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白鳥サノバビッチ  作者: えすくん
第2章 〝公儀祓除人〟瀬良寺サン
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第009話 生意気な少年

「くるしゅうない。くるしゅうないぞ」


 お膝元の松山を発ち、伊方までやって来た大工部マギと神葉ギウデ。

 道を歩けば、人々はははーっと頭を垂れる。

 以前のマギならば萎縮していた。

 放蕩息子と笑われるし、股間が白鳥だとバレないか不安になるから。

 しかし今日のマギは違う。


「おお、あれがマギ様か」

「勇ましい」

「ご立派な公爵だ」

「あの歳にして、妖怪から領民を救出するご活躍」

「そう言われて見れば、なんとなくかっこいい気もする」


 噂が広まるのは早い。

 城を追放されたという悪い噂のみならず、妖怪退治の噂もすでに潘のあちこちに知れわたっていた。

 だからマギは堂々と歩いた。

 もちろん股間を軽く押さえながら。


「よし、次はあちらの街道を歩こうぞ。伊方におるすべての者に余を賞賛させてやらねばな」

「マギ様、本来の目的を見失ってるっすよ」


 ふんぞりかえる主人の後ろに、呆れ顔の神葉が付き従っている。


「本来の……目的?」

「はぁ……。本当に頭がどうかしちゃってるっすね」


 溜め息とともに、心の声が漏れ出た神葉。


「ここに来たのは、公儀祓除人に会うためっしょ?」

「……?」

「……公儀祓除人ってのは妖怪退治の専門家っすね。で、ここ伊方は妖怪がたくさん出没するんで、公儀祓除人が定期的にお仕事しに来るんすよ」

「……ふむ!」

「クイズっす。じゃあ、公儀祓除人に会って、わしらはいったい何をするっすか?」


 沈黙。


「黒い鳥の妖怪を知らないかって聞くんすよ」

「黒い鳥!」


 マギの股間がうずく。

 やつとの戦いの中でマギは元の股間を失い、代わりに白鳥を生やすことになった。


「そうだった。元の股間に戻る方法を知っていそうなのは、あやつしかおらぬ。……しかし公儀祓除人とやらは頼りになるのか? 警察や学者に聞いた方がよいのでは?」

「最新の情報はいつも現場にあるんすよ」

「強さはどうだ? なんとなれば余の方が強いということはないのか? ふふん。なにせ余は縞根なる妖怪を撃破したのだからな」

「あんなの大した妖怪じゃないっすよ。第一あいつは固有能力を発動する途中で隙だらけだったし……」

「あ!」

「ん!」


 2人の視界に入ったのは大きな石造物。

 苔に覆われた白黒グラデーションの巨岩は荘厳なる観光資源である。


「これが……しょ、しょう、しょしょう……」

「将軍陵墓っす」


 周囲には妖怪が多発する。

 本来であれば公儀祓除人が退治に当たっているはずである。

 しかし、


「いないっすね」


 瀬良寺が町長の自宅に招かれて休憩していることなど知らない2人だった。

 そのことを教えてくれたのはトンガリヘアーの男の子。


「俺はこの町の副町長の息子。親父は忙しくって、お前らの相手してられねーから、俺が代わりに町長の家まで連れてってやるよ」

「むっ。公爵たる余に向かって随分と偉そうではないか」

「偉そうなのはお前だろ、バーカ」

「こやつ!!!」


 大人たちの濁った目にはマギが輝いて見えただろう。

 だが子供の純粋な目はマギをポンコツと見抜いた。


「まあまあ、お子ちゃまどうし仲良くするっすよ。あんた名前は?」

「俺は突欠クロワだ」

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