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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後6年目
1160/1303

1160 星暦558年 翠の月 1日 海に落ちたら(2)

「こう、空滑機の安全ベルトに付けた緊急呼び出し用の共鳴強化した魔石を、海に落っこちた時の救命用の魔具にも付けたら救助を頼みやすくなると思わない?」


救命用魔具に欲しい機能や形について色々と思いつくままに書き出していたら、シャルロが更に追加の機能を提案してきた。


「う~ん、空滑機と一緒に貸し出す安全ベルトだったら貸し出し事務所で誰が出て行ったのかとか大体どっちの方向に行く予定と言っていたかとかを把握しているし定期的に共鳴強化した魔石の片割れに目を光らせているけど、船に乗る連中相手に売った場合っていつ出て行ったのかいつ帰ってくるのかも分からない上に空滑機よりもずっと遠くへ行くじゃん?

船に乗っている間ずっと常時身に着けても邪魔じゃ無い程度の魔具の出力じゃあ無理だろ」

誰がその共鳴強化した魔石を見張っておくのかと言う問題もあるし。


「まあ、確かに携帯通信機の魔具はごく近距離で使う単体ならまだしも、ある程度の距離をカバーする為の増幅器ブースターはそれなりに重いからな。

あんなものを常時手元に持っておけないだろうし、あれを持っていたら海に落ちた時に沈んでしまうな。

それだったら緊急通信機とか他諸々を詰め込んだ救命ボートを売りだした方がまだいい」

アレクが言った。


空滑機だって魔石の追加を持って行って、自分で適当に休憩を取りながら飛べば船と同じぐらい遠くまで飛べるが、俺たちが安全ベルトと一緒に貸し出しているのは基本的に王都での日帰り用だから、距離もたかが知れているんだよな。


船の方が空滑機より遅いとは言え、何週間もかけてずっと遠くまで出ていくから共鳴強化の魔石じゃあ全然カバーできない。

携帯通信機だって別の国まで行くような場合だったら余程たっぷり増幅器ブースターに魔石を積んでおかないと直ぐに魔力が切れて繋がらなくなる。


「別に救命ボートだったら今の船にだって普通についてるから売り出しても意味がないか」

シャルロがちょっとがっかりしたように言った。


「いや、ちょっとした浅瀬に出ていく時用なんかに小舟を乗せている船は多いが、救命ボートは必ずしも載せてある訳じゃあないぞ?

大型客船は幾つか特級客室の客用に準備しているかもだが、載せられる数には限りがあるし・・・それに大型な船が沈む時は周囲の水を引き込むから、普通の救命ボートだとそれに巻き込まれて沈むことも多いらしい」

アレクが教えてくれた。


え。

救命ボートは必ずしもある訳じゃないんだ?

まあ、確かに船の上って空間が限られているから小型ボートを多数載せておくのは邪魔っちゃあ邪魔だよな。

考えてみたら、嵐で船が沈むような状況だったら小さなボートに乗っていたってヤバそうだし、座礁するんだったら基本的に海岸沿いだろうから救命ボートなんぞ使わなくても陸まで泳げそうな気がするから、あっても役に立つのかって言うのも微妙そうだし。


実際には船が沈んで死ぬ人は多いんだから、救命ボートがあったら!!って最後に思うことは多いんだろうが、出港前の準備段階だったら邪魔で不要って考えることが多いんかもな。


「う~ん、それこそ上着の形の何かで水に浮いて溺れるのを防ごうってするんだったら、水に投げ込んだらぷっくり膨らんで船か筏の形になるような救命ボートもどきを携帯用通信機と増幅器ブースター込みで箱にでも入れて売り出すとか?

まあ、陸側で空滑機(改)を直ぐに借りられる立場にある人が居ないと連絡がついても助からない気もするけど」


金を更に払うなら非常食と創水機能付き水筒を入れておくのもありだな。

水さえ飲めれば人間はそこそこ長生きできるから、非常食は無しでも良いかも知れない。


「それなら何とかなるかも知れんが、甲板に置いてある箱の中に魔具が入れてあると船員に知られたら、そのうち何処かの港で中身を抜かれて売っぱらわれ、実際に船に沈んだ時には何も中に入っていない箱だけが残っている可能性が高い気もするぞ」

鍵を掛けておく方が無難だが、鍵付きだったりしたらいざという時に鍵を探している間に溺れてしまいそうだ。


「確かに。

毎回出港する前にどこか空滑機(改)を持っている商会か団体と契約して、中身がちゃんと機能することを確認した箱を受け取る形にする方が良いかもね~。

航海中に入港する時は鍵がかかる棚にでもしまっておかないとだけだけど」

シャルロが頷きながら提案した。


「まあ、そこら辺は私たちがやらなくても良いだろう。

常時着ていられる程度の服が救命具になるような魔具を造れば、それを発展させて水に落としたら救命ボートになるような箱を作って中に必要な物を詰めるサービスは誰か別の人間がやれば良い。

船用の保険会社とかにでも提案してみてもいいし」

アレクが救命ボートと救助サービスに関しては話を切った。


確かに、俺らが助けに行く方とかの話までやるのは無理だな。

取り敢えず、海に落ちても溺れない上着でもまずは開発するか。


考えてみたら、救命ボートじゃなくて救命筏の方が場所をとらなそうですが、波で揺れた時に落ちやすいから現実ではボートの形にしているんですかね?

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― 新着の感想 ―
アクアボールとかウォーターボールとか呼ばれる 球体の中に入って水上で遊ぶ奴とかどうでしょう
そういえばルイ・ヴィトンの国際的名声の一つに、タイタニック号の事故の際にルイ・ヴィトンのカバンが浮袋代わりになったという話が。 そうすると、カバン其の物に気密性を高める魔具を仕込んでおくのもありか? …
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