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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後2年目
287/1296

287 星暦553年 萌葱の月 18日 ちょっとした遠出(6)

「くわぁ~~~」

「ほわ~~~」

「ふわぁぁぁ」

温泉に入った俺たちは、3人で3種似たような声を漏らした。


良い。

良いよ、この温泉!!

家にも風呂があるんだが、何か違う。


手足を伸ばして、泳ぎたければ泳げるこの開放感のせいか?

それともお湯そのものに何か特別な効果があるのか。


原因が何であれ、温泉にすっかり魅了された俺たちはゆだるまでその場にとどまり、くらくらし始めてやっと渋々出てきた。

更衣室で身動きが取れなくなって、暫くベンチに転がる羽目になって慌てた蒼流にシャルロが冷水シャワーを食らいそうになったのには笑ったが。


次回からはもう少し早めに切り上げよう。


「現実の世界にも暖かいお湯がでる層があるってアスカが言っていた。

その時話していた場所は鉱山らしいから微妙かも知れないけど、現実界にも温泉があるみたいだから帰ったら探そうぜ」


「そうだね!

蒼流にどこか行きやすいところに無いか聞いてみるよ!」

俺の提案にシャルロが熱心に合意した。


「王都から騎獣で行ける範囲に無いなら、空滑機グライダーで行くよりも転移門を使える場所の方が良いかもしれないな。

折角体を温めてリラックスしたのに空滑機グライダーに乗ってまた体を冷やしてこわばらせるのも勿体ない」

アレクが付け加える。


確かにな。清早にも相談してみよう。


まあ、大きくて開放感があればこの素晴らしさを楽しめるというのならば、家の庭の一角を囲って露天風呂にしても良いが。


実験してみるかな?


◆◆◆◆


俺たちの宿泊先に戻ったら、誰かが用意してくれたのか軽食が居間のテーブルの上に広げられており、アンディがソファでうたた寝していた。


俺たち程空滑機(グライダー)に慣れていないせいか、疲れを訴えて態々外にある温泉には行かずにお風呂場にあったシャワーを使うと言っていたのだが、俺たちが茹だっている間に食べ物の手配をしておいてくれたらしい。


相変わらず、気が利くねぇ。


「あれ、ありがとうアンディ。

そう言えばお腹が空いていたのを忘れてたね。

ちなみに、温泉は凄く良かったよ。

今日はもう疲れているんだったら、明日にでも是非利用してみると良いと思うな」

シャルロが声を掛ける。


「ああ、今は妖精王のお客人の為に温泉から人払いをしていたらしいからな。

明日入れば、ついでに住民とも色々話が出来そうだし、明日の朝にでも適当に入ってみるよ」

ソファから身を起こしたアンディが答える。


へぇぇ。

アルフォンスったら態々人(妖精)払いをしてくれたのか。

別にそんなことに気を遣わなくても良いのに。


「しっかし、お前ら随分と長風呂だったな。

案内の人が来たんだぜ。だけどお前らがいつまで経っても帰ってこないから、明日の朝食の時間にでも来てくれと頼んで帰しておいたぞ」


ははは。

ちょっと初めての温泉に魅せられ過ぎたか。


「案内の人が来ていたなんて、悪いことしたかな?」

アレクがエールをコップに注ぎ、軽く術を掛けて冷やして配ってくれた。


「単に明日の予定を話し合いたいだけだったみたいだから、俺が決めておいたぜ。

取り敢えず、ここって食事処は東側にある大樹の中にあるらしい。そこで好きな物を頼めるんだってさ。

本来ならば何か森に貢献することで『奉仕コイン』っていう物を貰うんでそれで払うらしいんだが、俺たちは王様の客だから、全部王様が後払いで精算してくれるんで気にしなくて良いって。

自分で料理を作りたかったらその食事処の隣に台所があるんで使って良いらしいぜ。

具合が悪かったり、今日みたいに疲れている場合は誰かが軽食を家まで持ってきてくれるらしい。

その他の設備については、明日の朝朝食の後に案内してくれるって」


へぇぇ。

奉仕コインね。

アルフォンスに全部頼るのは悪いから、何か役に立てないかな?

とは言っても、妖精の方が少なくとも俺よりは魔力がありそうだから、あまり役に立てなそうな気もするけど。


まあ、何か出来ることがあったら手を出すと言うことでいいや。



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