表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後2年目
355/1295

355 星暦553年 橙の月 25日 これも後始末?(15)

「こちらの火はもう何とかなる!

あっちの手伝いをしてくれ!!」

消火の指示を出していた男が俺の方を振り向いて新しく上がった炎の方へ腕を振った。


「分かった。

誰か案内してくれ!」

ここからでも炎と煙は見えているが、最短ルートは地元の人間に聞いた方が早い。

屋根の上を走って行くという選択肢もあるものの、下見もしていないのに屋根の上を全力で走るのは難しいし、滑って怪我なぞしたら笑えない。


「こっちだ!」

裏ギルドの男が走り出したのを追う。


ズガーン!!

更に別の場所で爆発の音がした。


げげ。

一体、幾つ仕掛けたんだよ??


パレード沿いとか上水道沿いにもそれなりの数の魔具が仕掛けてあったのを解除したってのに。


『清早、今聞こえた爆発の所も、焔が広がないように何とか出来るか?』

走りながら清早に尋ねる。


『大丈夫!

元々、今回はウィルが頑張っていたから、知り合いに集まって貰っていたんだ!』

おお~。

凄いじゃん、清早!

お前がそんなに顔が広いとは知らなかった。


・・・というか、加護を与えた精霊ではないフリーな精霊が、前もって待機しているなんてことをするなんて想像もしてなかったし。


取り敢えず、これ以上の爆発が無いことを期待しよう。

ガルカ王国だって、無尽蔵に金がある訳じゃあ無いはずだし。



◆◆◆◆



最初に聞こえた下町の爆発現場の消火に協力し、清早が『知り合い』に頼んで抑えて貰っていた下町の2つめの火事現場に行ったら、既にそちらには軍の魔法騎士が来て消火していた。


「おや、ファルータに何か用があったのか?

偶然だな、ウィル」

慌てて駆け込んできた俺に、ダレンが声を掛けてきた。


げ。

面倒な。

それなりに大きなファルータの街に来ているあれだけの軍属の中で、ダレンに鉢合わせになるとは。

ついてない。


「タレスの焔を使っている可能性が高いのですが・・・大丈夫でしたか?」

ダレンが周りを見回してから、にやりと笑った。


「そうか、道理で妙に都合良く風が焔が広がるのを抑えてくれていたと思ったら、お前は確か精霊から加護を貰っていたな。

・・・と言うことは、裏ギルドからでも依頼を請けたのか?」


ちっ。

これだから頭が切れる人間は嫌いなんだよ。


それでも裏ギルドからの依頼だと思われた方が、学院長からの依頼と思われるよりはマシか。

「ええ、まあね。

裏ギルドが危ないと思った、人が集中する場所に仕掛けられた魔具とかを探すのに協力していたのですが・・・。

スラムとかこういった下町まで標的にはなると思っていなかったので裏をかかれました」


ダレンが肩を竦めた。

「それを言うのなら、軍部だってかなりの人員を投入していたんだ。

この規模の街を、祭りなんていう状況で完全に守るのなんて所詮無理なのさ。

だが、幸いにも実際に起きた爆破3件と、街中での魔術師による攻撃は特に大きな被害も無く抑えられた。

今回は大成功と言って良いだろう」


おや。

街中で魔術師による攻撃もあったんだ?


これだけタレスの焔に予算を掛けたんだから、人的損害はゼロにするために魔術師による攻撃は無いもんだと思っていたよ。

「魔術師による攻撃なんて、あったんですか?」


「ああ。こちらの爆発があって俺達が向かい始めた直後ぐらいに、数カ所から一斉に公爵と奥方を狙ったらしい。

保護結界が守っている間に無事敵の魔術師達は取り押さえられたそうだ」

腰に付けている通信機を指しながらダレンが答えた。


成る程。

街中で爆発や火事を起こして対応に軍部が回った所を狙ったのか。


とは言っても、例え街中が火に包まれたって軍部が公爵を完全に放置して消火には回るとは思えないが。


まあ、これだけ大多数の人員を投入するというのはガルカ王国も想定していなかったんだろうな。

・・・と言うか、ガルカ王国としては自分達の企みが漏れているとは思っていなかっただろうし。


「まあ、ちょっとした火事なんて珍しくも無いし、派手な魔術を使ってくれたお陰で見物客は攻撃も祭りの見世物の1つだと思った人間が多かったようだからな。

良い感じに祭りが続いているらしいから、そのまま祭りを楽しんできたらどうだ?」

笑いながらダレンが提案してきた。


いや、流石にこの状況で『終わり~!』と言って遊びに行くのは無理だよ。

今更シェイラを迎えに行っても、発掘現場で楽しんでいるだろうシェイラを引き剥がして連れてくる頃にはお祭りも終わっているだろうし。


あ~あ。

次の王都での魔術院関連の祭りがある時に、祭りの手伝いに駆り出されていなかったらシェイラを誘おうかな?


もうそろそろのはずだが。

何も聞いていないと言うことは、俺は魔術院側の人員として参加はしなくて良い可能性が高い。


帰ったらアレクにでも確認してみよう。


実は公爵達を守った保護結界は、ウィル達が売り出した防寒・防御結界を防御偏重に軍がカストマイズした物が活用されてたりw



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ