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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後2年目
277/1299

277 星暦553年 萌葱の月 3日 調査

「落とし物のようですよ」

記録用魔道具に対応するための結界魔道具も作り終え、久しぶりの気分転換にスタルノの所に遊びに行った帰り道で声を掛けられた。


相手が手に持っていたのは、左手の薬指に穴のあいた手袋。


マジかよ。

10日ぶりぐらいに都心に来たら盗賊シーフギルドの呼び出し人に捕まるなんて、長の情報網は一体どれだけなんだ。


・・・それとも、家まで来て、パディン夫人にこっちに来ていると聞いたのかな?

盗賊シーフギルドの人間が郊外の家まで態々手袋を届けに行くというのもちょっと違和感があるけど。

急ぎで俺が都心に姿を現すまで待っていられなかったのかな?

帰ったらパディン夫人に聞いてみよっと。


どちらにせよ。

呼び出しだ。

「おや、ありがとう。

もしかして、家の方まで届けてくれたのか?」


肩を竦めるだけで相手は答えず姿を消してしまった。

さて。

長はどこに今日は居るんだ?


◆◆◆◆


「お久しぶりです」

小さな商会の地下室にいた長に声を掛けた。

上は盗賊シーフギルドが間接的に運営している中堅サイズの商会だ。運営している人間はギルドの人間だが、商会の建物とこの地下室は繋がっていない。


流石に勝手に他人の家の下に地下室を作るわけにはいかなかったんだろうな。

上の建物に繋がっていない地下室というのは意外と盲点で見つかりにくい。


「おう。

サリエル商会から、一体幾らシェフィート商会から積まれたんだと問い合わせが来たぞ」

グラスにワインを注ぎながら長が言った。


「友人価格だったので一日金貨1枚の日当でしたよ」

ワインを受け取りながら肩を竦めた。

若い魔術師を雇う値段としては破格だが、熟練の盗賊シーフを雇うとなれば、物を実際に盗みに入る訳ではなかったので妥当な価格だろう。


「ほ~う。

そうか、ちなみに、もう一件似たような事を是非やって欲しいと依頼が来た。

友人ではないからな。金貨2枚でどうだ?」


やはり来たか。

隠し場所探しというのもそれなりに需要があるかなぁとは思っていたが、態々俺に話を持ってこなくてもそれなりに盗賊シーフギルド内の人員でなんとかなるだろうと予想していたのだが。


盗賊シーフギルドの人員でなんとかなるでしょうに。

何故態々俺まで話を持ってくるんです?」


長がにやりと笑って見せた。

「依頼主が軍なんだよ。

隣国のスパイだと当たりを付けている商会にちょうど税務調査が入ることになってな。

どさくさ紛れに徹底的に屋敷の中を探しまくりたいらしい。

ただし、出来れば相手にばれたと分からないように隠した物を探したいたいとの事で、盗賊シーフギルドに依頼が来たわけだ。

税務調査の間に見つけたとばれないように隠し場所を全て暴くとなると、盗賊シーフギルドの人間でもちょっと難しいのでな。

お前さんへ呼び出しが行った訳さ」


スパイと税務調査ねぇ。

そうか、他国のスパイ関係のようなことは審議官ではなく軍の管轄なのか。


だけどなぁ。

下手に、表に立場がある人間がそういう便利な技能があると軍にばれると後々面倒な事になりそうな気がする。


「今回の仕事に関して軍のために働くのを凄く嫌がっていたって相手にそれとなく言っておいて下さいね。

今後、便利に使われるつもりはないんで」


ワインを口に含みながら長が頷いた。

「散々渋ったと伝えて、値をつり上げておくよ」


いや、値をつり上げるのではなく、出来るだけ俺を使わない方向で頑張って欲しいんだけど。


「時間と場所は?」


「明日、王都の西税務調査室に8刻までに来るようにとのことだ。

軍の連絡員はデルヴィン・ガヴァーラだ。

ちなみに税務調査の責任者はサルティナ・テールブだ。当然、そちらにも話は言っているとのことだ。

お前さんが見つけた情報で、税務調査に役に立ちそうな物はテールブ女史に渡せだとさ」


ふうん。

まあ、税務調査する側だって、軍に協力するメリットがなければ嫌がるよな。


だけど。

きっちり変装して行こう。

軍どころか、隠し帳簿の場所を探すのに便利だなんてばれたら税務調査に毎回引っ張り出されかねん。

「俺の呼び名は名無し(アノン)と言うことで良いですよね?

軍もですが、国税局に便利な人間として名前を知られるなんて絶対にゴメンですよ」


「分かってるって」

なんかその笑顔が胡散臭いんだけど。

一体今回の案件で盗賊シーフギルドはどれだけ仲介料を毟り取ったんだ?



次の更新は14日です。

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