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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後8年目

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1399/1411

1399 星暦559年 赤の月 13日 消火用魔具

 シャルロの親戚(多分)の老貴族の所に設置した防犯用魔具は本人よりも家令にしっかり説明した感じだった。今朝確認しに行って来たシャルロによると特に誰も必要以上に捕縛用結界を稼働させたり、変な実験をしたりという事もなく、あっさり実証実験も問題なく日常生活の中で行えているらしい。


 今月の終わり辺りにでも老貴族とチェルナ子爵家とに話を聞きに行って、何か問題点や改善点が出てこなかったか確認した後、シェフィート商会があれを売り出すことになっている。

 製造を委託する工房は既に見つけてあり、売り出す先も何か所か話を始めているらしい。


 俺たちは製造番号を刻み込む目立たない場所を指定する程度で、後はすることはない。なので今日はのんびりと次の開発品について話し合うことになった。


「美術品や濡れたら困る書類があるような場所でも使える消火用の魔具を作らないか?」

 お茶を淹れながら提案する。


 下町なんかだったら消火は砂を撒くのがメインで、井戸や水道が近ければバケツリレーで水をぶっ掛けることもある。

 魔術師が駆けつけたら手伝う事もあるしな。

 まあ、精霊と契約している魔術師以外だったら、本格的に家が燃えている場合なんかにそれを消火できるかはかなり微妙っちゃあ微妙なんだが。

 ちなみに本格的に家が燃えている場合、基本的に周辺の家を壊して火が広まるのを防ぐのが下町の『消火』活動だ。

 そんなことになったら全財産が灰になってしまうので、そこまで火の勢いが強くなる前に消し止めようと皆が必死に頑張るのだが……成功率は然程高くはない。


 貴族の館や大きな商会だったら何らかの形で散水するタイプの魔具を使っていることも多い。

 が、何が何でも濡れては困るような美術品や重要書類が置いてあるようなところは基本的に火気厳禁にして、場合によっては魔術師を直ぐに呼び出せるようにしているって言うのが現時点での対処法なんじゃないかな?


「ふむ。

 チェルナ子爵の美術展示部屋みたいなところで使える消火用魔具か?」

 アレクがクッキーに手を伸ばしながら応じる。


「まあ、あれが思い付きの起点だけど。シェイラ曰く書類が濡れるのもかなりの悲劇だから、濡れない消火方法があるなら大歓迎っていう人間は多いかも?」

 王宮内だって、あったら嬉しいだろうし基本的に事務作業をやっている場所に水を撒かれるのは避けたいところだろう。


「人がいないんだったら空気を抜くとか燃えない特殊な空気を大量発生させる形にしたら書類や美術品を損ねずに消火出来ると思うけどね~。

 部屋のソファで寝ている人間が居るかもって考えると、そういうのって危険だよね」

 シャルロが困った顔をしながら俺からお茶のカップを受け取り、アレクの分も引き取りながら言った。


「そうなんだよなぁ。

 そういえば、防火結界って一応あったよな?

 あれってどうやって炎を防ぐんだ?」

 建物の外側に展開することも多い結界で、固定化などと一緒に魔術師が掛けるよう依頼されることが多い術の一つだ。

 あれの魔具を聞いた覚えがないってことは、魔術回路の形にはなっていないんだろうが。


「あれは……確か、温度が上がらないようにする結界だった筈。

 だから夏の暑さ対策にも多少は効果があると聞いた気がする」

 アレクがちょっと考えてから言った。


「温度が上がらなければ燃えないんだったら、煙や熱を探知したら冷却の術が展開する様にしたらどうだ?

 あれだって温度を下げるだろ?

 室内で水が凍る程度の温度に下がるようにしたら、火が消えないか?

 それだったらとばっちりを喰らった人間も風邪をひく程度で死にはしないだろう」

 少なくとも、そのまま一晩放置されるとかいう事が無ければ大丈夫な筈だ。


「冷却の術だったら冷蔵庫や東大陸からの船倉に付ける冷却・除湿用魔具とかの魔術回路を利用できるかも?

 もっとがっつり下げるなら冷凍機能の魔術回路もあるし」

 食べ物用に色々と冷やす機能の魔術回路は存在する。

 まあ、どの位急速に温度を下げられるかは不明だが。


「そうだな。

 まずは火事を探知する方法を確立して、次に火事を探知した時にどのくらい温度を下げれば火を消せるか、ちょっと実験する必要がありそうだが」

 アレクが黒板に書き込みながら言った。


「その部屋で火事が始まるんだったらちょっとした小さな炎から始まるんだろうが、他の場所で火事が始まってごうごう燃え盛りながら上とか横に広がってきたならもっと熱くて勢いもありそうだぜ。そうなるとそれこそしっかり火のついた暖炉を消せるぐらいの機能が必要かも?」

 と言うか、屋敷全部が火事になった時に、2階の一室だけ燃え残ってもあまり意味がない気がする。


「台所や使用人の部屋などはまだしも、貴族の屋敷としては応接間や客室、舞踏室なんかの客が入る部分全部を消火出来ないとダメだろうね~。

 商会だったら店舗のほぼすべての部分で消火機能が欲しいだろうし。

 そう考えると、かなり広い範囲で展開しても魔力消費量がそこまで大きくないのにしないとダメかも?」

 シャルロが指摘する。


 う~ん、そこまで大きくなると、それこそ防火結界を敷地全部に掛けた方が楽なんじゃないか?

 まあ、取り敢えずチェルナ子爵邸の美術部屋を消火出来る魔具を作ってから、それをどう活用するか、考えよう。


屋敷全部を消火できるような魔具は難しいですよねぇ

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― 新着の感想 ―
空調や自動消火システムを魔具でやるとなると、やっぱり集積回路みたいな代物が魔術回路と一緒に必要になるわけで。 ……ウィル君、入口で終わらせておけ。 多分1~2世紀先で、「誰だ魔具でソースコードが必要に…
油絵とかだと焼失は回避できても 絵の具が溶けてどろどろになってしまったら台無しですね
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