表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後2年目
386/1294

386 星暦554年 藤の月 15日 旅立ち?(27)

「素晴らしい!!!!!」

船長がアレクの手を取ってブンブン振り回している。


今回の島はアレクが見つけた。

本人が精霊に頼らずに見つけられるかを試したいと言っていたので、近くに島があると言うことは知っていたものの場所については清早に聞かずにぐるっと船を中心に回りながら船員に空滑機グライダーを教えつつ飛んでいたのだが、ちゃんと島を見つけた。


同乗していた船員の方は飛ばし方や近辺の確認に忙しく、水平線をきちんと確認していたアレクが先に見つけたらしい。


良かったぜ。

一応、空滑機グライダーの乗り方を船員達に教え始める前に『教えている最中に島が発見された場合、最初に目視したのが船員だとしても俺たちが発見した扱いになる』ということは船長とナヴァールと両方から書面で確認していたけど、実際の目視したのがアレクだったことで話が変に複雑化しないで済んだ。


アレク達は島の周りをちょろっと飛んで、直ぐに帰ってきたのだが・・・。

副長・船長とナヴァールの興奮具合は凄かった。


何か、最初のよりももっと興奮しているっぽい。

こちらの方が東大陸に近いのだから、重要性は下がるような気がするんだけどねぇ。

大陸から3日程度の距離だったら別に補給する必要は無くね?


位置追跡装置を使ってアレクが航海士に島の位置を説明し終わったら、直ぐさま副長が立ち上がった。

「良し!

先に空滑機グライダーで行って地形や資源に関して調べてこよう!!!

誰か付き合ってくれ!!」

アレクと俺とシャルロはお互いを見あい・・・俺が行くことになった。


アレクは既に場所を知っているし、見たからね。

そんでもってシャルロは一応何かがあった時(思いがけず島の傍で座礁してしまった場合とか)の為に船に残る方が良い。


副長は空滑機グライダーの飛ばし方を一通り習ったが、流石に一人で飛ばさせる程の腕はまだないから俺が同行するのが最適だろう。


ま、俺も興味があったしね。


「じゃあ、島で待ってる」

二人に手を振って、甲板へ向かう副長の後に続いた。


今回は空滑機グライダーで飛んで回っているのももっぱら俺とアレクだ。

シャルロにはちょっと今回は退屈な旅になったかもなぁ。

島に着いたら探索をさせてやらなきゃ。


◆◆◆◆


今度の島は前のよりも山が多い感じだった。

それなりに木が生えていて、川らしきえぐれた地形が複数見えるが、川が海に流れ込むところぐらいしかまとまった平地が見当たらない。


へぇぇ。

同じ孤島でも、かなり違う形になるんだな。

なんだってあっちの島の方が平地が多いんだろ?

島が出来る過程なんぞ知らんが、同じような場所にあったら同じような出来上がりになるかと漠然と思っていたが、違うんだな。


「こちらはちょっと開拓するのが難しそうな感じだな」

空滑機グライダーを島を回るようにゆっくりと飛ばしながら色々と紙に書き込んでいる副長に声をかける。


「まあ、水が補給さえできれば、後は船乗りが息を抜けるような設備を作ってそれ用の食糧や人員を大陸の方から連れてくればいいさ。

新鮮な肉の補給が出来るのはありがたいが、ここはもうそれなりに大陸に近いはずだからそこまで重要ではない。

魚も取れるだろうし」


器用に島の大雑把な地図を描きながら副長が答えた。


空滑機グライダーって風に良い感じに乗っているときは操作舵をあまり動かさなくていいのだが、これを理解するのにはそれなりに時間がかかる。


ついつい操作舵を動かしすぎるせいで魔石を無駄に浪費しちゃうのが素人のやりがちな間違いなのだが、副長は良い感じに空滑機グライダーを放置して色々地図に書き込んでいる。


大したもんだね~。

まあ、俺が見張っているから空滑機グライダーがうっかり変な方向に飛んだり失速して落ちたりしないと安心しているのかも知れないが。


「なんか、先日の島の発見よりもこっちの島を見つけたことの方が喜ばれたような印象だったけど、気のせい?」

島の開拓の手伝いに来るとしても、2箇所候補地があるんだ。


どちらかの方により重要な理由があるなら、知っておきたい。


「東大陸に出来るだけ近い位置に我が国の拠点を作れれば、それだけ貿易その他に役立つからね。

先日の島も中継地としては素晴らしいし、開拓したら人間が住んで小規模な農業を営めるような地形なのは有り難いのだが、東大陸からはやはりちょっと距離があるからね。

もしもの時の対応部隊の待機する場所としてはちょっと遠いかもとナヴァール氏や船長と話していたんだよ」

肩を竦めながら副長が答えた。


もしもの時の対応部隊?

つまり、この島は軍事的基地としても使う訳?


まあ、どちらの島もアファル王国の直轄地になるから軍部がある程度関与してもおかしくはないが・・・。

なるほどね、それなりに利益を生む交易航路におけるアファル王国の飛び地というのは、軍事力を持って守っておく必要があるのか。


しかも、東大陸に行く商船に何かがあった場合は近くの軍部が駆け付けますよ、という訳?


駆け付けるのには出来るだけ東大陸から近く、しかもまだ他の国に発見されていない場所が必要。


となると、この島は考えられるうちでは理想的な場所なのかな?

実際、更に東大陸に近い場所にあるという島は既に人が住んでいるらしいから、アファル王国の直轄地にはできないし。


・・・アファル王国にとってはこっちの島の方が重要かもしれないが、俺たちにとっては先日の島の開発の方が楽しそうだな。


軍人とか警備兵みたいな権力者側の武力勢力が嫌いなので、ウィルは山羊や牛でも飼ってて食料も補給できる長閑な中継地の方が好き。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ