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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後2年目
245/1295

245 星暦553年 青の月 1日 幽霊屋敷?(8)


>>>サイド アンディ・チョンビ


3日前にウィルからメルタル師の屋敷に関する提案を聞いて色々調べた結果、師の弟子だったアプレス宮廷魔術師が王立魔術研究所で余剰魔力の研究をしているらしいということが分かった。そこで彼に面会するアポイントメントを入れて、メルタル師の屋敷で落ち合うことになった。


「ほう。これは・・・」

現れたアプレス宮廷魔術師に先日俺に見せたようにウィルがメルタル師の奥さんの映像を見せたのだが、流石に王立研究所で働いている宮殿魔術師だけあって、彼は説明されなくても余剰魔力が使われていることが分かったようだった。


「メルタル師に何度か余剰魔力の活用に関する研究について相談したことがあったが、師は既にその利用に成功していたのだな。

彼も人が悪い。教えてくれれば良いのに、ヒントしかくれないとは。

まあ、正解を教えるのは師の流儀では無かったか・・・」

小さく苦笑しながらアプレス氏がつぶやく。


おっと。

研究が進まなくて悪戦苦闘しているアプレス氏の横で、メルタル師が成功させていたのだとしたらちょっとアプレス氏にとっては気分が悪いかな?


まあ、魔術師というのは『自分の研究は自分のもの』という意識が強いから、研究結果を教えろとは誰も言わないが。

ただ、メルタル師が既に成功させていたのだったら、アプレス氏としては何らかの対価を払ってそれを教えてもらって更に研究を深めるなり、違う研究に専念する方が効率的だったのかもしれないな。


「この屋敷を相続したメルタル師の甥の方は魔術師ではないので、この屋敷の魔術がどれだけ稀有なものかは分からないし、分かったところで利用できないので結局は不動産としてここを売ることになると思います。

そこでお伺いしたいのですが、この魔術は王立研究所が研究用にこの屋敷を買い取るもしくは何年間か借り上げる価値があると思いますか?」

ウィルがアプレス氏に質問した。


ウィルとしては、折角なのでこの屋敷に関する様々な資金を魔術師になれる才能を有する子供を探すための基金として利用したいと考えている。


勿論、その資金を受け取る相続人が基金へそれを寄付することに合意する必要があるが、例え相続人が合意したとしてもまずその資金の提供源として王立研究所なり魔術院なりがこの魔術に対して対価を払う気が無ければ話は始まらない。


「ふむ。

我々が寮として使っていた隣の敷地を切り離すとしても、流石にこの立地の屋敷を丸ごと買い取るのはいくらこの魔術が画期的だとしても難しいな。

とは言え、我々がこの術を理解して応用できるまでの間、ここを借り上げるのは可能だろう。

だが、『幽霊騒ぎ』の問題解決のために魔術院から派遣されたに過ぎん君たちが何故そんなことを気にするのかね?」

アプレス氏がウィルと俺を見つめながら訊ねた。


「自分は生前のメルタル師にお会いしたことはありませんが、魔術学院の奨学金を受けて魔術師になった人間です。

先日、魔術学院が自分のような孤児を受け入れるようになった流れも、自分が世話になった奨学金の設立にもメルタル師の貢献が非常に大きかったと聞きました。

この屋敷にはとても有益な魔術があります。ですが、今の形では使いようがないので屋敷を売る際に術を破棄するしかないでしょう。それでは勿体ないですし、メルタル師の思いが残らないのも残念に感じます。

ですからある意味自分が受けたその恩を返す為にも、師の魔術を活用し、その資金で地方にいて自分よりも更に機会に恵まれない子供を助けるのに使えれば、と思いました。

勿論、この屋敷はメルタル師の相続人の物ですから彼を説得する必要がありますが、最初の段取りとして資金源を見つけなければなりませんよね?」

ウィルがアプレス氏に答えた。


う~ん、ウィル、最後がちょっと軽すぎないか?

お前が学院長みたいなお偉いさんと仲が良いのは知っているが、宮廷魔術師でそれなりの地位にあるアプレス氏だって俺達若造からしてみたら雲の上の人だぞ?


馴れ馴れしいとか生意気だと思われたら、纏まる話も纏まらなくなる。


だが、幸いにもアプレス氏はウィルの態度を不快に思わなかったようだ。


「成程な。

私としても師の功績が何らかの形で残るのは嬉しいし、研究が進めば自分にとっても得るものがある。

お前さんの構想やらをもう少し詳しく話してみろ」


依頼主を放置して色々画策しちゃっているウィル達ですが、一応依頼人は1週間から10日ぐらいでの解決を想定しているので、その間に色々動いているんです。


次は三日後の7日に更新します。

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