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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後3年目

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419 星暦554年 紫の月 9日 次の旅立ち?(10)

「で、何か良いのあったか?」

結局、登録されていた魔術回路を使った試作品の製作と試運転は俺とアレクで続け、色々独創的な考え方の出来るシャルロが思いつく限りの物を触媒として使えないか、実験しまくった。


まあ、一個しか無い魔具で実験していたのでは時間が掛りすぎるので、もう3つほど同じのを作ったけど。

シャルロは俺みたいに水の中の不純物が触媒にくっついて沈殿している様子が視える訳では無いが、あいつの場合は蒼流に聞けば一発で分かる。

ある意味、『正解』を聞いていたら?と提案してみたところ、『不純物を抽出したいのならいつでも言ってくれ』と返されたらしい。


まあ、俺も清早に聞いてみたら、水を綺麗にしたければ自分でするから、何を触媒に使ったら良いのかなんて却って全く想像も付かないと言われたから、駄目だとは思っていたけどさ。

蒼流なら位階が上だから何か違う叡智があるかと思ったら、そういう訳ではないらしい。


手元のノートを見ながらシャルロが答えた。

「台所にある食べ物とか調味料とか掃除用品とか、ありとあらゆる物から始めて、他にも目に付いた物を何でもかんでも試してみたんだ。

意外なことに、炭と、黄芋が良かったかな。

試しにクッキーを砕いたのも入れてみたけど、あれは僕が自分で食べた方が良かったね~」


そりゃあ・・・当然じゃねえか?

まあ、クッキーを試そうなんて考えるところが、シャルロだよな。

学生の頃に卵の殻を入れることで乱反射するランプを作ったのはシャルロの思いつきだった。変な思いつきでも面白い結果に繋がることはあるから、この場合はなんでも試してみるシャルロの考え方の方が正しい。


・・・それでもクッキーは無い気がするが。



明日は休息日なので、手当たり次第の触媒実験も今日までだ。

流石に良い物が見つかるまで際限なく実験し続ける訳にはいかないからな。

元々、9日間試して何か良い物が見つかったら更に工夫しておこうという話になっていた。


「黄芋?

あんなの家にあったのか?」

ネバネバして、俺は大嫌いなのだが。

パディン夫人もそこは分かっていて、最初の頃に俺が残して以来、食事に出てきたことは無い。


アレクが笑った。

「ウィルは黄芋の食感が嫌いみたいだが、あれは摺り下ろして材料に混ぜると良い感じに味に深みが出るそうだよ?

多分ウィルが気が付いていないだけで、それなりに我々の夕食にも入っていたと思うぞ」


えぇぇ???!!!

そうなの?

ちょっとショック。

嫌いな物を知らずに食べていたなんて・・・。


まあ、食感が嫌いなだけなのだ。

普通にパディン夫人の料理は美味しいんだから、それを作る過程で何を入れていようが構わないか。


しっかし。

あれが触媒として良いとはね。


「で、黄芋と炭と、どちらがより効率的に水を抽出出来るんだ?

と言うか、現実的に使っても良いと思えるぐらい、効率は上がったのか?」

取り敢えず黄芋のことは頭から閉め出して、シャルロに肝心の魔具の事を尋ねる。


「黄芋の方が少し効率が良いんだけど・・・入手とか保管の容易さを考えたら炭を使った方が良いかな?と思える程度の違いだね。

ちなみに、水の抽出速度は一昨日のウィル達が作った試作品と同じ程度だね」

シャルロが答えた。


へぇ?

一昨日のと言えば、今まで作った中では魔力の消費量と時間に関しては一番良かった奴じゃ無いか。


「魔石の消費量は元々そっちのタイプの方が少なかったな。

となったら、シャルロの魔具を更に工夫するのが一番良いか?」

アレクが黒板に書き込んだ今までの試作品の成績を見比べながらコメントした。


「ちなみに、どの位の量の触媒を使うんだ?

魔具そのものは蒸気型よりは小さいが、長期的に使うことになったら触媒の量も馬鹿にならないだろうから、幾らコスト的には安上がりでも場所を取るのでは船での使用も輸送も困るかも知れないぜ」

バケツ1杯分の水に触媒がカップ5分の1杯だとしたって、それこそ風呂に入る為の水だったらバケツ5杯は最低でも必要だから、触媒がカップ1杯分必要になる。

1回の航海で2月ぐらいの時間を掛けると考えたら、それなりの量の触媒が必要になるだろう。


「炭を使うんだったら、煤はどうだ?

後は、灰とか。

どちらもそれなりにどの現地でも生産されるだろうから、それを使えたら持って行く必要性が無くなる上にゴミの有効利用も出来て、丁度良いんじゃないか?」

アレクが提案した。


煤と炭って大分違うと思うが・・・。

まあ、どちらも黒いけど。


取り敢えず、休息日あけは実験だな。

その前に、休息日だ!

シェイラに会えるのはうれしいのだが・・・考えてみたら、明日は婚約式の際に身につける装飾品を見に行く約束をしているんだよなぁ。


休息にならない気がするのは悲観的すぎるだろうか?


装飾品:ウィルはカフスボタンやハンカチ、指輪程度。

シェイラはネックレス、イヤリング、髪飾りといった所ですかね~。

疲れること、間違いなしw

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― 新着の感想 ―
[一言] そう言えばこの話の黄芋のモデルって何ですか? ちょっと気になった物でw 長芋系です?
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