18、 拒否権
アルバートを部屋に寝かせ、自分たちの部屋へと戻る2人。アルバートとアルフレッドには大した傷は無いがアランは足の骨折に加え軽い脳震盪を起こしており、フラフラとしていた。
「ほんまに大丈夫なんか?嘘でもええから適当に理由つけて保健室で見てもらったらどうなん?」
「大丈夫だ、確かこの辺に……」
アランは自分の荷物をあさると1本の瓶を取り出した。
「あっポーション持っとったんや」
アランはそれを頭と足へとかける
「えぇぇ!?ポーションって飲むもんちゃうん?かけてどうするん?」
「ん?飲むポーションってなんだ?」
「え?」
「え?」
そんなこんなで2人は眠りについた。
次の日、朝食を食べ、アルフレッドとアランは部屋に戻る。
「さて、色々と説明してもらおか?……アルバートくんは?」
「あいつは多分昨日のことを覚えてない」
「は?」
「俺の暗示は12時間程度の記憶が曖昧になるんだ。アイツからしたら荷物の整理をしていて気づいたら寝てたって事になってるはずだ」
「便利やね〜」
「で、まず何から聞きたい?」
「そうやな……まずは、本のことから聞こうか?薬って聞いてたんやけど?」
「そうだな、まず薬ってのは嘘だ、ちゃんと薬はここにある」
懐から薬を出し机の上へと置く
「あの本は?」
「これだな、開くなよ、呪われる」
本を取りだしまた机の上へと置く。
「なんなん?この本」
「死者の蘇生に関する闇の魔術の本だ」
「……は?」
「まぁそうなるだろうな」
そうして本についてあらかた説明した。
「いやいや、流石に……ねぇ、」
まだ疑っているようだ。無理もない、俺も呪いの事がなければ、相手にすらしないだろう。
「まぁ、それで記憶をいじろうとしたわけやな、なんで失敗したん?」
「さぁな、あいつ確か、そんなことだろうと思ったとか言ってたよな?今じゃ覚えてないだろうが、もしもの時の対策でもしてたんじゃないか?」
「なるほどな〜ほな次やアルバートくんのアレなんなん?」
どうやらアルフレッドはアランのあの姿を一瞬だけ見たらしい。
「ん〜どう説明したものか、簡単に言うと悪魔化だな」
「悪魔化?」
「昔じゃそんなに珍しい事じゃなかったんだが、悪魔ってのは大抵取るに足らない存在で実体を持たない。だが当然、実体がなければこの世に存在できない、だから人間と契約して体に住み着くんだ。魔力量が増える代わりに住み着くとか、身体能力が上がる代わりに住み着くとか、そんな契約をしてな」
「聞いたことないな」
「契約って言っても悪魔からの一方的な押しつけみたいなもんだし、変化も微妙だから大抵は気付かぬうちにってことが多い。悪魔との契約があるからって魔法使い同士の戦いに有利になるってほどの変化じゃない」
「それで?なんでアルバート君みたいになるん?」
「大抵の場合はさっき説明した通りなんだが、稀に強力な悪魔もいる。アルバートの中にいるやつがこれに当てはまるな。強力な悪魔は宿主の体を乗っ取ろうとしたりすることがある。宿主の体や精神が弱ったりすると、ああやって混ざることがある。それが悪魔化だ。」
「枕が壊されて?精神が不安定になったって事なん?なら今大丈夫なん?また暴れるんと違うん?」
「枕なら直しといたよ」
「おぉ……良かった」
「もう聞きたいことは無いか?」
「最後にひとつ」
「なんだ?」
「僕の記憶消して、なかったことにも出来るわけやん?なんでわざわざ説明してくれたん?」
「簡単だよ、俺はこれから本を集める。同室なのにこそこそしてたら神経使うだろ?協力者は作っておいた方がいいってことだ」
「あぁそう……拒否権ない感じなんやね」
アルバートにやってもらうはずだったんだがな……あれは無理だ、不安定すぎる。
2章です!お待たせしました。いやお待たせし過ぎたのかもしれません!なんと2章ではついに!ヒロインが登場します!よっ!……気づいたら男ばっかりになってまったなぁ〜
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