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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後2年目
344/1300

344 星暦553年 橙の月 15日 これも後始末?(4)

「最近はファルータ領によく出現しているらしいな?」

長の第一声はこれだった。


おい。

そんなこと、何故知っているんだ。

しかも、そのニヤニヤ笑いからすると、シェイラとのことも聞いているな??


「俺がよく行っているのはヴァルージャなんですけどね」


長が笑った。

「ヴァルージャとファルータだったら近いから、お前さんの空滑機グライダーを使えば直ぐだろう。

王家と公爵家に恩を売りながら夜は恋人と一緒に過ごせるなんて、最高じゃないか」


おいおい。

恩を売るつもりは無いぞ。

少なくとも、現時点で俺の名前はどこにも出すつもりはない。

まあ、きっと学院長は俺の『貸し』として憶えておいてくれるだろうが。


「特に上昇志向が無い人間にとって、便利な人間だとお偉いさんに知られるのなんて害があるだけで利はありませんよ。

軍部が危険と考えている場所の情報をギルドに流すので、そちら経由で働くことになっています。

長も、俺の名前や正体がばれないようによろしくお願いしますよ」


ワインをグラスにつぎながら長が肩を竦めた。

「まあ、お前ならそう言う可能性が高いだろうとは思っていたが。

よくぞそれでお偉いさんが納得したな」


「変に名前を特定させて借りをはっきりとさせるよりも、『名無し』相手にしておく方が、相手も気が楽なんでしょうよ。

実際には魔術学院の記録を調べれば、裏社会との繋がりを考えれば俺の名前にたどり着くのにそう時間はかからないでしょうが。」


税務調査にかこつけた調査依頼はギルドの方からきた話だから、ある意味裏社会に脱落した魔術師モドキの候補者はそれなりの数がいる。


だが、前回の王太子がらみの学院長の問題は、『教え子』だから協力したというのが多分出てきただろうからなぁ。


というか、例え純粋に盗賊シーフギルドの人間だとしても、内乱を引き起こしかねないヤバい国家機密を知ってしまったのだ。

軍部としたらそのまま正体を曖昧にしておく訳にはいかなくて、何としてでも調べただろう。


「それはともかく。

調べる場所のリストアップと案内、それと俺が確認した後の見張りの手配が必要なんですが」

裏社会は国内(外もだが)でそれなりに繋がっているが、必ずしもファルータの裏ギルドが王都の盗賊シーフギルドの長の管轄下にある訳では無い。


勢力争いしたら、どうしたって資源の違いで負けるからそれなりにこちらへ協力的だという話は聞いたことがあるが。


今回は、どんな協力体制になっているんかな?


「元々、裏ギルド(俺たち)の方が先にガルカ王国の企みに気が付いたんだよ。

だから既にヤバそうな所はリストアップしてある。

まあ、新しい軍事技術や魔具によって思いも寄らぬ場所が使われるかも知れないから、軍部の情報も活用させて貰う予定だが。

既にファルータの裏ギルドは人員を総動員して確認中だから、向こうに着いたら直ぐにお前も取りかかれるようになっている」


なんだよ。

俺の協力が既に予定に組み込まれてるんかい。


「どこで落ち合えば良いんですか?」

流石に、魔術ギルドの転移門の出口でという訳にはいかないだろう。

かといって、公爵家の玄関前というのも無いよな。

・・・考えてみたら、前回の騒動の時に領都にあった公爵家の屋敷を全て回ったから、そのうちのどれか小さいところでも構わないが。


公爵家が協力しているんだったら、どれか1つを裏ギルドの活動用に提供してもらってそこに宿泊しても良いし。


「人海作戦になるからな。王都からも人員を提供することになっている。

青が一緒について行くから、あいつに付いていけば大丈夫だ」


ほう。

一緒に行くと言うことは、青も転移門を使うんだろうな。青の転移門代はあっちが払うんだよね??

俺はばらした空滑機グライダーを持って行かなきゃいけないから、それなりに荷物が多くて青の分まで魔力を負担できんぞ。


何だかんだ言いつつも、グライダーを持って行って毎晩シェイラに会いに行く気なウィルでしたw

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