29、差別意識
アランは手がかりのない道を、周囲になにか痕跡はないか探しつつできる限り早く走り、分かれ道は考えても分からないので直感だけで進んでいく。
「そこの方!」
すると角から同じ1回生であろう生徒が声をかけてきた。アランは足を止め、その生徒と向き合う。
多少パサついた黒髪をうしろ束ね、腰に長物をぶら下げた男子生徒、アランはその姿を認識するやいなや、強い嫌悪感を覚えた。
こいつ……戦士か……
戦士とは、体内の魔力をその現象に対する理解と呪文を介すことによって魔法を行使する魔法使いとは違い、体内の魔力を全身や武器に流すことによって、強力な身体強化と火力を得意とした者のこと。
魔力を放つ魔法使いと魔力を込める戦士とでは根本的に違うのである。
魔法使いもある程度魔力を込める事で身体強化などを行えるが、戦士が行うそれとは比べ物にならない。
どちらの方が強いという訳ではなく、お互いに得意不得意のある持ちつ持たれつの関係である。
しかしながら人というのはそう簡単に割り切れる存在ではなく、古くから多くの争いが生まれていた。
互いが互いに自分たちの方が優れているという考えを中心に仲違いが続く関係である。
近年でこそ薄れてきた差別意識ではあるが、未だに根強く残る思想であり、アランのまたその差別意識を持っていたのだ。
だが、だからといってそのような態度を表に出すほどアランも子供ではなく、上手く感情をコントロールしていた。
「ちょうど良かった、ここで何が起きてるか知らないか?」
息を整えつつ、情報提供を求める。
「いや〜それがお恥ずかしながら、某道に迷ってまして、何かあったのでござるか?」
多少東洋の訛りがあるもののかなり流暢に話す男子生徒。
「なるほど…実は知り合いが多分ここのどこかにいるんだがなかなか帰ってこなくてな、さっき道中で重症の生徒が1人、既に死んでる生徒が2人いた」
「なんと……」
「1人になるのは危険だ、一緒に行動するか?帰り道を教えてやりたいところだが、残念ながら俺も迷ってる」
「かしこまり申した!ここで合ったのも何かの縁、お供しましょう!某はナツ、ナツ・ヒナツキと申す!ナツとお呼びくだされ!」
手を差し出してきたナツに対し、若干のためらいを感じつつも握手を交わす。
「アラン・ウェイドだ、アランでいい」
握手を終え、手を離した瞬間、アランとナツを中心に青白く光る魔法陣が浮かび上がった。
「ん?」
「しまった!?トラップか!」
光に包まれた2人は、姿を消した。
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