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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後8年目

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1397/1411

1397 星暦559年 赤の月 9日 魔力認証結界(25)(学院長視点)

 >>>サイド アイシャルヌ・ハートネット


「お久しぶりで~す。

 ちょっとこう、何らかの形で認証させた人以外が入ってきた時にぐるぐる巻きにするような捕縛結界を展開する防犯用の魔具を作ったのですが、魔術学院の方で使ってみます?」

 数か月振りに現れたウィルが軽い感じで聞いてきた。


「防犯用魔具?

 珍しいな、そっち方面に手を出すのは」

 表立って探せない代物を取り返すのに依頼を出しているこちらが言える義理ではないが、ウィルは裏との関係も考えてか、今までそういう系統の魔具は開発してこなかった。


 忍び込む側の技術がずば抜けているのだから、それを止めるのに必要な工夫なども知り尽くしているだろうに、やらないのだからそちらには手を出さないつもりなのかと思っていた。


「シャルロの親戚が美術品を盗まれた~って嘆いていたらしくって。

 魔力認証付きの防御結界を作ってあげようって話になりました。

 で、突き詰めている間に、魔力認証がある人間がナイフで脅されて魔力認証が無い人間を部屋に招き入れる羽目になった時に、何とか出来るようにしようってことで捕縛結界も付け加えたんです」

 苦笑しながらウィルが応じた。


 絵画が盗まれたシャルロの親戚ねぇ。

 そういえば、チェルナ子爵の所で何枚か絵が消えたという噂を聞いた気がする。

 あそこの子爵は能天気そうで明るいが、それなりに伝手はあるのでそのうち見つかるのではないかとは思っていたが。今後の為に盗まれない方向へも出資することにしたのか。


 とは言え。

「魔力認証付きの防犯装置なら今までだってあっただろう?」

 王宮などの機密を扱っている部屋は基本的に魔力認証で入る形になっている。


「扉に付けた魔力認証の鍵なんて、扉そのものを壊せば入れますから。

 まあ、扉を壊せないように作るだけのお金を掛けるなら別ですけどね。

 俺達のは部屋に入られないように防御結界を中に設置して、それの解除に魔力認証を使う感じなんです。魔石が枯渇するまで攻撃するとか、魔力認証がある人間を脅して中に招き入れさせるかしない限り、大丈夫な……筈。

 まだ実証試験中ですが」

 肩を竦めながらウィルが言った。


 おやおや。

 魔力認証の鍵と言うのは極めて高い防犯機能があると信頼度が高いのだが。

 扉を壊せばいいだけと言いうのはちょっと王宮側の想定にないかも?

 まあ、あちらは近衛兵が中を巡回しているのだから、扉を壊す時間的余裕が無いという話なのかも知れないが。


「面白そうな話だが、流石に魔術学院にそこまで高い防犯機能は必要がないかな?」

 入れないようにするよりは、入ろうとしたら分かるようにして捕まえる方が色々と先に繋がるし。

 それでウィルも捕まえたのだ。


 とは言え。

 ウィルが勧めてきたのも捕縛結界の方だったな。

「その捕縛結界はどんな風に機能する予定なのだ?」


「こう、入ってはいけない部屋にちゃんとした正規の鍵を持たずに入ると捕縛結界が稼働して、扉の上あたりに置いておく藁がばさっと落ちてきてそれで形成された縄でぐるぐる巻きになる感じですね~。

 それだったら一度起動した後は魔力が切れてもナイフで藁を切らなければ抜け出せないようになるので、魔力使用量も比較的限られます。

 何故か試作品を作ったお宅では当主も子供も警備担当も、この捕縛結界が気に入りまくって皆で交代でぐるぐる巻きになっていましたが」

 ウィルが『ちょっと理解できない』という顔をしながら説明した。


 ぐるぐる巻き。

 喜んで皆で順番に交代でぐるぐる巻きにされる貴族家の人間。


 ……人は見かけによらないと考えるべきか、あの子爵ならさもありなんというべきか。

 面白そうと言えなくもないが、魔術学院でそれを設置したら、それこそ話が広まった後は皆の度胸試し代わりに遊ばれそうだ。


「ぐるぐる巻きはそれこそ魔術学院の生徒に好かれそうなんじゃないか?」


「まあ、そうかもとは思いましたが。

 ちなみにこれって商会とか貴族とかにガンガン売りまくっても大丈夫ですかね?

 魔力認証型の防御結界付きの防犯用魔具より安価にした防犯用として売り出そうかなとも考えているんですけど」

 ウィルが応じる。


 ふむ。

 決まった鍵を持っていないと侵入したらぐるぐる巻きになる防犯用魔具。

 まあ、悪くはない仕組みかも知れない。

 普通に鍵を開けられないようにするという仕組みよりも、一段階確実に侵入者を捕縛できそうだ。


「鍵を掏られたりしたらどうなる?」


「どちらにせよ、部屋の鍵を盗まれたら侵入されてしまうでしょう?

 少なくとも、鍵を一瞬だけ盗んで合鍵を作ってもダメなんで、少しはましだと思いますよ」

 ウィルが肩を竦めながら言った。


 確かに、合鍵を勝手に作られても通用しないというのは悪くはないかも知れない。

 そのうちその『正規の鍵』とやらを作る手段が流出しそうだが。


「まあ、お手軽に設置場所を変えて巡回通路や廊下などに設置し直せないなら、良いのではないか?

 一応、製造番号を全ての販売する商品に刻印しておいて、誰が買ったのか記録しておく方が良いだろうが」

 悪用された時に何処から来た物か分かるだけでも、捜査の役に立つだろう。




購入者登録をしても、やっぱいらね〜と売りに出されて中古市場に流れたら収拾が付かなくなるかもですけどね

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― 新着の感想 ―
買い手が誰になるかは別として。 社会に受け入れられたらいたちごっこ発生確定ですね。 そういう社会変革が楽しいのですが。 社会改革といえば、グーテンベルグの活版印刷に近いものはあるのだろうか。 アレが出…
練習器具として盗賊ギルドが買ってくれるかも
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