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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後8年目

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1407/1409

1407 星暦559年 赤の月 16〜17日 消火用魔具(9)

「久しぶり〜。

 ちょっと火事を探知する道具を作ろうと思っているんですけど、淹れたてのお茶では溶けないけど出来るだけ低い温度で溶ける錫の合金って何が知りません?

 あとこれ、パディン夫人のアップルパイです。良かったらどうぞ」

 スタルノの所に顔を出して、彼が一息ついたところで聞いてみた。

 賄賂代わりにパディン夫人に焼いてもらったアップルパイを持ってきている。


 スタルノはシャルロ程の甘いもの好きではないのだが、パディン夫人のちょっと酸味の効いたアップルパイは好きらしく、以前持ってきたら凄く喜ばれたんだよな。


「ああん?

 火事探知に錫の合金ね?

 なるほど、熱で溶けるのを引き金にするのか。

 ……悪くないな

 火事で燃える想定の道具だったら、一応熱したら毒煙がでるタイプはダメだろうな。

 だったら……ローズメタルかな?

 どんな道具を作るつもりなんだ?」

 汗を拭きながら炉から離れたスタルノが言った。


「まあ、形は実際に火をつけた木箱とかで何通りか試してみるつもりですけど、基本的な構造としては設定以上の熱に囲まれたら警報が鳴る形にする予定ですね。

 あとはその周囲を警報が鳴る温度以上に暑くならない様に冷却結界が起動するようにでもしようかと思っているけど、これはまだ考えている最中」

 渡されたコップに入っていた冷えたサイダーを飲みながら答える。

 音だけで良いか、火が広がらない様にする機能も必要かは警報がどの位実用的かとか冷却結界の魔力消費量とかを見て判断しないとだからな。

 使用人がいるのだから消火機能は必要ないと言われるかもだが、それこそ美術品部屋みたいに限られた人しか物理的に入れない部屋だったら、消火機能もあった方が良いだろう。


「ふむ。

 冷却機能は要らんから、警報の試作品でも一つくれないか?

 炭置き場に設置しておきたい。

 鍛治師に対する嫌がらせなんかで一番怖いのは、炭置き場に放火される事だからな」

 スタルノが言った。


「直接炭に火をつけられたら、炭置き場の天井に警報器をつけても手遅れなのでは?

 だけどまあ、試作品でいいなら完成間際なのを持ってきますが」

 金も取らずに合金の事を教えてくれたのだ。

 試作品ぐらいは提供しないと。


 鍛治師への嫌がらせで放火なんて事をする人間がいるとは驚きだが。

 炭を積んである場所に火をつけるなんて、大火事になって天候次第では王都中に火が広まりかねないだろうに。


「おう、頼むわ。

 防火結界を設置してあるが、うっかり魔力が抜けて弱っていたらとか心配だからな。

 別の探知用の道具があれば安心だ」

 ニカ!と笑いながらスタルノが応じた。


 一体誰がどう言う理由で嫌がらせをするのか、ちょっと知りたいが。

 一般論的な面が強い話なのだと期待しておこう。



 ◆◆◆◆



「古い木箱を買いたいと言ったら、ダルム商会が完成後に火事探知機を買わしてくれるなら古いのを無料で提供すると言ってきた。

 ついでに町外れにある積み直し用の土地も実験用に使っても良いそうだ」

 工房で朝食後のお茶を3人で飲んでいたら、アレクが徐に言ってきた。


 煙を使った火事探知の試作品は色々と作りまくった結果、四つほどが煙に対して警報が鳴った。

 残りの五つは反応なしだった。四つも反応するのがあったので。ダメだった五つはもう改造を試みることなくボツとして諦めることになっている。


 熱に反応する探知機は、昨日帰宅後にスタルノから教わった(ついでに必要な素材も提供して貰った)ローズメタルを使って作ってみたところ、中々良い感じに実質警報器だけな単純な構造のが出来ている。


 なので次は火事に近い状況での実験なのだが、それをアレクが昨日船を使った交易ではトップと言えるかもしれないぐらい最近頑張っているダルム商会に聞いてみると言ってあちらに昨日の夕方に訪れていたのだが。


 意外と皆、火事に対する警報器が欲しがるんだな。

 だったら防火結界でもかければ良いだろうにという気もするが。

 まあ、スタルノはついうっかり忘れるかもって心配から道具が欲しいんだろうな。


 ダルム商会は、火事にならなくても定期的に掛け直さなきゃならない結界よりも鳴らなければ魔石の消費もほぼない魔道具の方は良いと判断したのかな?

 とは言え。

「船ってそんなに燃えやすいのか??」


「いや、倉庫に使うんだと思うぞ?」

 アレクが苦笑しながら指摘した。


 ああ、そうか。

 船がうっかり航海中に火事になったら致命的だが、倉庫の方が火事に気付かなくて損失が大きくなりかねないのかも。


 船だったら火の気がある台所とかで見習いが寝起きする様にすればうっかりな火事が起きたらすぐわかるもんな。

 船の火事は気付かずに火が広がると言うよりも、何かの事故で火が広まってしまって消火しようと必死に頑張っても間に合わなかったって感じだろうからな。

 倉庫は一隻分を超えた交易品が煙になって消えかねないからな。

 商会本体に取ってはヤバいのかも。


 取り敢えず。

 作り終える前から購入者が見つかりそうだ。


死傷者の数は航海中の船の火事の方が多いでしょうが、金銭的な損失は倉庫の方が無限大に近いのかも?

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― 新着の感想 ―
>鍛治師への嫌がらせ どんな事情なのか気になりますね
ウィル君は序にギルドの方に確認して、火付けするバカ共の対応を聴いても良いと思うの。 (多分親指を首元で横にスライドさせると思うが) そして商会の皆様、すっげぇ前のめりですが……まあ、だろうなぁとしか。…
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