1395 星暦559年 赤の月 6日 魔力認証結界(23)
3日程かかったが、魔力認証型防犯装置の試作品の改造が終わった。
まあ、使っていくうちにまだまだ色々と改善点が出てくるんだろうが。
次はもうちょっと落ち着いた老貴族な美術品愛好家にでも試作品を試してもらいたいところだな。
誰かシャルロの親戚とかでそういうのも居ないか、後で聞いてみよう。
まあ、それはさておき。
「ここに鍵を嵌めて右に回すと開きます。
鍵はこの部屋以外で、安全なところに保管しておいて下いね。この部屋に置いてあったら鍵を掛ける意味がなくなりますから」
魔力認証や防御結界諸々の魔具を収める鉄箱を設置して、鍵を閉めたアレクがそれをチェルナ子爵と子爵夫人に渡した。
一応鍵はスペアがないと困るだろうということで2つ作ったのだ。
子爵夫妻には言っていないが、鍵にはちょっと高いが特殊な魔力を通す素材を使っている。そうすることで普通に粘土とかに押し付けて型を取って複製を作っても、素材に注意を払わないと鍵を開けられないようにしてあるのだ。
家族や信頼した家令などが魔力認証されているという前提条件の魔具だからね。
そうなると家の中の鍵の置き場だってほぼ分かるだろうし、それを持ち出せなくても一瞬手に取って型を取るぐらいの隙は絶対に出来る可能性が高い。
なので勝手に写しを作れないようにちょっと一捻り工夫を入れたのだ。
「こちらで見えているのはなに?」
ガラス張りの部分から見えている光る点を指さしながらチェルナ子爵夫人が尋ねる。
「光の数が、登録されている人数です。
今は、4人ですね。
一人増えるともう一つここら辺に光が灯るようになります」
アレクが説明する。
本当は名前の形に光るようにしようかとも思ったのだが、結局その名前って登録する際に記録する形になるだけだから、誰かの登録を勝手に消して別の人間ので入れ替えた場合に、元の人間の名前を書けばバレないのだから、あまり意味はないという事で名前案は没になったのだ。
「で、こっちの青く光っているのが魔石が一応足りている証拠なの!
今度、魔石を2個入れる形に変えたから、最初の魔石が空になったらこれが赤く光るようになるから、そうなったら最初の空になった魔石を抜いて、二個目のを最初の場所に動かした上でもう一個新しい魔石を入れてね。
赤く光るようになった場合にはドアを開けるときに『魔石が減っています』って僕の声で宣言されるから、気付くとは思うけど」
シャルロが張り切って説明した。
『魔石が減っています』のセリフに関してはちょっと意見の対立があったのだ。
アレクとしてはもっと無難に違うベルの音でも鳴らせばいいじゃないかと主張し、俺は無難なベルの音じゃあ聞き流す人間も出てくると言い、シャルロがずっと魔石が減らなかったから交換のことを忘れていても直ぐに分かるように言葉ではっきり説明する方が良いと主張したのだ。
で、結局2対1的な感じにベルだけじゃ駄目だという結論になり、シャルロが警告の言葉を記録させて流すことにしたのだ。
「おお~!
そんなことが出来るんだ!?
是非とも近いうちに試してみたいものだね!」
チェルナ子爵が嬉し気に覗き込みながら言った。
「もうすぐ魔石が枯渇しそうだから、あと何回か捕縛結界を使ったら効果を披露できると思いますよ」
魔具の中の魔石の片方は既に殆ど空だ。
というか、今日まで枯渇しなかったことの方が驚きだ。
いや、よく視たらこれって俺たちが最初に入れておいたのとサイズが違う魔石だな。
既に一回枯渇して、入れ替えた後のがまた枯渇しそうなのか。
どれだけ捕縛結界で遊んでいるんだか。
「ああ、そういえば捕縛結界用の藁を入れる箱としてこちらを持ってきました。
基本的にこれに一杯になる程度の藁を入れて上の棚に置いておくようにしておいてください」
あの風除室に入る人数を捕縛できるだけの藁を入れられる箱を持ってきておいたので、箱を傍で待機している家令に渡した。
「箱が一杯になるだけの藁さえあれば、何度再起動してもよろしいのですかな?
何度も使っている間に大分と折れたり曲がったりして弱ってきている気がするのですが」
家令が箱を受け取りながら尋ねてきた。
「流石に全部が1イクチ程度まで細切れになっていると不味いと思いますが、ちょっと折れたり弱くなっている程度なら構いません。
まあ、1年に一度ぐらいは交換した方が埃っぽくなったり黴臭くなったりしなくていいと思いますが」
これだけ遊びまくっていたら1年も待たずに1イクチ以下の細切れになりかねないが。
「ありがとう!
では早速この枯渇警告が出るまで、動かしてみよう!!」
嬉しそうにチェルナ子爵が言った。
好きだね~。
そろそろ終わりが見えてきた




