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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後6年目
1121/1304

1121 星暦558年 青の月 15日 遊ぼう!(8)

「じゃあ、お土産に良い品を提供してもらう代わりに誰かが同行するのは良いとして。

ちなみにノルダスって王国なのか?それとも共和国?」

王国って言ったら王様が上に居る国だろう。


共和国が何を意味するかは微妙に不明だ。

ザルガ共和国は平民しか居ないで『委員会』で国を動かすと言っても、その委員会のメンバーが実質世襲だったら貴族制度と変わらんだろう。でもまあ王様がいなければ『王国』以外にはなるか。

考えてみたら、東大陸の方なんかは国の名前すら微妙に不明だからなぁ。

俺たちがちょっと行って市場を覗く程度だったらノルダスの制度がどんな形だろうとあまり関係は無いだろうが、一応知っておいて損は無いだろう。


特に、誰か偉そうな奴に絡まれた際にどの程度やり返して良いのか知っておくのは重要だ。


「幾つかの職業ギルドのトップが持ち回しで国の方針とかを決める責任を数年おきに負うらしい。

それ程豊かな国ではないし、偉くなろうと無意味に贅沢な暮らしなんかしていたらあっという間に民にタコ殴りされて排除されてしまうせいで、国のトップの座も責任ばかり重くて美味しい所があまりない役職らしい」

アレクがメモを取り出しながら言った。


「金細工で有名なんだろ?

贅沢出来ないのか?」

まあ食料の入手が国外に依存しているとなると、確かに金が取れても国外の商家とかの関係が拗れるとヤバい事になるかもだが。


「それなりに政府の建物は贅沢に金細工とかが使われているらしいが、あちらは職人がそう言うのを作るのを楽しんでいるから色々飾っているだけで、富の象徴としての贅沢ではないらしいな。

商人が行っても、金貨よりは酒と言われるらしい」

アレクが肩を竦めながら応じた。


あ~。

スタルノもそれに近い物があるかも?

拘る職人って金よりも自分の技術をいかに磨いて昇華させるかに熱中するよな。


「ちなみに魔具とかは作らないのか?

拘りまくる職人の国だったら、そっちも良い物を作っていそうだが」

魔術院に登録される魔術回路の特許って西の大陸全部で統一されていると思っていたが、考えてみたらノルダスもそれに含まれるのかね?


アレクが首をちょっと傾げて考え込んだ。

「ノルダスと言うと金細工や鋼の武器や防具が有名だが・・・魔具が出回らないのが作っていないからなのか、持ち運びの手間と値段が吊り合わないからなのか、分からないな。

向こうに着いたら街を歩く際に魔具が売り出されていないか、見て回ってみよう」


「あっちにも魔術院ってあるんだよね?」

シャルロが確認に尋ねる。


「・・・あるとは思うが。一応アンディに聞いてみよう」

通信機の方へ歩きながらアレクが言った。


悪いね~秘書みたいに色々と頼んじゃって。

でも、アレクが一番こういう細々とした要確認事項に関して確実なんだよな。

俺だとうっかり忘れるし、シャルロも忘れるか、ちょっと思っていたのと違う方向に突っ走ることもあるしで微妙に再確認が必要になることが多いんだ。


その点、アレクは常識的な行動をしてくれるから想定外な結果に繋がらないことが多い。


アンディの魔石を嵌めこみ、アレクが通信機に魔力を通す。

暫くしたらアンディの声が通信機から流れてきた。

『おう、どうした?』


「アンディ、アレクだ。

シャルロとウィルもここに居る。

今度ノルダスの方に遊びに行こうと計画しているところなんだが、あの国って魔術院があるんだよな?

どこら辺にあるのか、教えてくれないか?」

アレクが通信機に話しかけた。


おや。

あるの?と聞くのではなく場所を聞く形にしたか。

まあ、なければ場所も教えようがないし、あったら確かに場所を聞いておく方が無難だよな。


『ノルダス??

随分とまた辺鄙なところへ行くんだな~。

でも、涼しくて良いか?

魔術院ねぇ。

王都の川付近の端っこにあると聞いたが、正確に何処かは知らないな。

なんだったら転移門で一度行ってみて、場所を確認してみたらどうだ?』

アンディが答えた。


どうやら転移門はあるらしい。

しかも、場所を調べて教えてくれるんじゃなく、自分で行って向こうで聞けと言うのは中々斬新な手法だが・・・確かにそれも有りか。

ちょっと建物の屋上にでも出て、浮遊レヴィアで上の方に上がれば大体の場所は分かりそうだ。

川沿いならば後から探すのも難しくないだろうし。


「そうだな、もしかしたらそうするよ。

ちなみにあっちで登録されているような魔術回路で特に優れている技術ってあったりするのか?」

アレクが尋ねる。


『さあ?

特にこっちに輸入されている魔具があるとか、あっちの魔術回路を使っていてノルダスへ多額な支払い義務が生じているっていう話は聞いていないな。

もしかしたら保温とか加熱の魔術回路は良い物があるかも?』

アンディがあっさり応じた。


あ~。

確かに、保温関係の魔術回路は良い物が多そうだ。

まあ、断熱素材がずば抜けて良くって魔術回路は普通にこっちで使っているのと同じという可能性もあるが。


魔術回路で何か良いのがあったらシェイラへのお土産用に良いかもだな。

魔術院の売店で何かないか、向こうで探してみても良いかも知れない。



保温用魔具はちょっと夏に言っても本腰を入れて探す気にならないかもだけど。

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― 新着の感想 ―
[一言] >アレクは常識的な行動をしてくれるから 裏の世界の常識ならウィルの方が
[一言] ……………指輪物語やD&D、ロードス島戦記のドワーフの国が思い浮かびましたよ。<ノルダスの国運営。 本気で職人気質な国家過ぎて、利益調整ができないんだろうなぁ。 興味があるかと聴かれればある…
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