1394 星暦559年 赤の月 3日 魔力認証結界(22)
昨日は結局長男のキース氏や子爵夫人を登録したところ……。
各々が登録されていない人間を通したり、捕縛させる練習をしたり、捕縛させる練習をしたり、捕縛させる練習をしたり。
その間に子爵夫人にも新しい人物を登録する方法や子爵夫妻に登録させた人物の魔力登録を抹消する方法などを教えていたら、1日が終わっていた。
あの家族、本当に捕縛結界が好きだね~。
それこともぐるぐる巻きになるのって普通の一般人でも好きなのかな?
「じゃあ、追加が必要な機能はまず魔力登録をする魔具本体を囲む鍵付きの金属箱。
次に登録した人数が分かる仕組み。
最後に、出来れば魔石が減った時に確実に補充する用促す警報ってところかな?」
シャルロが朝食後のお茶を飲み終わり、工房で黒板の前に立って改善点を書き出した。
「そんなところだな。
ところで、シェフィート商会の子供預かり所に捕縛結界を使ったおもちゃを提供してみたらどうかな?
チェルナ子爵一家のあのはしゃぎようを見るに、捕縛結界って自分が留置所に叩き込まれる前触れじゃなければ、楽しい遊びらしいから」
思わず昨日から考えていたことが口から出てきた。
「確かに子供が遊ぶのに喜びそうだが、ちょっと悪用出来る可能性が高過ぎるから、商品化はしない方が良いだろう。
悪事をした後に警備兵などを撒くのに使われたら、八つ当たりを兼ねて警備兵からこちらの責任を追求されるなんて事態になりかねないぞ」
アレクが指摘する。
あ~。
と言うか。下町にいる警備兵だったら、住民が喜んで金を出し合って捕縛結界を買い、あいつらをぐるぐる巻きにして色々報復をするのに使いそうだ。
流石に暴行を加えたら後の報復が怖いが、ちょっと服を引っぺがして表通りに転がしておくぐらいならありだろうと考える住民が多そうだ。
俺だって、スラムに住んでいる時代だったらやったと思う。
「まあ、商品化してあれをバラで売るのは諦めるとして。
屋敷の住民が遊びに使いまくるせいで早く劣化したり魔石が空になる可能性があるから、最低でも魔石が枯渇寸前になったら警告が出る仕組みは必要だよね~」
シャルロが頷きながら言う。
「そう考えるなら、上の藁の所も量が足りなかったら警報が出るようにした方が良いかなぁ?」
と言うか、風除室もどきの部屋のサイズによって必要な藁の量が変わるからなぁ。
魔具の中にそれを判断して警告を出す仕組みにするのは大変そうだ。
「部屋のサイズごとにこの大きさの箱を一杯にするだけの藁を入れてくださいってことで厚紙か何かの軽い素材で作った箱を一緒に提供する形にすればいいんじゃない?」
シャルロが応じる。
「そうだな。
後は魔石が減ってきていた時の点滅とか登録された人数とかを、魔具を囲う箱の外に見えるようにしないと」
アレクが指摘する。
確かに。
魔石が枯渇しそうになってきた時の点滅する小さなランプは魔具本体に着けてあるが、目立たないかもと思っていた。それを鉄箱で囲ったら、目立たないどころか自分で鍵を持ってきて開いて中を確認しなくちゃ見えない。
それでは意味がないだろう。
下手をしたらあの能天気そうなチェルナ子爵だったら、直ぐに開けて確認できる様にと箱の鍵を美術品がある部屋に隠しておきそうだ。
若しくは四六時中持ち歩いていて、どこかで落として無くすか。
「登録数に関しては、魔力登録の記憶領域が使われていたら光るように魔術回路を改造して、その光る部分が箱の外から見えるようにちょっと箱に穴をあけるか、一部ガラス張りにするかしたらいいかな。
魔石が減ってきた時も点滅する部分を箱の外から見える部分に動かせばいいだろう。
後は……何か音がする方が良いか?」
目で見る情報って注意を払っていないと意外と見過ごすんだよなぁ。
あとから、『何であれが目に入らなかったんだ?!』と驚いても手遅れなのだ。
と言うか、見えたら見過ごすわけがないんだから、警告部分の点滅がちゃんと機能しなかったんだ!と俺たちが責められかねない。
幾ら後から同じ状況を作ってちゃんと点滅しているのを証明したところで、美術品が盗まれた時は故障か何かで上手く機能していなかったに違いない!と主張されたら水掛け論だ。
流石に俺たちが賠償する羽目にはならないだろうが、不満を持った購入者に悪評を広められかねない。
こんな美術品を想定した大掛かりな防犯用の魔具を買うのなんて、貴族か一握りの上澄みな豪商だけになる。
そんな連中に不満を持たれて悪評を広められたりしたら、俺達やシェフィート商会にとって致命的な事になりかねない。
まあ、あまりやり過ぎてシャルロが怒ったら蒼流の報復で相手が破滅するかもだが。
「魔石が残り3割以下になっていたら、『魔石を補充して下さい』ってドアを開けるときに声が流れるようにするとか?」
シャルロが提案する。
「いや、魔石の魔力残量を測るなんて機能を付けると大変だろう。
それよりは、魔石を2個使って機能する形にして、一個目が空になったらそれを入れ替えない限り毎回と扉を開けるたびに警告が流れるなんて感じにしたらどうだ?」
魔石の残量を測る魔術回路は何種類か存在するが、それなりに複雑だし正確なのは特許使用料も魔力使用量も高いんだよね。
それよりは2個の魔石を入れておいて、最初の一個を通常は使うけど、それが空になったら次の魔石を使う感じに魔術回路を設置して、二個目の魔石を使う際には警告が鳴る形にした方が現存の魔術回路を大幅に変えなくて済む。
多分。
「そうだね~。
取り敢えず、それでやってみようか」
警告の点滅ランプとかって意外と見過ごすんですよねぇ。
いざ問題が起きる血、『点滅してんじゃん?!』って驚く事になるw




