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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後2年目

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346 星暦553年 橙の月 16日 これも後始末?(6)

「この都市で祭りの最中に大量虐殺や混乱を招きたいとしたら、水源への毒の混入、スラム街か下町への大量放火、中央広場やその近辺での大がかりな攻撃魔法なり爆発力の高い何らかの魔具の使用が考えられると我々は見ている」

青に案内された下町の傍にある酒場の2階の部屋で、平凡な容貌の男に紹介された。


こいつが今回の案件における領都ファルータの裏ギルド代表の役割を果たしているらしい。


「この都市の主な水源は井戸、それとも川?」

井戸だったら一気に多数の人間に行き渡るように毒を混入する為には大人数で時間を合わせて毒を投げ込む必要がある。

いくら同じ地下水脈を水源としていても、井戸の場合は井戸と井戸との間の水の浸透速度は川ほどは早くない。なので地下水脈に即効性の高い毒を入れても同じタイミングで全ての井戸に毒が回るわけでは無いらしい。


「下町とスラム街は井戸だ。

もっと良い地区には街の外に流れるフェルナ川から引いた上水道を使っている」


へぇ。

上水道か。

王都では井戸がメインで、貴族の屋敷とかは井戸から屋敷へ給水する魔具を使っているところが多かったが、この街では違うんだな。


上流階級の人間が住みたがるような地域に地下水脈が少ないのか?

それとも、領都とは言え王都より小さいから、過去の公爵の公共事業で上水道の手配が可能だったのか。


「上水道だとしたら、どこからでもかなりの数の世帯の水を一気に汚染できるんじゃないか?」

水源から街中までの水道の長さは数百か数千メタにはなるだろう。

それを全て見張るのも、確認するのも無理があるぞ。


「ここの上水道は地形の事情で、魔具で水圧を掛けて水を流す形になっているから、毒を混入するために穴を開けたらそこからもの凄い勢いで水が噴き出すし、その下方での水圧が一気に下がるんだ。だから水道を破壊するならどの地点でも出来るが、毒を混入できるのは水圧が制御されている分岐点だけになる。

まあ、それでも50箇所以上あるが」

うげ~。


ふと、嫌なことを思いついた。

分岐点もしくはフェルナ川の取水口に忍び込んで、水道の中をゆっくり転がって移動するような魔具を仕込んだらどうなるんだ?

分岐点に魔具は無いから、いくら俺が探しても見つからんぞ。


『清早。ここら辺の川や井戸や地下水脈の中に、決まった時間になったら毒を出すような魔具が転がっていたら分かる?』

折角水の精霊が協力してくれているんだ。

活用できるか、聞いてみよう。


『勿論!

注意を払っていれば水に毒が放出されたらどこだろうと分かるし、無効化出来るぜ?

魔具なんて不自然な物があるんだったら探せば直ぐに分かるし』


あら。

無効化できるんかよ。

だったら調べる必要ないじゃん。


・・・とは言っても、下手に俺と繋がりのある水の精霊の無敵さを知らしめたら、後が面倒そうだな。


シャルロならば実家の権力もあるから変な事を頼んでくる奴はいないだろうが、裏ギルドにも繋がりのある若手魔術師なんて、変にその便利さが知れ渡ったらどこから『依頼』が来るか、分かったもんじゃ無い。後が怖いぜ。


「普通の一般家庭への水が汚染されても、祭りの最中だったら留守にしている家が多いだろう?

飲食店とかへの給水が多い分岐点から確認していくことにしよう。

そこら辺を調べる時に、中央広場近辺もついでに調べられるか?

50箇所の分岐点と更に中央広場近辺を9日で確認となったら、中々時間的に厳しいと思うんだが。

もっとも、『中央広場近辺』なんて漠然とした範囲だったら、俺が調べた後に魔具を仕掛けられるのを防げないんじゃ無いか?」


スラム街や下町への放火の調査は・・・後回しだろうな。

そんなところだったら魔具を使わなくても、それこそ何人かの人間が火を付けて回れば十分だろうし。


「中央広場近辺は先に一通り見て貰って、もしも魔具を仕掛けてあったらその箇所と、それと似たような場所を見張る。

そして最終的に祭りの始まる前日にでももう一度見て貰いたいと思っている。

飲食店への分岐点を効率的に確認出来るルートを明日にでも提出させるから、先に中央広場近辺の確認から始めてくれ」

裏ギルドの代表が答えた。


まあ、そんな所だよな。

あまり『中央広場近辺』が大きくないことを期待しよう。

どうせ魔術師や軍人をそれなりに配置するんだろうから、ガルカ王国側の魔術師が出張ってくる可能性は低そうだよな。

出てきたとしても、騒ぎを起こしたら直ぐに取り押さえられそうだし。


そう考えると、多数の魔具設置が一番怖いか。


祭りの時にパレードとかがあるんだったら、それが通る経路も確認する必要があるだろうなぁ・・・。


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