3、 転移と確信
「グハッ」 「ウッ」
2人と荷物はとある道端に飛ばされた。周囲には先の見えないほど真っ直ぐに伸びた道とただ広い草原が広がっていた。
「どこだここ?はぁ…Mr.クランドール、怪我はないか?」
「あっあぁ…」
しかしクランドールの杖を持つ手が震えていた。
「ははーん?さてはお前、弾ききれなかったな?痺れてるんだろ?」
「…クッ」
「僕に関わらない方がいいとか言っていたのに、フッ」
アランは嫌な笑みを浮かべて言った。
「うるさい」
クランドールは少し恥ずかしそうに返す。
「まぁ無理もないな、あのルーカスって男相当な手練だった、学生が敵う相手じゃないさ、ほらっ手を出してみろ」
そう言うとアランはクランドールの手を取り、手のひらに杖を当て少し回す。
すると杖の先端が緑色に光る。
「痺れは取れたか?」
「あぁありがとう……ここは?」
「転移だ、すごいだろ、多分アストラまで続く道だな」
アランは少し誇らしげな態度をとる。
転移魔法はかなり高度な魔法で少なくとも15の少年に扱えるような魔法では無い。
「しかし失敗した。本当は学校に直接って思ったんだが…転移ってのは1度見た事があるところにしか飛べない、それも長距離となるとさらに難しくなる。だが今回はそれだけじゃねーな…結界でもはられてたか?」
前に1度見学という名目で校舎の周りを見に行ったことがある。ここは恐らく正門に続く道の途中だろう。
「さて、トラブルもあったが、行くか?」
「そうだな…」
「改めて、アラン・ウェイドだ。アランでいいぞ」
「アルバート・クランドールだ、こっちもアルバートでいい」
「僕には関わらない方がいい」
キリッ
「やめろ」
「僕には関わらない方がいい」
キリッ
「おい」
アルバートをいじりながらもお互い荷物を持ち学校へ向かう。
「それはそうと、あの二人が言っていた本ってなんなんだ?」
「さぁな、でもいきなり部屋ごと転移させるような奴らだぞ?ろくな奴らじゃないに決まってる」
「また来るんじゃないのか?」
「一応顔を俺たちだと認識できないようにしてたんだが…」
「いつの間に…」
「よく考えたらどの個室に乗ってたかですぐに俺たちだって分かるだろうな。まぁアストラは完全寮制、あいつらも下手に手出しはできないだろ」
それにしても、本を狙っている奴らが他にもいるってことに驚いたな…だがアイツらが少なくとも1冊持っているということはわかった。これはかなりでかい情報だ。
俺がこのアストラ魔法学校に来た理由、それはとある予言で7冊の本がこの学校に集まるという事がわかったからだ。
現状、所在がわかっているのはあの二人の1冊、そして手元の2冊。正直この本を集めたところでこの魔法が本当に存在するのか分からなかったが、あの二人が来たことで確信に変わった。
この
'死者の蘇生に関する闇の魔術'は実在する。
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