表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後2年目
221/1295

221 星暦553年 紫の月 22日 船探し(4)

「海上から見ているだけでは深いところに沈んでいる船は見えないと思うんだよね。

だから、小型のボートを蒼流に頼んで海底近くで動かして貰いながら探すのが一番良いんじゃないかな?」

空滑機グライダーでダッチャスまで飛んできた俺たちは、宿屋で海図を見ながら相談していた。


「シャルロの提案は良いが、どうやってまっすぐ予定通りのところを進んでいるか分かるようにする?」

前回は歩きだったから後ろに延ばした縄を時々確認することでどうにかまっすぐ進んだが、今回は船での移動だ。歩くよりずっと早く距離をカバーする必要があるし、カバーしなければならない範囲も圧倒的に広くなっていることを考えると、一々後ろの縄を確認し、それを巻き戻してまた縄を置き・・・・なんてことはやっていたら時間がかかってしょうが無いだろう。


「あの目付役の航海士の人に海上で俺たちが進むべき場所へ移動して貰って、そこから垂らした鎖でも目安に進むとかはどうだ?」

名目上は俺たちの手伝いと言うことで、昨日会った航海士が一ヶ月俺たちにつきっきりで付いてきてくれると昨日言われた。1ヶ月探して見つからなくても手数料は払うと雇い主は合意しているが、ちゃんときっちり努力していることを確認するためにお目付役として付いてくるんだろうな。


それこそ探し始めて3日目に見つけたのに知らぬふりして1ヶ月自分たち用に沈没船を探して毎日金貨1枚請求されたりしたらダルム商会もたまったものではないだろう。


「航海士って船がどこに居るのか知る技能があるんだろうけど、陸地もないところでそこまで正確に分かるんかね?」

宿屋に来る前に、空滑機グライダーで今回の捜査範囲を廻ってみたが、陸寄りの一番端っこ以外は周囲に全く何も目印になるような物がない大海原の中だ。

そんな中でどこに進んでいるか、分かるのか?

太陽や星の場所から計算出来ると言っていたが、そこまで正確なのだろうか。

まあ、俺たちが探す範囲だってそこまで正確じゃあなくても良いって言えば良いんだけどさ。


「まっすぐ進むことに関しては、コンパスで一定方向に進むことを確認すれば良いと思う。

だが、どこまで進めばいいかを確認する方法は必要だな」

アレクが海図を見ながらつぶやいた。


「こことここに、あらかじめ縄でも張っておいて、その間をコンパスで方角を確認しながら進むか?

どうせ海底を確認するためにイルムの術を使う必要があるから、それを半日持つように設置しながら進んで、次に引き返すときは光がギリギリ見える範囲を進んでまた反対側に光を設置して・・・ってやっていくのはどうだ?

イルムの術だったら多数を長時間設置しても交代でやればそれ程魔力的に苦しくはないだろう?」

かなり魔力の無駄遣いではあるが、まあ1日金貨一枚貰っているのだからその為に魔力を使っていると考えれば当然の労力とも考えられる。

どうせ海の中を船で進むのは蒼流か清早にやって貰うんだから、魔力的にも厳しくはないだろう。


「そうだね。

あ、だったら調査範囲に関しては縄を張るんじゃなくて、海底から2メタぐらいの高さの氷の壁を蒼流にばばっと作って貰っちゃおう。

これだけ大きな範囲を区切るのに縄を使おうと思ったら、そのための縄を持ってくるだけで疲れちゃうし、時間も凄く掛りそうだよ」

シャルロがお茶を淹れながらにこやかに提案してきた。


本来ならば何百メタもの範囲に氷の壁を作る方が数十メタずつ縄を張るよりもずっと大がかりで疲れる作業だが、どうやら蒼流にとっては大した手間ではないらしい。


つくづく、常識の範囲を超えている。

これで、船とかも見つけられれば更に良いんだけどねぇ。

シャルロが関係しない人工物なんて、先月作った物も50年前に作った物も『最近の船』と見なしてしまう精霊の時の感覚というのは残念としか言いようがない。


ま、贅沢を言っちゃあいけないけどな!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ