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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後3年目
451/1294

451 星暦554年 翠の月 20日 新しいことだらけの開拓事業(23)

ウィルの視点に戻りました。

「タレスの焔まで持っていたぜ、こいつら。

言い訳のしようがないぐらい、私掠船だな。

というか普通の私掠船だったらタレスの焔なんぞ手が出ないし、入手できても売り払うだろうから・・・偽装軍船かどこかから依頼を請けているというところかな?」

警備隊長のザクリーが小ぶりの壺を差し出しながら声を掛けてきた。


清早に波でなぎ倒した後に水で拘束して貰っていた海賊達は、既に警備隊の奴らに武装解除された上で縄で拘束し直されて甲板に転がっている。

そして船を確認して回った所、予想通り食糧も水も十分にあった。

航海士が死んで迷ったなんて嘘だとは思っていたけど、あっさり嘘が証明できたな。


例え食糧と水が尽きそうになっていたとしても、これだけ武装している交易船なんてまずない。そしてなんと言っても交易する物を持っていなかった。

金が無いというのならタレスの焔を持っているなんてあり得ないし。


こうも見事に嘘がばれるような様子で来るなんて・・・明らかに、船の中を調べられると思っていなかったな。

あまり海賊や私掠船の襲撃について知らないが、そこまでこいつらって襲撃した際には優位に立てるのか?


この程度の武装でそうなら、悪に染まっちまう人間が後を絶たないのも納得かも。


「タレスの焔ってことは・・・ガルカ王国か?

ザルガ共和国と戦争している間にこっちに喧嘩をふっかけるほど余裕があるとは思わなかったけど」

まあ、あそこの上層部はとことん馬鹿なようだから何をやっても不思議はないかも知れないが・・・アファル王国に戦争をふっかけなかった事を考えると、ある程度の判断力があるようにも思えるのだが。


国内で情報が断絶していて、タレスの焔を作っている部門の人間が暴走したのか?

それがまだ開発始めたばかりの補給島への攻撃に繋がるとはちょっと考えにくいが。


ザクリーが肩を竦めた。

「さあな。

ザルガ共和国が近い将来にガルカ王国を征服すると考えて、どさくさ紛れにガルカ王国の価値を高めるために手を打っている可能性もあると思うが・・・証明は不可能だろうな。

いくら何でも国の正式文書を私掠船の船長に渡すとは思えないし、口頭の密約なんて相手が否定したらそれまでだ。

アファル王国の新規交易ルートと競合する勢力は他にもあるから、絞り込むのは不可能だ」


ふ~ん。

嘘を尽かせない術はあるが、真実を強制する術は無い。

というか、嘘では無い事を言わせることは可能だが、態と嘘では無い部分的事実を述べることで相手を騙すことは比較的簡単だ。なので相手が余程馬鹿か、協力する気になっていない限り尋問したところで全体的な真実は確認のしようが無い。


ふむ。

ちょっと協力したい気分に出来ないか、脅してみるか。


「どうだい、水精霊の力は?

中位の精霊でもこのサイズの船を止めたり自由に動かしたり出来るんだが・・・ここには更に上位の水精霊に愛された奴もいるんだぜ?

そいつに害を為したと精霊に見なされたら・・・お前さんが船で海に出たら無事に帰ってくることは不可能だろうな。

何でここに来たのか、正直に話したら少なくともお前さんが精霊に目の敵にされないように話を付けてやっても良いが、どうする?」

しゃがみ込んで、足元で転がっている船長に声を掛けた。


『え~、別に蒼流に嫌われなくっても、俺でも海に出れなく出来るよ~?

何だったら、こいつが乗っている船は絶対に動かないっていう印を付けておこうか?』

清早が姿を現して提案してきた。

まあ、そうだよな。

実際にここで船を足止め出来たんだ。

『海に出たら無事に帰って来れない』どころか、『こいつが船に乗ったら船が動かない』という呪い(笑)を掛ける事は清早でも可能だろう。

清早が居ない場所でも効果が続くような印を刻めるというのは知らなかったが。


もっとも、『海に出られない』よりも『海から帰って来れない』の方が脅しとしては怖い気がするが。

どうなんだろう?


さ~っと血の気が引いた船長を見る限り、どちらも嫌なようだな。


まあ、どちらにせよ襲撃してきた私掠船の船長が縛り首にされずに解放される可能性って低いとは思いますけどね~。

もしかしたら軍の情報部とかがアファル王国の為に働く私掠船として利用するかも?

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