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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後7年目

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1041/1343

1041 星暦558年 赤の月 27日 音にも色々あり(4)

「中々思う様に弱められないねぇ」

シャルロが何度目か分からないぐらい色々造った試作品に大きくバッテンを貼り付けながらため息を吐いた。


色々魔術回路を変えてみては試作品を造り、大声を出したり街から購入したオモチャのトランペット(多分?)を吹き鳴らしてみたりで試すのだが・・・全部音が消えるか、全然消えないか・・・酷い時は音が大きくなったりと言った微妙な結果が多かった。


音が大きくなるのなんてやった事の反対なことをすればいいのでは!?と興奮したのだが結局色々と弄くり回しても音が完全に消えるだけで、それだったら普通に防音結界で音を消す方が簡単だった。


音を消すだけな防音結界だったら既に完成度が高い魔術回路があるし・・・過去に販売制限された歴史が既にあるから、俺たちがそれと同じ機能の魔具を売り出したら販売制限一択だろう。

販売制限されるのは嫌だし、何よりも俺たちの作った魔具を悪事に利用されたなんて後から知りたく無い。


なので是非とも音を耳障りでは無い程度に減らす魔具を作りたいのだが・・・。

中々上手くいかない。


『音も水の流れと同じで波の動きだ。

同じ波を反対向きにぶつければ音は消えるか・・・小さくなるぞ?』

がっかりしたシャルロを見ていられなかったのか、蒼流が現れて何やら助言らしきものをくれた。


「うん?

流れじゃなくて波だと思えば良いんだ??

そう言えば、水面の波って縁に当たって反対向きに波が生じた時ってお互いにぶつかると消えることがあるよね」

俺は蒼流が何を事を言っているのか分からなかったが、シャルロには何か思い当たる点があったらしい。


「波??」

アレクが聞き返す。


「ウィルが音だって水と同じで奔流になって流れている感じがするって言ったじゃん?

蒼流は音を波みたいに扱って、波を打ち消すような魔具を造れば良いって言ってくれたんだよ」

シャルロが成分分析用魔具を造った際に使った大きな桶のような箱を取り出して水をその中に生み出しながら言った。


どうやら口で説明するのではなく見せてくれるらしい。


「こうやると波が出来るじゃない?

これってこのままだったらそれなりの間続く訳」

シャルロがさっと桶の上に手を翳して静めた水面の上を右手でパンっと棒で叩いたら、波が生じて反対側に向かって流れていく。


反対側に当たったら波が何か細かくなって一部は帰ってきている。

・・・桶の壁に当たった波が反射して帰ってくる際に一部の波が消えているか?


「もっと分かりやすくするね」

そう言いつつ、もう一度手を翳して静めた水面に右手で棒を叩いて波を立て、すぐさま左手に棒を持ち換えてタイミングを見計らっていたと思うと棒で水面を叩く。


「おお??

かなりの波が消えたな」

一部は残っているし、水面全体が揺れている感じだが、棒を叩きつけたことによる目立った波がガッツリ減った。


「そうなんだよね~。

池に石を投げ込んで波が出来る時に2つとか3つ石を投げ込むと波が大きくなったり消えたりするんで、子供の頃に色々と試して遊んだんだ~」

シャルロがポンポンと水面を叩いて遊びながら言った。


普通だったら子供が池の傍で遊んでいたら落ちて溺れるんじゃないかと大人が心配しそうなものだが、シャルロだったら却って水の中の方が安全な位だろうからなぁ。

思う存分遊べたのだろう。


それはさておき。

波って同じ高さの反対向きな波が当たると消えるんか。

「音が波って言うのは何とも不思議な考え方だが、取り敢えず音を反射して返すような仕組みを作ったら外に漏れる音が無くなるか減るのか?」


「その可能性があるな。

しかも反射させるとなったらどうせ元の音と同じだけの大きさにはならないだろうし、反射が多少小さくなるようにすれば確実に全部の音を消さない様に出来るんじゃないか?」

アレクが指摘する。


「だな。

音を拡大するような魔術回路で跳ね返す音をしっかり元の音をある程度打ち消すぐらいの大きさにすると良いかな?

ついでに低音と高音の打ち消しを出来るだけ完全に出来たら喜ばれそうだ」


ついでに特定の音とかを完全に消せたら盗聴防止にも使えそうだが・・・まあ、そこは後だな。

早速試作品を造ってみよう!


音が波だと分かったのは地球ではいつなんでしょうね?

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― 新着の感想 ―
[一言] 音波の研究って16世紀には始まっていた事を思うと ちょっと遅れてるかもしれませんね 魔術が便利すぎるせい?
[一言] 蒼流はシャルロ君を甘やかし過ぎだと思うのですよ。 まあ閑話休題、これで音響に関する知見が魔術院やら二フィードバックされると………表に出るのは劇場かなぁ。 あれの音響関係は「少しでもいい音を提…
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