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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後6年目
1322/1326

1322 星暦558年 桃の月 21日 久しぶりの手伝い

「年末まで適当に過ごすことになったから、何か手伝えることがあったら手伝うよ。

 魔石の充填でもしようか?」

 朝食を食べながらシェイラに尋ねた。


「あら、のんびりしていると思ったら、もう今年の仕事は終わりなの?」

 シェイラがちょっと驚いたように聞き返してきた。

 昨日は街中を散策したり、金の管理に関して話すのに時間を取られて今後の予定を話し合うのを忘れていたんだよな。


「下手に年をまたいで開発作業を始めると費用とか収益の把握が面倒になるし、シャルロもアレクもそれなりに年末までにやりたいことがあるみたいだからね。

 邪魔だっていうなら王都に帰って適当に鍛冶作業でもやっているが」

 ツァレスをせっついて報告書を書き終わらせるのに忙しすぎて俺と付き合う時間がないって言うなら、日中は王都に帰って鍛冶作業をやり、夜だけこっちに来る通勤モドキも可能だ。


「あら!

 折角手伝ってくれるというのにそれを無駄にするつもりはないわよ!

 とは言え、魔石の充填は頼んだらちょっと金銭的価値が高すぎるから不味いと思うけど」

 シェイラがにっこり笑いながら言った。

 魔石はなぁ。

 確かに売り払えば金になるから、どうせ使わない魔道具用の魔石なんぞ売っちまえとツァレス辺りが考えても不思議はない。

 それなりに魔具の試作品をシェイラに渡している。そのうちの幾つかは発掘チームが使い、必要に応じて金を払って魔石を充填させている筈。

「じゃあ何をすればいい?

 穴掘り?」

 久しぶりに使い魔のアスカに声を掛けて手伝ってもらってもいいかも?


「……いえ、どうせなら大樹の上の方を調べて貰いたいの。

 どうしても上の方って調べるのが難しいから後回しになっているのよね。

 外周近くの人避け結界に使われていた大樹は見てもらったし私たちも調べたけど、他の木にも何かあってもおかしくないから、集落の外れ辺りから森の中まで、どの木を調べたか記録しながら何か紋様のようなものが残っていないか、調べてくれる?」

 シェイラがちょっと考えてから言った。

 確かに、この遺跡は大樹に術を補強させる感じで大掛かりな結界とかを展開していたからな。

 個人的な家とか見張り場みたいなのの痕跡がどこかに残っていても不思議はないかも?

「了解。

 ちなみに遺跡に人が住んでいた時代からの木ってどのくらいのサイズになっているんだ?」

 主要な大樹はまだしも、それ以外の巨木のうち、どれを調べる必要があるのか教えて欲しい。

「う~ん、木の種類によって成長速度も違うからねぇ。

 森の中を見て回って大きい木がどこにあるか書き出して、順番に調べて貰えるかしら?

 準大樹クラスの木がどこにあるかを調べてくれるだけでも助かるし」

 シェイラが応じる。


 森の中の大木のマッピングねぇ。

 あまり森の中を歩くこと自体が好きじゃないんだが。森を散策している際の現在地の把握もあまり得意じゃないし。

 上空に上がって見取り図的なのを描けないか、試してみるか?

 そう考えると熱気球でもあったら固定した場所で上空に上がって作業が出来るな。

 空滑機グライダーだと風に乗って移動しちまうから、熱気球の試作品でも工房から持ってきてそれを宙に上げるかな。

 浮遊レヴィアでこの森の大樹のてっぺんよりも高い地点まで上がって滞空し続けるよりは楽だろう。


 とは言え、考えてみたらあの熱気球もそれなりに大きかったから、ちょっと王都からここまで持って来るのが面倒かも。

 う~ん、だとしたら結界に使われていた大樹のてっぺんから周囲を見回す形にすればいいか?

 あの大樹らが他の巨木よりも圧倒して背が高いかは、上空から確認したことがないので不明だが。

 取り敢えずどれか一本選んで、一番上まで浮遊レヴィアを使って伝い上りっぽい感じに登って確認してみるか。


それ程馴染みの無い森の中で、自分が歩いている現在位置を把握できる人って少なそう?

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― 新着の感想 ―
ウィル君の場合は「自分が困ったこと」が開発の指針になっているので、確実に新開発行き。 そして何か発見したらそれも含めて改善するんだろうなぁ。 ついでにふわりと浮き上がるってのは、ある意味浪漫と言うか。…
これは新発見の予感!?
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