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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後2年目
320/1298

320 星暦553年 黄の月 4日 ちょっと趣味に偏った依頼(3)

「ああ、シェイラ!

こちらが我々の依頼を請けてくれた魔術師の3人だ!

シャルロ君、アレク君、ウィル君、シェイラだ。

僕の助手なんだけど、実質今回の遺跡発掘の実務を仕切っているトップだと思ってくれて良いからね。

じゃあ、頼んだよ、シェイラ!」

何やら大木が色々目に付く森の中で、少し開けた広場のような場所に設置されたテントに着いた俺たちは、若い女性に紹介された・・・と思ったら、ぶんぶんとこっちに向けて手を振ってツァレスが森の中へ走り去って行くのを呆然と見つめる羽目になった。


「「「・・・は??」」」


取り残された俺たちがお互いを見合って呆然としていたら、紹介された若い女性が額に手をやりながら深くため息をついた。


「こんにちは。

今、紹介・・・されたんでしょうね、あれで。紹介された、シェイラ・オスレイダです。

この発掘隊の責任者として転移門まで迎えには行ってくれたんですが、やはりツァレスさんも現場から離れるのが嫌だったみたいですねぇ・・・」


彼女の後ろから笑い顔が聞こえてきた。

「考古学者なんて、皆似たようなもんじゃろうが。

誰か責任をもって日常の業務を手配してくれる人間がいたら、さっさとトップの責任なんぞ放棄しようと待ち構えているような連中じゃ」


テントから現れた老人を振り返ってシェイラ嬢が肩を竦めた。

「私だって出来ることなら現場に行きたいんですが。

一番の若手なんですから、まだまだ色々経験を積まなきゃいけない段階だというのに」


シェイラの言葉に更に笑いながら、老人がこちらへ手を出してきた。

「クルストフ・ベルダじゃ。

こういう古い物が好きで、魔術院で現役で働いておった頃は良く割安でも歴史学会の依頼を請けておったのだが、もういい年だからな。

引退してこちらでノンビリしようと散歩しておったらこんな物を見つけたジジイじゃ。

ちょくちょく手伝いはしておるが、興味があることに集中したいので、地味な作業は任せたぞ!

こういう発掘隊というのは、酷い時なんぞ誰一人として実務に注意を払う人間がいない場合もあるんじゃが、今回はシェイラ嬢がいるからな。

実務的なことはお嬢に聞いてくれ」


そうでっか。

まあ、あの短い紹介だけで放り出された事を考えると、確かに実務的なことで話せる相手がいるというのは重要だな。

このベルダもリタイアした気楽さを存分に楽しむ気なようだし。


俺たちとちょろっと話して、ベルダもさっさと森の奥へと姿を消してしまった。

まあねぇ。

考古学とか遺跡が好きだから協力しているだけみたいだし。

責任者のツァレスがさっさと姿を消してしまったのだから、ベルダが付き合ってくれると期待する方が間違っているんだろうな。


取り残された俺たちに向かって再び肩を竦めて見せ、シェイラ嬢がテントを示して見せた。

「取り敢えず、この遺跡の範囲や我々の設置したテントの用途や道具をお見せしますね。

いらしたばかりですし、明日から本格的な作業をお願いして良いですか?」


◆◆◆◆


「あのシェイラ嬢って、オスレイダ商会の次女だな。

王立大学院を飛び級を繰り返した上に2年で卒業した才女が歴史学会に入ったという噂は聞いていたが、こんな所にいたんだな」

その晩、シェイラが予約していてくれたヴァルージャの宿で夕食を取りながらアレクが言った。


「へぇぇ、オスレイダ商会といったらそれなりの規模じゃない。

だから僕たちと同い年ぐらいなのに発掘隊の実質リーダーになってるのかな?」

シャルロが肉を切り分けながら尋ねた。


「いやぁ、ありゃあ単に他の奴らが実務に関わりたくないから外れクジを引かされただけだろ。

あの年でこの規模の発掘隊の実務をちゃんと回せるというのは大したもんだが、本人としては大損したと思ってるだろうな」

幾ら発掘隊の実務が出来るようになったとしても、発掘そのものの作業方法や歴史的知識を身につけなければ歴史学会では大成出来ないだろう。第一、魔術院にいたアレクまでが耳にするほどの才女が、学会で偉くなりたいから発掘に参加している訳では無いだろう。


俺の言葉にアレクが肩を竦めた。

「そうだろうな。

まあ、今日ちょっと歩いて回って軽く話した感じでは、いい年した大人が若者におんぶ抱っこで甘えているという自覚はあるようだから、他の連中もしっかり彼女に学問的な事も教えるのではないか?

これだけヴァルージャの街に近ければ、毎日実務だけに追われずに発掘にも関われるだろうし」


俺たちが発見した遺跡のように最寄りの街から遠いと、食事なり防寒用の準備なり、何事も前もって現状を早くして準備しておく必要があるが、最寄りの街まで20分なら問題が生じたら対応するだけで十分だろう。


将来的にはハラファの右腕で実務の大部分を取り仕切っていたガルバ的な位置になるのかな?

重要な役割を果たしているものの・・・最終的には周りを振り回して自分が興味がある発見に邁進するハラファ(やツァレス)の様な人間の方が歴史には名が残るんだろうなぁ。


遅れてすいません。

次の更新は23日です。

ウィル達と同い年ぐらいの女性が出てくるのって魔術学院卒業ぶりかも?

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