14、 発見と失敗
既に深夜1時前、職員は皆退勤しているのか、魔法省は真っ暗で人の気配が全くなかった。
「"光れ"」
アルバートの杖の先端が光り出す。続けてアルフレッドも明かりの魔法を使う。
「さーてまず今はどこら辺なんだろうか。」
アルバートが水晶を使ったとき、魔法省のシンボルのとある像が浮かび、そこからどんどんと奥へ進んで行き、扉が沢山ある部屋が映っていた。視界が悪い今、初めに目指すのは中央にあるシンボルの像だろう。
「おっパンフレットがあったで、地図が……あった!」
アルフレッドが持つ地図には現在地が書かれており、とりあえず中央まで行くことにした。
移動は万が一、夜間の警備員にバレたらまずいので影に潜って移動することにした。
しばらくして中央の像へとたどり着き、影から出る。
おぉ〜圧巻だな〜
そこには始まりの魔法使いと呼ばれた男、ジグとジグに魔法を教えたとされる悪魔の像があった。
「僕初めて見たわ、割と普通の顔なんやな。」
「まぁ特徴的では無いな。」
「そんなことより、早く行くぞ、見つかる前に。」
アルバートが言う。
「そうだな、急ぐぞ。」
しばらく水晶に写った通りの道を進んでいく。
そしてとある扉の前にたどり着く。
「確かこの奥だったよな。」
「あぁ、最難関の場所だな。」
扉を開けるとそこには無数の同じ見た目をした扉が無造作に飛び回っていた。
「……これから探すん?無理とちゃう?動いとるし……」
「そこはまぁ……気合い?てか鍵がかかってないことの方が問題だと思うんだが……」
ガチャ……
「違う」
バンッ!
ガチャ……
「違う」
バンッ!
そんなことを話しているうちに、アルバートは魔法で扉を引き寄せ既に片っ端から扉を開けていた。
「……そういやどんな部屋が当たりなん?」
「そうだな、確か階段が宙に無数に浮いてる部屋だったかな。」
「分かった、あっちから探ってみるわ。」
「助かる。」
俺も扉を開けて探してみる。
ガチャ
真っ暗な空間に大きなテディベアが浮いている部屋
バンッ
ガチャ
無数の資料が入っているであろう箱が並べられた空間の真ん中にテディベアが置いてある部屋
バンッ
ガチャ
扉を開けても流れ込んでこず、魚が泳いでいる水槽のような場所にテディベアが沈んでいる部屋
バンッ
「……反応したら……負けか……」
30分後……
「階段が浮いてる……あっあったで2人とも!この部屋とちゃうか!?」
「おーさすがアルフッ……」
「へ?」
シュッ
俺が言い終わる前に目の前を白い閃光が走ったように見えた。
アルバートだ。
返事をすることなく、扉の前に居たアルフレッドを押し倒し部屋の中に入っていった。
おいおいバリバリ飛行魔法ですやんか……使えんって言ってましたやん……本が先に見られるな……まぁいいか……
「いてて、なんやねんアルバート君のやつ……たかが枕に必死すぎやろ……」
押し飛ばされたことよりもアルバートが枕に必死になっている事にドン引きしているようだった。
「俺達も行くぞ、」
「そやな、」
扉の中へ入ると扉から下へと続く階段と宙に無数の階段が浮かぶ光景が広がり、階段を降り真っ直ぐ行ったところに枕に抱きつくアルバートの姿を発見した。
そして1枚のガラス板の存在も確認した。
「あぁオリヴィエ、もう二度と手放さなさいよ……」
「おー見つかったんやな…良かったな…」
アルフレッドはまだ少し引いていた。
さてと
「なぁアラ……」
石でできた杖をアルバートの後ろ頭へと向ける。
「"忘れろ"」
バチッ
アランはアルバートに向かって忘却呪文を放つが……
失敗したのか杖が弾かれた。
ッ!?
その途端アルバートは枕を抱えたまま、アルフレッドは後ろから、アランに杖を向ける。
「そんなことだろうと思ったよ。」
「さーて説明してもらおうか?アラン君?」
参ったな……こりゃ。
コンッコンッコンッ
「おやおや仲間割れかな?」
そんな中階段をゆっくりと降りる音と共に、マテウスが杖を向けながら現れた。
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