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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後3年目
466/1295

466 星暦554年 緑の月 26日 俺達専用の屋形船(14)

学院長の視点です。

>>>サイド アイシャルヌ・ハートネット


「先日の転移箱の件だが、研究用に一セット欲しいが軍部も王宮も異議を唱えるつもりは無いとのことだ」

お茶を淹れながら伝えたら、ウィルの動きが一瞬止った。


「・・・そう言えば、それも有りましたね。

問題なしですか。

船が終わったらそちらに取りかかれますね、どうもありがとうございました」


おい。

忘れていたな?

一体何のために今日呼びつけたと思っていたんだ??


自分達の船を造ると言っていたが・・・そこまで夢中になる程面白いのかね?

まあ、自分も初めて家を買ってリフォームした際には色々と調べて工夫して楽しんだものだが。


「で、お前さん達が造ると言っていた屋形船はどうなったんだ?」

お茶を淹れたカップを渡しながら尋ねる。


「屋敷船の方は船のデザインを船大工のおっさんに頼んでいたんですが、こないだ出来上がったので今度は普通の家を造る設計事務所の方にそれを持って行って『家』として使う際にあったら便利な機能や問題になるような不備が無いか確認して貰っている所です。

どちらにせよ、あまり俺達が関与する事は無いので、ここのところ、目的地に着いた後に岸の周りを動き回ったりするのに使う小型船を動かす魔道具を開発しようと色々工夫している所なんですよ」

ウィルの答えに思わず笑いが漏れた。


「ほおう?

岸の傍の浅いところで船を動かす魔道具ねぇ。

効率的なのが出来たら、またザルガ共和国を敵に回すんじゃ無いか?

まあ、一番の得意先になる可能性もあるが」

ザルガ共和国は商業で儲けてきた国だ。

風に頼らずに船を動かせることが可能になったらそれは競争力に直結する可能性が高い。

ただでさえ、東の大陸への新航路であちらに睨まれているのに、更に睨まれるようなことをしているとはね。

・・・まあ、ザルガ共和国がウィル達のことを知っているかは不明だが。


ウィルが顔をしかめた。

「はぁぁ?

俺達が遊ぶ用の船ですよ?」


甘いな。

「船の基本が風と帆であることは変わらないだろうが、凪の際に風や海流がある海域まで船を動かせるというのはそれなりにメリットがあると思うぞ?

まあ、基本的に商業しかなかったザルガ共和国がガルカ王国を併合したのだ。

ザルガ共和国も慣れぬ農業や鉱業を管理監督する羽目になって、暫くは商業が後回しになるかも知れぬな」

ガルカ王国のようなとち狂った隣国が自滅してくれたのは有り難いが・・・ザルガ共和国は利益の追求に関してはえげつないと言う話は聞く。


アファル王国の商業がかき回されないように、王宮も頭を痛めることになるだろう。

そう考えると、長距離での情報のやり取りがしやすくなる転移箱なんて出来上がったら王宮が一番の得意先になりそうだな。


もっとも1度売りに出され始めたらザルガ共和国も使い始めるだろうが。

それとも、公開しないように国が金を払ってウィル達に頼み込むか?


いつかは情報が漏れるだろうが・・・暫くの間でも独占できればそれなりに強みになるから、ザルガ共和国との関係が落ち着くまでぐらいの間は情報を隠蔽したがるかも知れないな。


「転移箱の開発が上手くいきそうだったら・・・商業省や情報部が暫くそれの使用を国内で独占したがるかも知れないから、売り出す前に1度王宮と話し合った方が良いかもしれないとアレクに言っておくのだな」

クッキーを差し出しながらウィルに忠告する。


ため息をつきながら、ウィルがクッキーをごっそりつかみ取った。

おい。

それは高い店のやつなんだぞ???


「分かりました。

ちゃんと機能しそうだったら、先に学院長のところに相談に来ますよ。

学院長のところで必要そうな部署に確認して下さい」


何だそれは。

まるで私がウィル達の開発品を使って商業省や軍部に恩を売っているかのようではないか。

「冗談じゃ無い。

そんな面倒なことに関わるつもりは無いぞ。

アレクなりシェフィート商会の人間なりが一応の確認、として声を掛ければ良いだろう。

どうせ最初はそれ程大量に製作できないんだ。

限られた製造量を恩を売るのに利用するのだったらそちらで頑張るのだな」


ウィルが肩を竦めながらクッキーを口に放り込んだ。

「あ~。

取り敢えず、アレクに言っておきますね」


「そうだな。

そう言うのはアレクが得意だろう。

ちなみに。アファル王国はザルガ共和国との交渉に色々大変らしいから、転移箱が完成したらかなりの大金を払ってでも欲しがると思うぞ。

それはさておき。

屋敷船もだが、その魔道具で動く小型船も完成したら1度乗せてくれよ」

ちょっとした釣りに行くのに良いかもしれないし。

うむ。

久しぶりに釣りに行くのも悪くないな。


ちょっと気分転換に以前話題になっていた移転箱の話を挿入。

ちなみに、アファル王国は今回隣国になったザルガ共和国と交易協定とか不戦協定とかを結ぶ為に色々交渉中です。

なので転移箱が使えたら王宮との相談がしやすいので『出来るんだったら今すぐ作れ!!!!』というのが学院長に対する王宮の返事でしたw

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