けても良い。

だが、基本的にそんな都合が良い仕事なんぞ無いだろう。

大抵は『国家の一大事だ!!』とこちらの都合に関係なく仕事を押しつけてくる可能性が高い。


アファル王国の『一大事』が俺の生活に実際に関わりがあるような内容である可能性はかなり低いだろう。

今回の事件だって、どっかの国が転移箱の技術を盗んだって極端に俺達の生活に関係してくるとは思えない。


ザルガ共和国との交渉だって、転移門を使って日に2回なり3回なり王都と行き来して情報を共有化すれば別に転移箱が無くても十分に交渉は滞りなく進んだだろう。

はっきり言って、俺達からアイディアを横取りまでして頑張って作らせている魔道具が盗まれたと言うことで、どっかのお偉いさんの頭に血が上って大騒ぎを起こしただけじゃあ無いかね?


確かに転移箱は便利だろうが、存在を知られてしまったとなればその魔術回路の情報はどうせそのうち魔術院から盗まれてしまうのは目に見えている。

だったらムキになる必要なんて無かっただろうに。


まあ、2日寝不足になったものの俺にとっては良い収入になったから文句は言わないけどさ。


それはさておき。

話を聞いて帰ってきた俺は家で夕食を食べながらアレクとシャルロに経過を説明していた。


「どうやら魔道具を分解して魔術回路の部分だけを隠していたらしいが、肝心の黒幕については分からずじまいらしい。

船長に嘘発見ライデクトの術をかけたら、何と雇い主は知らないと言われたんだとさ」


アレクが呆れたように食べかけていた肉を皿の上に戻した。

「知らないって・・・誰かの命令で魔道具を盗んだんだろう?」


自分の肉を切り分けながら俺は肩を竦めた。

「ところがどっこい、船長は単なる雇われ船長で、どこの港で誰を拾ってどこへ行けって命じられるだけなんだとさ。

今回も、旧ガルカ王国の港で客を1人乗せてアファル王国の王都へ来て、そいつの指示に従えって言われていただけなんだって。

最初に雇われたのは南国諸島の一部だったらしいけど、指令が来たり金の支払を受けたりするのはその時々によって違う国らしい。船の登録はザルガ共和国だけど、本当に持ち主があの国の人間かどうかも不明だと言ったそうだ。

で、その旧ガルカ王国から乗った男は王都の港が封鎖された次の日に着替えだけ持って姿を消したんだと」


着替えだけと言っても、何処かに魔術回路の図面は持っていたんだろうな。

船長室の隠し場所には魔術回路しかなく、図面は見つからなかったらしいから。

流石に魔術回路その物は分解してもそれなりにかさばるから国境なり港なりで荷物検査をされたらばれてしまう可能性が高いが、図面だけだったらそれなりに隠しようはある。


「なるほどね。

嘘発見ライデクトの術を使われる船長には敢えて何も教えずに簡単な指示だけ出すことで、捕まっても情報が漏れないようにしている訳か」

アレクが感心したように呟いた。


「どうせ裏にいるのはザルガ共和国だろうから、そこまでして隠す必要があるのかね?

軍部としては『やられた』とかなり悔しがっているようだったけど」

まあ、それでも俺が見つけた色んなオマケの書類で色々得ることが多かったらしいので、今回の騒動で誰かの首が飛ぶと言うことは無いらしい。


「はっきりと証人や証拠が無い限り、ザルガ共和国に責任追及できないからね。

どうせ最初からお互いに信用していない関係なんだ。

そうなれば今回はあちらの勝ちさ」

アレクが肩を竦めながら答えた。


ふ~ん。そう言うもんかね。


「ちなみに、魔術院で開発していた転移箱はどんな感じだ?

そのまま使えそう?」


「取り敢えずは実用的みたいだから、暫く使ってみてから何か改善する必要あるか考えてみようってアレクと言っているんだけど、それで良い?」

珍しく俺やアレクよりも先に夕食を食べ終わったシャルロが、立ち上がって台所にデザートを取りに行きながら答えた。


「おう。

どうせ主に使いたいのはアレクだしな。

俺は転移箱を使って手紙のやり取りをするよりは通信機を使って話し合う方が良いから、アレクがそれで良いんだったら構わないぜ」

まあ、連絡取り合う相手なんてシェイラしか居ないが。


「そうだね~。

僕も手紙書くよりはケレナと直接話し合いたいし。

じゃあ、アレクはちょっと暫く使ってみて使い勝手を確認しておいてね。

その間に僕はケレナと新居の家具を揃えてるから」

シャルロが頷きながら言った。


そう言えば、王太子の結婚式っていつなんだっけ?

興味が無かったから『来年』としか認識していなかったが、今年もあと3月弱で終わる。

考えてみたら王太子の結婚式と、シャルロの結婚式もあっという間かもしれないなぁ・・・。


段々と軍部に取り込まれつつあるウィル君でした~(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ