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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後2年目
373/1295

373 星暦553年 桃の月 24日 旅立ち?(14)

「シェイラの家族とのご対面はどうだった?」

朝食に降りていったら、アレクに笑いながら聞かれた。


ちっ。

アレクがいつか誰かと付き合い始めたら、俺も色々からかってやるからな、覚悟してろ!


「別に?

親父さんは普通、兄貴は現状維持しか出来ないボンボンって感じかな」

シェイラがあまり実家のことを気にしていないようなので、これからもさして関係はないだろう。


アレクが俺の言葉に頷いた。

「ああ、ジャムール・オスライダね。

彼が商会を引き継ぐならあそこの事業を色々毟り取れそうだと兄も期待しているんだが、どうな感じだった?」


ははは。

流石アレクの兄貴。

『毟り取る』なんて、セビウス氏の方かな?それとも実は上の兄さんも事業に関わることだったら毟り取る派なのか?

「あの兄貴がアホなことを言っていたら、後継者候補から外すぞって脅してたからシェイラの親父さんも分かっているんじゃないか?

シェイラもあの兄貴が跡取りになるとはこれっぽっちも思っていないみたいだったし」


アレクが軽くため息をついて、肩を竦めた。

「まあ、そうだろうねぇ。

毟り取りたくなるほど魅力的な事業を発展させてきたフィラード・オスライダが、そこまで親ばかだとは聞いていなかったし。

残念だが、ウィルの彼女の家族をあまり痛めつけるのも気まずいかもしれないから却って良かったというところかな?」


怖ぇ~~。

まあ、シェイラだったら親父さんがあの兄貴に後を継がせる程に馬鹿で、一族がそれに大人しく従って逃げようともしないんだったら毟り取られまくろうとそれは自業自得だと言いそうだが。


「そう言えば、年末のパーティにフェルダン・ダルムも呼ぶのだが、シェイラのお父さんも招待しようか?」

アレクが更に聞いてきた。


「言ったろ?シェイラは実家の方に商機を提供する気はないんだって。

だから仕事がらみのパーティへの招待も不要だよ」

つうか、シェイラの家族とパーティに一緒に参加なんて気まず過ぎてやってられん。


パーティそのものだってあまり好きじゃないのに。

まあ、アレクの実家のはかなり気軽だからいいんだけどさ。


「シャルロの家族は呼ばないのか?

シャルロに手伝ってもらうついでに、侯爵様なりに資金提供や後援をお願いするとか、必要ないのか?」

新しい航路開拓なんて、かなり大規模な新事業だろう。

そういう事業だったら割り込みたい政商や、シェイラの兄貴みたいに既存の航路の収益率を下げたくなくって邪魔してくる人間もいそうだが。


アレクが首を横にふった。

「向うから提案してこない限り、シャルロの家族を事業に巻き込むつもりはないよ。

明らかにあちらの方が力が強いから、こちらが『頼む』形になってしまってどうしてもシャルロと私の関係にも変な影響を与えそうだからね」


ふうん、そういうものなのか。


まあ、アレクの実家のパーティに貴族様が来ないのは助かるな。

例えシャルロの親父さんなり兄貴だとしても、気を使う。


魔術学院を卒業してシャルロと一緒に(アレクもだけど)事業を始めることになった時、『偶然』魔術院の出口の傍でシャルロの親父さんに会ったんだよね。


忙しい侯爵様とばったり会って立ち話をするなんてどう考えてもあり得ない偶然だと思うが、今思えばあれも俺という人間を見極めるために態々時間を調整して会いに来たんだろうなぁ。


考えてみたら下町出身の若手魔術師に会うのに『偶然』を装ってくれるなんて、オレファーニ侯爵も良い人だったな。

普通だったら自分の都合が良い時間に呼び出すだろう。


「まあ、俺はシェイラと気楽にただ酒を楽しませてもらうよ。

シェイラの家族のことは今後も気にしないでくれて大丈夫だから」

第一、もしも家族に助けが必要だったらアレクの実家に頼らなくてもシェイラ(と場合によっては俺)で何とか出来るだろう。


・・・俺の協力が必要な状況になんてならないことを期待するが。


つうか、シェイラにとっても実家を助けるために商会に戻ることになるなんて非常に不本意だろうから、シェイラの助けも必要な状況にはなって欲しくないな。




最近ちょっとウィル君が弄られキャラになってきた?

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