10、 オリヴィエ・クランドール
忘れてください
「どうする?」
「どうするったって……」
場所がわかったのはいい、だがその場所が魔法省となると話は別だ。
今朝その魔法省の人間に襲われたばかりなことに、その日中に乗り込んでいくのはアウトだ。
しかしあちらが見つけて回収してしまう事だけは避けたい。それに呪いの衝動もある、どうやら薬の効果も見込めなさそうだ…
どうするべきか…
「僕は明日取りに行こうと思うよ」
「は?」
「なんのために貴重な水晶を使ったと思ってるんだ?それに取りに行くだけだ。確かに今朝色々あったが誤解だったんだろ?幸い明日から3日間はまだ授業は無い。先生に事情を話して外出の許可を貰えばいい」
「いや、そうかもだが…」
まずいな、確かにアルバートが狙われる理由はない。完全に巻き込んでしまっただけだ。
先に見つけることが出来れば大丈夫だ。その場合アルバートに薬だと嘘をついていることがバレてしまうがその時は記憶を少しいじるだけでなんとかなる。
問題は先にアイツらが見つけていた場合だ。
アルバートは枕を探していると伝えた途端、俺が本を隠し持っていたことが発覚してしまう。
非常にまずい、取りに行くか?まだ回収されていないことを祈って、それともアルバートに諦めさせるか?
「なぁアルバート、たかだか枕だろ?また同じものを買うなり作ってもらうなりすればいいだろ?」
そもそもなぜアルバートはその枕にこだわるのだろうか、寝れないとか言っていたが。
「あの枕はな、妹が初めてプレゼントしてくれたものなんだ」
「……え?」
「あれはそう、両親が亡くなって父の弟の家に引き取られた直後の時だった。まだ7歳だった僕はは酷く落ち込んでこの世のありとあらゆるものを憎んでいた。そんなどん底にいた時、引き取られた先でできた義理の妹のオリヴィエが僕に光を与えてくれたんだ!泣いてばかりだった僕の頭を撫でてくれたり、悪夢にうなされて眠れなかったときには付きっきりで、もう大丈夫だよ私がついてるって声掛け続けてくれたり!そんなオリヴィエがもう悪夢を見ないようにって作ってくれたのがあの枕なんだ!他に変えが効くようなものじゃないんだ!」
「おっおう」
アルバートは信じられないほど早口で語った。
こいつこんなに喋るヤツだったのか?もしかして今朝あんなに素っ気なかったのって寮生活で妹と離れ離れになったから?
「だから明日、魔法省まで取りに行く、今日の夜は何とか我慢するさ、アランはどうする?」
「はぁ……俺も行くよ、もともと飛ばしたのは俺だしな」
仕方ない、リスクは大きいがあいつらに回収されるよりはマシかもしれない、だが……
「だが取りに行くなら明日じゃない、今夜だ」
アルバートくん……シスコン……
ヒロインはもうちょっとで出るから(多分)待っててください!
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