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32、VS ユール・ゴート その2

繰り出される右手、左手による殴打を刀を使いいなしながら、隙を見て切りつける。それを何度も繰り返す。


硬い、某の斬撃で切り傷すらつかぬか、しかし動きは単調、柔い部分を見つけるまで切り続けるのみ!


ナツは斬撃をユールの腕や足に集中して当てる。


3人はナツが時間を稼いでいる間に転がっているアランに駆け寄る。


「大丈夫か?アラン」


「ちょっと体を起こしてくれ、杖を当てられん」


ライアンがアランの体を起こすと、アランは右手で胸の辺りに杖を当てる。


すると杖からでた緑色の光がアランの体を包む。


「よし、内蔵と肋は何とか……腕も」


「アラン君の回復魔法異常ちゃう?」


「別に完全に直してる訳じゃない、動けるようになるまで無理やり周囲の肉や骨を繋ぎ合わせてるだけだ、こう見えて激痛だぞ」


「おっおぅ、」


「それより、どうするこの状況、ナツだったか?あいつもいつまでも持たないだろ」


アルバートは冷静に状況を分析する。


「あぁ、なにか考えないと、おーいナツ!後どれだけ時間稼げる?」


「ふっ、そうでござるな、悔しい事に某の斬撃が通らぬ、いなすことだけに集中すれば よっ 10分は持ちまする!ハッ」


実際、ナツがやっていることはまさに神業と言える。

ユールの繰り出す一撃一撃が直撃すれば死に至るほどの威力、アランは鏡面の波とは別に防御魔法を体にかけていたので辛うじて生きてはいるが、それはアランだからこそ出来たことであり、他の1回生ではまず対処できないことである。


そんな攻撃をナツは丁寧にいなし、反撃まで加えている。肉体強化に優れている戦士だからといって誰でも真似できることではない。


「わかった!それまでに策をねる!もう少し耐えてくれ!」


「転移は出来ないのか?」


「あ〜なんか結界があるせいで出来んらしいで」


アルバートは昨日のこと覚えてないから知らないのか、


「影になる魔法で逃げたりできないのか?」


「無理だな、さっき試してわかったが5人だとかなり消費が激しい」


アランはある程度治療を終えると立ち上がり頭を回転させる。


「アラン、あいつのこと知ってるなら何か弱点とかないか?」


ユールは本来穏和な性格であり、好戦的ではない、が故にアランもその戦闘を見るのは初めてであった。

特徴としてほとんどの魔法を弾き、刃物を通さない強靭な肉体を持っている。ユールを相手にするには熟練の魔法使いが少なくとも5人は必要であるが、今この場にいるのは15の少年たち。とても太刀打ちできる相手ではなかった。


「……無いことはないが今の俺たちにできる事じゃない諦めろ」


アラン達が考えに耽っていると再び地面に青白く光る魔法陣が現れた。


「「「「あっ」」」」


4人はふたたび先程の空間へと飛ばされた。


「んも〜!こんな時に!」


「アランくん、まだ魔力大丈夫?」


「……なぁこのトラップにあの化け物を引っ掛けてここに閉じ込めるのはどうだ?」


「それだ、でも発動条件がわからん、何か特別なことをしたか?」


「あっそれなら待って」


ライアンはそう言うと杖を振る。すると杖から紫色の粉が現れ部屋を満たす。


「トラップの種類は……時限式の転移罠、条件は……1分間範囲内に留まることだってさ……1分間……か」


「なんだその魔法」


「え?分析魔法だよ、一般的な」


わなの分析ができる魔法?なんじゃそりゃ便利すぎるだろ!時代か、時代なのか!


そんなことを考えるアラン


「一般的……」


「そんなことより1分もどうやって留めるんだ?ナツだって上手くいなしてるとはいえ後ろに少しづつ下がりながらだった、1分は無理があるだろ」


「鏡面の波を無数に貼ることはできんの?割られるかもやけど10秒ぐらいは持ってたろ?」


「できなくは無いな、よし、それで行こう」


アランはもう一度影になる魔法を使い外に出た。

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