31、VS ユール・ゴート その1
「〜〜〜〜」
「お〜これまた珍妙な生き物が出てきましたな〜」
獣はこちらを認識するやいなや、圧倒されてしまうほどの咆哮をあげると、鋭い爪で壁を削り取りながら突進してきた。
「やっば!見つかってもーた!」
「早く逃げるぞ!」
アルフレッドとライアンが慌てながら声をかける。
「ユールか?あいつ?」
「あれを知ってるのか?」
「ん〜知ってるって言うかなんというか」
「そないなこと話しとる場合やないで!」
「そうだよ!早く逃げよう!」
アルフレッドとライアンに肩を引かれる。
「まぁまぁ大丈夫だって、昨日は不甲斐ない事になったけど、よっと」
アランは杖を取り出す。
「'鏡面の波'」
杖を軽く振ると通路を塞ぐよう、鏡のような液体が覆う。
「それって昨日使っとったやつ?」
「そう本来は魔法を反射して相殺する防御呪文だが、」
アランの話を遮るかのように、化け物は鋭い爪を大きく振るう。
が、鏡面の波に触れた瞬間、爪は弾かれ化け物は体制を崩す。
「この魔法の真骨頂は物理攻撃の完全反射にある、魔力消費なしでな」
自慢げにみんなの方へ振り返るアラン。
「すっご……」
「お〜魔法とはこんなこともできるんでござるか!」
「やっば、無敵やん!」
化け物は体制を立て直すと爪だけではなく、拳を握り殴打を繰り返す。
「ふっふっふっ何度やっても無駄なことよ、さてどうやら理性を失ってるようだな」
「アラン、こいつはなんなんだ?」
「ん〜なんて説明すればいいんだろうか、まぁ簡単に言ったら悪魔だ、なんで実体を持ってるのかは……」
ミシッ
「……ん?」
説明しているとひびが入るような音に反応するアラン
ミシミシッ
「アラン?」
パリンッ
「へ?」
何度もその強靭な体から繰り出された殴打に鏡面の波に少しずつヒビが入り、ついに割れてしまった。
化け物はすかさずアランに対して、強烈なパンチを打ち込む。
呆気に取られていたアランもすぐに防御の姿勢に入るものの、あまりの威力に10m程吹き飛ばされた。
「カハッ!?」
まともな受け身も取れず転がってしまうアラン、腕、肋などの骨はおろか内蔵もいくつかズタズタになる。
痛みすら感じなくなるほどの大怪我だがアランは全く別のことを考えていた。
鏡面の波が割れた?なぜ?そんなこと不可能だ、昨日もそうだ、明らかに魔力の消費が激しかった、なぜだ?そんなはずは…………この体のせいなのか?
色々と考えを巡らせる中、化け物は動きを止めない。
その場に残っているナツに標的を変える。
「ナツ君!危ない!」
恐ろしく早いその爪がナツを襲う。
カンッ
するとナツは鞘のまま刀で爪を受け止める。
「御三方、下がりなされ!」
その言葉に反応しすぐにほかの3人は下がる。
その爪を振り払うとナツは鞘から刀を抜き、鞘を投げる。
「さぁ、珍しき山羊のきり心地は、どのようなものですかな?」
ナツの顔を他の4人から見ることはできなかったが、その雰囲気の変化に悪寒が走るのであった。
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