『満開』クラス
起きる。今日は待望の授業がある日だ。
昨日も授業はあったはずだが...色々あったので出られていない。
ヴァレリスはもう出かけたようだ。一言位かけてくれてもいいのに...
道を歩いていくと、道行く生徒たちの会話の中に気になる文言が。
「昨日の先生の話聞いた?新しいクラスが出来るらしいよ。」
「それ知ってる。『満開』クラスでしょ?」
「満開」クラス?名前からして、「開花」の上にあるクラスなのか?
どうして急にそんなものを作る気になったんだろう。提案した奴は誰なんだ。
クラスについた途端に、クラスメイトが一瞬不思議に思ったような顔をする。その後、理解したかのようにこちらに声をかけてくる。
「リオール君は昨日居なかったから知らないか...君は今日から『満開』クラス所属になったわよ。クラスは違うところ。」
俺が満開クラスに所属?どういうことだ?いや、これは夢だ。念じても師匠は出てこないし「呼んだか?」呼んでない。
呼べちゃったかぁ...
「ア...ハイ、アリガトウゴザイマス。シツレイシマシタ。」
教えてもらった満開クラスの教室へと向かう。
扉を開けると、10人の生徒が。他のクラスと比べても圧倒的に少ないなこれ。行事とか大丈夫なのか?
よく観察してみると、その中にはヴァレリスも見える。
良かった、救世主っていうのはこういう人のことを言うんだな。
とりあえずヴァレリスの隣に座り、そっと尋ねる。
「なぁ、どうしては俺ここにいるんだ?」
「聞くところによると、『開花』クラスでは収まりきれない実力を持った人間をさらに高い環境で学ばせるためのクラスだそうよ...多分アンタは学園長の推薦...」
あの野郎、顔面ドロップキックを決めてやりたくなった。
まぁ恨んでもしょうがない。どっちにしろ俺は「満開」クラスのリオールだから...
鐘が鳴る。授業が始まったようだ。
どんな先生が来るんだろうか。このクラスの担任ということだから、相当勇ましい戦士が来るんだろうな。
瞬きをした瞬間、教壇に男がいた。
見慣れぬ服...東の方では流通していると言われているキモノという服を着用し、今にも消え入りそうな、それでいて圧倒的な力を持つようにも見えるその男が、チョークを持ちながら口を開いた。
「汝ら、みな揃ひたりや。?」
…とても不思議な話し方をする人だ。
「されば、朝の集ひをはじめん。申すべき事どもは……。」
ギリギリ断片から何を言っているのかはわかるけど...なるほど、これも授業の一環だというわけか。素だったら怖い。
「われ、『満開』クラスをつかさどるカミヤ・アザミネなり。カミヤと呼ぶがよからん。教ふるところは実習なり。よろしく頼むぞ。」
…素っぽいな...。
「満開クラスは、実習を主とする特殊の学級にて、今学び舎のもつ七つのクラン、その八つ目となるなるべし。」
クラン?なんだったっけな...
必死に記憶をさかのぼる...あった。そういや学校説明会で言っていたな。
クランは各々役割を持ち、生徒はどこかのクランに所属することになる...だったか?
例えば『グラディオラス』は...クランの統括、そして、クランの下部組織の統括みたいに。
「さて、付けられしクランの名は『ナルキッソス』。学び舎の命に随ひて動く特殊の部隊――いはば使ひ走りなるぞ。」
…パシリかよ。
でも特殊部隊というのは非常に心惹かれる。学園の精鋭ということだ。
「さて、クランにかかることはこれまでなり。説明を要する者はあるか。」
疑問が出来たので手を上げる。
「おお、リオール君。何か疑問のことありけるや?」
「えっと...クランの一つ『グラディオラス』は、クランの統括が責務だと聞いていましたが...私たちは『グラディオラス』の管理下にあるのでしょうか?それとも学園の管理下にあるのでしょうか?」
「ああ、それか。『ナルキッソス』は学び舎の管理下にあり。逆にいへば、『グラディオラス』の管理下にはあらずといふことにもなるなり。」
つまり何だ?俺らは完全に独立しており、学園の命の下でしか動かないクランだと?
何それカッコイイ。
「疑問も解けたやうなれば、今日の授業につきて語らん。」
遂に来た。学園が精鋭と認めた者たちが受ける授業...とても楽しみだ。
「今日はいづれもおのおののヴェルディアについて調ぶべし。己が力を知るは、成長への第一歩なればなり。そののち模擬戦を行ひ、今日の授業を終へん。」
ヴェルディアを調べる...あれ?俺ってどうなるんだ?教えて師匠。
「坊主は『ヒガンバナ』を学園長にもう見せてる。どうせ話は行ってるだろうから隠す必要はねぇ。2つあることについては...どうしようもねぇ!諦めな!」
…役に立つ情報は得られなかった。
しかし諦めは付いた。おとなしく開示しよう。
「夕の集ひには重大なる発表もあるゆえ、いとど医務室に送らるる者なきやう願ふものなり。」
ちらっとヴァレリスの方を見る。
すごい剣幕で睨まれたが、気にしないでおこう。
『満開』クラスとしての、初めての授業ーー
ワクワクしながら、俺は授業の用意を進めるのだった。
新章スタートまでお付き合いありがとうございます。
ここから『満開』クラスでの授業と試練が本格化します。面白そうだ、と感じてもらえたら、評価やブックマークで見守っていただけると嬉しいです。




