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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後6年目
1131/1303

1131 星暦558年 青の月 18日 遊ぼう!(18)

「これは美味しいですね!」

ノルダスの商業ギルドでシェフィート商会から持たされた美味しいつまみになる燻製肉とやらの試食を勧めてみたところ、素晴らしく食いつきが良かった。


ちなみに商業ギルドで対応に出てきたおっさんは、寒いからこう・・・ずんぐりむっくりな背の低い人間でも多いのかと漠然と想像していたのだが、出てきたのは大柄な赤ら顔な男で、この赤い顔が寒さとか日焼けから来るのか、酒の飲み過ぎから来るのかちょっと判断に迷うところだ。

まあ、商業ギルドで国外の商会から商品を持って現れた人間に対応する事になったそれなりな地位であろう人間が、酒に溺れるタイプとも思えないので寒さが原因なのだろう。

多分。


とは言え、試食品を試すのにこちらの地酒を飲みながら食べるのはどうなのかと言う気もするが。

酒のつまみとして美味しいと勧められたのだから、酒と一緒に食べなきゃ良さが分からないという言葉に一理はあると言えなくも無いけどね。


アレクとセビウスも一緒に一切れずつ食べていたが、彼らは酒を出されても舐める程度で殆ど飲んでいなかった。

こういうのって最後に一気飲みするのか、それとも残すのか、どっちなんだろ?

どちらもちょっと問題がある対応な気がするが。


俺は流石にこれから見知らぬ土地で、ちょっと裏通りにある可能性が高い鍛冶師が多い地域に行くつもりなんで酒は最初から断っておいた。


清早に頼めば酒精分を飛ばして無害化するのも可能なんだが、酒って味覚を鈍らせるせいか酒精分が無くなるとあまり美味しくないのが多いんだよな。

だから水かお茶を飲みたいと言ったら水が出てきたが、意外と味は悪くなかった。


街中の水なんて飲めたもんじゃないのも多いんだが・・・ちゃんと浄水の仕組みがあるのかな?

もしくは商業ギルドとかは街の生活に汚染される前の水を直接川か深い井戸から引いているのか。


まあ、それはともかく。


小麦もそれなりにニコニコして受け入れ、幾つか出された陶磁器も興味深げに調べ、他の薬やら良く分からない物やらも更に専門の担当を呼んで前向きに見ていた商業ギルドの職員だが、最後に出したこのつまみは口にしてにっこにこになっていた。

うん。

これで一気に好感度が上がった感じ?


先に美味しいのを出して機嫌を取った方が良かったんじゃないかね~とも思ったが、もしかしてあまり期待値を上げすぎないで最後に良いのを出した方が失望されなくて良いとか、なんか戦略があるんかな?


俺には分からん駆け引きだ。

取り敢えず、それなりな金額の通貨が商業ギルドとアレクの間で動き、ズロクナに商業ギルドに渡す商品のリストと数量を書いたものをアレクが渡して商業ギルドの人間と一緒に船に戻っていった。


ここまで持ってきたのはサンプルだったから、売った数量分だけ金を貰った訳だが・・・これで船に想定通りの量が無かったら、後で俺たちを追っかけて来て金を取り返すんかね?


イマイチこういう商業ギルドとかの信用取引っぽい金の動きって良く分からん。

普段は詐欺だと分かったら差し止め出来る小切手とかを使っているんだろうが、流石に旅行中に小切手貰っても困るからさっさと通貨を貰えて助かったけど。


「取り敢えず、ウィルは鍛冶師のご機嫌取りに燻製肉を持って行くんだっけ?」

アレクが交渉中に書いたメモを見ながら聞いてきた。


「おう。

流石に鍛冶師のおっさんが小麦を欲しがるとも思えないからな。

炭も考えたが・・・あれはそれなりに好みとか工夫があるし嵩張るから、頼まれもしないのに持って行って贈るのには向いていないだろう」

俺の所の火蜥蜴サラマンダーのサラ君みたいなのがいるんだったら炭を餌に、それの品質がどうであれ火を熾して温度調整を火蜥蜴サラマンダーの方でやってくれるが、自分で温度調整しながら炉を使うとなったら慣れない炭の品質が良すぎても悪すぎても問題が起きるからな。


火蜥蜴サラマンダーが確実にいるんだったらご機嫌取り用に品質の良い炭を贈るのもありだが。

まあ、そう思って多少は持って来てあるんで、アチューなんとかの炉に火蜥蜴サラマンダーみたいな幻獣がいたら渡そう。


ちなみに、アチューラもアチューロもそれなりに良くある名前らしく、そこそこ腕のいい剣を作る鍛冶師で商業ギルドのおっさんが知っているだけでもアチューラが2人、アチューロが1人いると言われて、それらの鍛冶師のいる店の場所を教わった。


何かちょっと幸先が悪い気がしないでもないが・・・一応、3人とも店がそこそこ近い同じ地区にあるっぽいので、そこを適当に歩き回ったら良さげな鍛冶師を見かけるかもということで商業ギルドの紹介はあまり気にせず、昼食後に適当に鍛冶師の多い地区をふらつくことにした。


食事に関しては赤ら顔のおっさんに夕食に素晴らしく良い酒が出る店なら良く知っている!!と言われた。そちらも一応何軒か店の名前を聞いておいたが、陶磁器の査定に来た女性から聞いた美味しいランチの店へ先に行くことになった。


取り敢えず、そこの店が美味しかったら後は適当にふらっと入って食べても良いかもだな。

と言うか、お勧めじゃない店に適当に入って外れがあるかどうかを確認するべきかも?


お勧めなところはイマイチな食文化な地域でも美味しい可能性が高そうだ。

まあ、今晩もお勧めな店に行く予定なのだ、明日の昼にでもちょっと冒険してみよう。




少なくとも商業ギルドのおっさんはドワーフではなくバイキング系?

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― 新着の感想 ―
[一言] 蒸留酒を熟成させる魔道具とか相当な需要がありそう
[一言] 商業ギルドの取次役は、赤ら顔のバイキングが浮かびましたね。 そしてやっぱりウォッカ系が大好きなようで。 度数の低い酒を持ってきたときの対応次第で、色々分かるかもしれませんね。 そして、海外で…
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