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白鳥サノバビッチ  作者: えすくん
最終章 〝妖怪皇帝〟SON OF A BITCH
106/111

第106話 ゴミ

 不倫相手の男性に与えられた罰は塩と油だった。

 男は吊るされた状態。

 マギの操作によって、熱せられた油の中に浸けられ、引き上げられると火傷した箇所に塩を塗り込まれた。

 嫌だ止めてと叫んだところで聞き入れてはもらえない。

 むしろ関係を持ったナカノでさえ涼しげな顔をしている。


「こんな人としたっけ?」


 まるっきり覚えていない様子だった。

 男は必死に、


「あんたから迫ってきたんじゃないか! 俺は悪くない! 貴族の頼みを断るなんて平民の俺にできるわけないだろう!」


 ヒトフリもナカノもまったく表情を変えない。

 平民の命などどうでもよかった。

 それを察して男はマギに向かって、


「人間より妖怪の方が話が通じるかもな! 人間は狂ってる。戦争が始まったんだろ? なのにこんな身内の不祥事で揉めてる場合か? なあ頼むよ、白鳥さん。手を止めて話を聞いてくれ。ってかなんで妖怪が下働きしてんだよ」

「余を知っているか?」


 黙って淡々と拷問を手伝っていたマギ。

 ここで手を止める。


「そちは余の親かもしれないらしい」

「ひいぃ! 妖怪が喋った!」

「おお、手を止めてほしいんだったな」

「今手を止めるんじゃねぇ!」


 ちょうど男の体が油の中に肩まで浸かっていた。


「そちに確かめたいことがある。余のことをどう思っているか」

「死ね!」


 熱々油風呂の中で男はマギを睨んだ。

 一方、両親はのんびりした雰囲気で、


「マギちゃん、殺しちゃダメよ。その人が死んじゃったら私の番が来ちゃう」

「こいつをいたぶってもあなたへの拷問にはならないみたいですね。マギ、もうそいつを殺してください」

「いやー!」


 これらに対するマギの返事は、


「余は妖怪皇帝ぞ」


 いつもよりは少し控えめに偉そうな態度で、


「妖怪を守らねばならない。しかし余とて元は人間である。両者に和解を提案したい。そう、余は平和を望んでいる。だが悲しいことに妖怪たちは戦争の道を選んだ。よって余は妖怪の殲滅を決意し、実行している」


 胸を張った。

 マギは期待していたのだ。


 だが無反応。

 部屋はしんと静まり返る。

 マギは【魅了━ファスツィナツィオン━】を発動。


「余は偉大である!」


 能力によって、この場にいる全員がマギを愛した。

 まずはナカノが口を開く。


「いやよ、痛くしないで、あなた。ね、マギちゃんからもお願いして。私の代わりにマギちゃんがサンドバッグになるって」


 次にヒトフリが、


「マギ、さっさとその男を片付けてください。私はこれまで通り、いやこれまで以上にあなたを道具として使いこんであげますから」


 そして不倫相手の男が、


「あははははは! 気持ちいい! めっっっちゃ気持ちいい!」


 これが現実。

 股間を元通りにしたいと願って旅を始めた。

 叶わなかった。

 理想郷を探した。

 どこにもなかった。


「なにゆえに余を生んだのだ?」


 マギの口から疑問がこぼれる。

 ヒトフリが答えて、


「道具は多ければ多いほどいいですから。生き物はみんなそうでしょう」

「余は別に……いや、父上の言葉は正しいぞ」


 ――最初からそうだった。


 すべての始まりは股間ではなかった。

 公爵や妖怪皇帝としての責任感でもない。


 ――余はただ……。


「すべて仕方ないことぞ」


 マギは能力を発動する。

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