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エピローグ ダンレン!の夢を見た

※ダンレン!ダイジェストなエピローグです!

 あたし、ミルク!

 本当の名前は相済(あいすみ)一花(いちか)だから、あいすみミルクでアイスミルク! 可愛いでしょ!

 あたしがちっちゃいころ、ママがあたしのこと『ミルク』って呼んでてね。ママとおばあちゃんでパン屋さん始めるときに、


「じゃあ『ミルクのパン屋』って名前にしようか」


 ってことになったんだって。

 おばあちゃんがつけてくれた『一花』って名前も好きだけど、


「ミルクはママのたからもの。ママはミルクのことが大好きだよ」


 ママのことはもっともっと好きだから、あたし、『ミルク』って名乗ることにしたんだ!


 うちのママ、すっごい美人なんだよ。

 赤い髪に青い瞳でボンキュッボンなダイナマイトバディ! ママのこと目当てにうちのパン屋に通ってくる男の人めっちゃ多い!

 商品はアンパンとコッペパンだけのちいさなパン屋なんだけど、看板娘のママが大人気で、けっこう繁盛してる。


 あたしも看板娘二号としてお店の手伝いしてたけど、やっぱりママにはかなわない。冒険者のお兄さんたちなんて、ママがいないと買わずに帰っちゃう! ひどい!


 まあ、あたしだってお店でパン売るより、裏でパン生地こねこねしてるほうが好きなんだけど、ママが一年前病気になっちゃって……。


 ちょうど中学卒業のタイミングだったし、あたし、勉強、大っ嫌い! だから喜んでパン屋で働いてたんだけど、十六歳になってダンジョン解禁! そしたら、超有望スキルゲットしちゃった!

 おばあちゃんも年だし、パン屋は一時休業。ママには治療に専念してもらうことにして、あたしはダンジョン!


 ダンジョンって、今から百年近く昔に急に地球上に出現したんだって。

 それまではなかったらしいんだけど、えーって感じ! モンスターとお宝ザクザクなダンジョンのない生活なんて想像できない!

 しかも昔はだれもが魔法、使えなかったって!

 そりゃ、今でも十六歳になるまでダンジョンに入れないから、ついこないだまであたしも魔法が使えなかったけど、ダンジョン産の魔石があるからね。


 魔石で動くオーブンとか冷蔵庫とか冷暖房装置とか、そういうのって、ぜんぶ昔は使えなかったってことだよね。昔の人、どうやって生活してたんだろう。

 家の修理とか重いものを動かすのも、お店の常連さんに頼めば魔法でちょちょいなのに、人力だけでやるのってすっごい原始的。大変そう!


 病気や怪我もダンジョン産のポーションとか魔法でちゃちゃっと治療してもらえるけど、昔って自然治癒力? うわぁ、痛そう!


 だけど、今も大変な病気は治療費がすっごい高い。

 ママの病気は悪性で、普通のポーションじゃ治らないのだった。


 魔法で病気や怪我の治療ができる魔医療師さんもいるけど、ママの病気を治せるのは魔医療師さんの中でも世界最高峰の人だけ。その人、日本人らしいけど、引退して行方知れずになっちゃったんだって。


 だから、ママの病気を治す方法は二つ。


 その一。どんな病気も治せるダンジョン産の超高級ポーションを自力で手に入れる!

 その二。どんな病気も治せる魔医療師さんを探し出してお願いする! でも、依頼料はすっごい大金!


 このふたつのうちのどちらかだって言われて、ママもおばあちゃんもすっかりあきらめ顔。

 だけど、あたしは諦めない! ぜったいにぜったいにママを治す!


 だって、あたし、ダンジョンに入ってスライムやっつけたら、『魔法拳』と『身体強化』って二つのスキルに目覚めちゃったんだよ!

 小さいころからパン生地こねこねしてたからかな? こぶし一つでモンスターやっつけていけちゃうらしいよ。

 武術系のスキルの中でも上位ので、しかも先天的な魔力量も多いからって、なんと冒険者養成学校に授業料免除の特待生で入れることにもなっちゃった!


 あたしがダンジョンで活躍する一流の冒険者になったらママの治療費、バンバン稼げるし、もしかしたらすっごいポーション手に入れられるかもしれない!

 

 でもさ、冒険者ギルドで講習受けた後、講師の先生の引率で初めてダンジョンに入ったんだけど、なんか気になる女の子がいたんだよね。


「オーホホホホッ! このあたくしが最初に倒すモンスターがスライムなど馬鹿馬鹿しい! もっとあたくしの実力に見合ったモンスターを連れてきなさい! あら、ホーンラビット? ちょっと可愛くて可哀相……いえ、いいわ。宵司伯父様から受け継いだこの剣で一突きすれば……重いわ! 助けなさい、すすき!」


 居住地別に誕生日が同じくらいの子たちが一緒にダンジョンに入ることになってるから、たぶんその子も十六歳になったばかりのはず。だけど、あたしと同い年とは思えないくらい見た目が大人っぽい。

 そのくせ装備が立派すぎて筋肉足りてないっていうか、重すぎるメタルアーマーで動きが鈍いし、剣も大きすぎて持ち上げるのがやっとな感じ。初ダンジョンに大人の付き添いありっていうのも変で、すっごい悪目立ち。


 周りの子の話じゃ、その子って超お金持ちのお嬢様らしいんだけど、日本語喋ってるのが不思議なくらい外国人っぽい。

 髪はピンクで目なんて菫色!

 だけど、色白ですらっと背が高くて胸と腰がボンってなってるところとか、顔の雰囲気がなんとなくママに似てるんだよね。


 うちのママ、病気になってから痩せて、顔もげっそりしちゃったけど、元気だったころはめちゃくちゃ美人だったから。うん、美人顔って似るよね! 特に外国人っぽい綺麗な顔立ち!


 ママに似てるし、「オーホホホホッ」って面白い笑い方するから友達になりたかったんだけど、あたし、その子に嫌われちゃったみたい。


「このあたくしより目立つなど、下賤な身で烏滸がましい! 目障りよ、そこの女! あたくしの前から消えなさい!」


 だけどさ、同じ日にダンジョンに入り始めたから、昇級のタイミングが重なるし、なにより冒険者養成学校のクラスメイトなんだよね。


 あっちは高台の超高級住宅地の豪邸住まいで、うちは川沿いの低地の吹けば飛ぶような店舗兼住居の借家住まいだけど、住んでるところも近いっちゃー近いっていうか、最寄りの冒険者ギルドが同じ。

 誕生日に至ってはまったく同じ日だったみたい。


 冒険者養成学校は二年制で、だいたい午前中がダンジョンやモンスター、魔法の使い方に関する座学。午後が訓練場やダンジョンでの実習。

 二年目になるとダンジョンでの探索活動がメインになるけど、この学校に行かなくても冒険者にはなれる。

 だけど、本来の授業料がバカみたいに高い分、二年で最速のランク上げできて、卒業時にC級D級冒険者ってのも夢じゃない。なにしろ超一流の冒険者に寄生してランク上げできるからね!


 なんでもさ、A級S級冒険者の日本人がほとんどいなくなったから、なるはやで強い冒険者を養成するために国と黒玄グループが作った学校なんだって。

 で、例のオーホホホホッな子って、その黒玄グループのご令嬢の黒玄真珠だったらしい。


「くっ! どうしてこのあたくしがこんな頭の悪い女と同列扱いされなきゃいけないの!? 月白お兄様、ひどいわ!」

「先生と呼べ、馬鹿。おまえみたいな能無しと血縁だなんて思われたくない。おまえと相済の追試に使うテスト用紙の紙がもったいないから、おまえたちはもう口頭試問でいい。ほら、二人とも立川ダンジョンの一階層から出現モンスターとフロアボスの特徴と弱点を交互に述べていけ」


 でもって、冒険者養成学校の鬼教官の黒玄月白先生は黒玄真珠の兄らしいんだけど、兄妹仲はあんまりよくないみたい。


 黒マジョ……あ、黒玄マジュだから、陰でみんなして黒マジョって呼んでるんだけど、月白先生ってば妹のことすっごいバカにしてて。ちょっと黒マジョが可哀相になるくらい。


「あの馬鹿を産んだせいで母が死んだんだ。そのせいで父は生きる気力をなくして世捨て人になったし、あいつが産まれてから祖母も伯父達も次々に亡くなって……だから、大叔母様達が言う通り、あいつは疫病神なんだ! お母様だって、いくら夫のことが好きではなかったからといって、あてつけにあんな外人の子を産む必要はなかっただろうに……!」


 まあ、話を聞いたら月白先生にも事情はあったみたいなんだけど、それ、黒マジョのせいじゃないよね?


「えー、でもさ、兄弟っていいよね。あたし、一人っ子だし、父親いないから、ママが死んだら天涯孤独なんだよ。おばあちゃんいるけど、もうけっこう年寄りだしさ。だから、月白先生、妹は可愛がってあげたほうがいいよ。先生みたいに意地悪だと結婚してもすぐ離婚しそう。看取ってくれるのは妹だけだよ!」

「ふざけるな! あんな馬鹿の世話にならなくても嫁くらい……いや、そこで、自分は立候補しなくていいのか? 女は私を見れば媚びて甘えてすり寄ってくるものだろう?」

「あたし、勉強大っ嫌いだから、いっつも難しそうな本読んでしかめっ面してる人とお近づきになるのはイヤ」


 そういう話をしてから、月白先生もちょっとはしかめっ面しなくなったんだけど、その分、黒マジョがうるさくてね。


「お兄様に近づかないで、このドチビブス! 次のダンジョン実習ではコテンパンにしてやるから!」


 ダンジョン実習でもあたしが同じ班の男の子たちと普通に話してるだけでやたら絡んでくるんだけど、それって黒マジョが興味あるの、むしろあたしって気がするよね?


 だから、二年目のダンジョン探索演習のときは女の子だけのグループ組もうって誘ったんだけど、


「おまえなんかと誰が組むものですか!」


 って、フラれちゃった。残念!

 あたし、男の子たちよりママに似た黒マジョと一緒に冒険してみたかったんだけどなぁ。リアクションが派手で面白いし。

 

 でも、そうこうしているうちにあっという間に二年が過ぎて、あたしも黒マジョも冒険者養成学校を卒業。


 だけど、その後も黒マジョとはダンジョンでよく出会った。

 会うたびにオーホホホホッって絡んできて、相変わらず面白い!


 ダンジョン探索も深層に進めば進むほど面白いっていうか、一応目的はママの治療費稼ぎとポーションなんだけど、パン生地こねこねより毎日違ったわくわくがある!

 誘われて他の冒険者とチームを組んで探索したら、ちょっといい関係になったりもするし!


 冒険者ってランクが高い人ほど気前がよくて、いろいろおごってくれる。レアドロップ品のお肉も持って帰るのが重いからって全部あたしにくれるんだよ! 特に二つ名持ちのA級冒険者なんて、宝箱まで譲ってくれちゃう!

 白の帝王な月白先生は単なる引率付き添いのお説教教官だったけど、紅の特攻隊長とか、深緑の王子とか、青の水神とか、すっごい武具とか魔道具くれるっていうから、思わずほっぺにチューしちゃった!


 だけど、あたし、頭の中がいつも次の冒険でいっぱいだから、彼氏と長続きしないんだよね。なんだかんだと、ママより大事って思える人もいないし。


 なもんで、一番長い付き合いは黒マジョ!


 で、ある時、黒マジョが大怪我して、お金で雇った冒険者チームに見捨てられて、一人で死にかけてたところに行き合わせちゃった。

 しかもその時のあたしって、ママを治せる神話級ポーションを宝箱で発見したばかりでね。


 すっごい迷ったけど、ママは今すぐ死ぬわけじゃない。あたしがダンジョンで稼ぐようになってから、高額な治療を受けられるようになって、まだ半年くらいは大丈夫って言われてる。

 だから、黒マジョにポーションを飲ませて……。


 そしたらさ、衝撃の事実が次から次へと発覚!


 ママを助けられる世界最高の魔医療師は、実は冒険者養成学校の保健室の先生だった!

 しかも黒マジョと月白先生の親戚で、あたしも顔見知りの先生だったのに、ずっと偽名で正体隠してたなんて!


 本名・縹竜胆ってその先生にママを治療してもらったら、なんとママと黒マジョが親子だって!

 実はあたしは月白先生の妹で、赤ちゃんのときにうちのママがあたしと黒マジョを取り替えちゃったんだって!


 もうびっくりしすぎて、開いた口がふさがらなくなっちゃった!!


 だけど、やっぱりママはママ。あたしが世界で一番大好きなのはママ!


 というわけで、めでたく元気になったママに送り出されて、今日もあたしはダンジョンダンジョン♪


 ダンジョンでイケメンと知り合いになるのも楽しいけど、やっぱり強敵をこの手でやっつけた時のあのすっごい達成感な快感がたまらない!

 この世界にはダンジョンの数だけ強敵(ラスボス)がいて、ダンジョンの数だけときめきがある!



     ◇◇◇◇◇



「う、うぅぅ……っ!」

「まーじゅ、真珠? どうしたの? うなされてるよ? 怖い夢でも見たの?」


 お昼寝中に夢を見た。

 たぶん『ダンレン! ~ダンジョンの数だけ恋がある~』の夢!

 月白お兄様がやさしく起こしてくれたけど、なんなんだろう……?

 

「…………っ、あくむ、みました! ミルクちゃんがゴリラ!? ううん、あれ? ゴリラ、でてこない……?」


 黒マジョは見た目は長身美女だけど性格おかしいし、大人の月白お兄様もかっこいいけど意地悪だし、なにより、ミルクちゃんが乱暴で凶暴!

 なんでもこぶしで解決って、それ、少女漫画のヒロインじゃない! 少年漫画の主人公通り越して、もはやゴリラ!!


 だけど、本物のゴリラ……っていうか、この世界でわたしの周囲にやたら出没するゴリラが一匹も出てこない!

 宵司もホワイト家メンバーも、身体の大きさからいえば闇王パパもゴリラだし、憲法は性格が人外魔物だけど、そういう大きい男の人が、中高年のおじさんたちが、まったくもって出番なし!

 ギリギリちらっと出てきたのは見た目永遠の大学生・竜胆叔父様のみ!


「ゴリラ? ああ、でも、ミルクはゴリラっていうか、宵司伯父様に性格が似てるけど、それがどうかしたの?」

「どう……って、あれ? あくむ、じゃないのかも。ミルクちゃんはダンジョンでたのしそうで、おとこのこが……わかいおとこのこがいっぱいで、こいがいっぱいで、ゴリラ、かんけいない……」


 そういえばダンレン!ってラノベだよね。アニメとかゲームにもなったって、そういうのって普通は主人公も若いし、周りの登場人物も若いよね?


 なのに、なんでわたしの関係者にはやたら中高年が多いんだろう……。


 いや、月白お兄様ひとりで百人分くらいキラキラ王子様だし、ミルクちゃんと陽玖と星夜と七海と大夢と、乳幼児がいっぱいだから平均年齢は若くなるけど、なんかこうこの世界で主に活躍してるのは中高年とゴリラな感じで……。


 しかも月白お兄様とお茶して気分転換しようとしたら、すぐさまゴリラ一号が魔素まき散らしながらサロンに入ってくるし……。


「おう、チビ、帰ったぞ。今回の土産は超高級小豆だ。ま、気休め程度に成長ホルモンの分泌促進ってことになってるみたいだから、アンパンだの羊羹だの、おまえの好きな年寄り臭いもんにすりゃ、少しは背が伸びるかもしれないぞ。あー、でも、豆とイモばっかじゃ屁こき娘か? ハハッ、最高だ! 今度スカンクの着ぐるみ贈ってやるよ。毒ガス娘、最強だぞ」


 この野生ゴリラ、ほんっとパック詰めしてダンジョンに出荷したい!!


「真珠! 私はきみのために最高のチーズケーキを用意したよ! 普通、ヘイズルーンは蜜酒を泌乳するものだが、スカンジナビア半島の秘境ダンジョンに高脂肪ミルクをドロップする特殊個体がいてね。そのミルクから作ったマスカルポーネでできた極上チーズケーキだ。骨の成長には小豆よりはるかに役立つし、味も最高だよ! 伯父さんのお膝においで! 食べさせてあげるよ!」


 ホワイト家四男は相変わらずなんらかの策略でわたしを釣ろうとするけど、もう片腕にミルクちゃんがぶら下がってるし……。

 うん、ミルクちゃん、そのチーズケーキ気に入ったんだね。ぜんぶ食べていいよ。わたし、料理長が作ってくれた小魚せんべいのほうがいいから。


 だけど、宵司とハワードに続いて、他のホワイト家三兄弟とフランシスおじいちゃんもわらわらサロンに入ってきたんだけど、この光景、なんだろう……。

 全員筋肉がっちり、巨体ゴリラな中高年ばっか!

 これってやっぱりダントラ!? ダンプカーみたいな巨体ゴリラトラップ!


 いやいや、ダントラのトラは、トラップじゃなくてトラベル! 変換! 厄払い! おまじない!


「おにいさま、りょこうにいきましょう! まじゅはゴリラのいない、さむいところにいきたいです!」

「いいね。日本じゃ動物園以外にゴリラはいないけど、念のために宗谷岬に雪遊びにでも行こうか。雪だるま作って遊ぼうね」


 ダンジョンの数だけ旅をするダントラ!

 ときめきもわくわくも普通の旅行で十分だし、ダンジョンで戦うゴリラはいっぱいいるから、ミルクちゃん、なるべく普通の女の子に育ってね?


※最後までお読みいただいてまことにありがとうございます!

 閲覧ブックマーク評価いいね!感想など、本当に励みになりました!

 転生赤ちゃんが食べて寝て遊んでいるだけという、当初目指していた物語としてはこれで完結となります!


 本編に出せなかった部分の、他者視点の番外編をそのうち付け足すかもしれませんが、来年? かなり先のことになると思うので、もしふとした拍子に思い出すことがあればチェックしていただけると嬉しいです。


 候補として考えているのは、ミルクのお姫様とか、白絹のお茶会とか、ばあやの結婚とか、すすきの幸福とか?

 男性陣、おじさんたちに関しては……もし万が一、需要があるようでしたら……でしょうか?(笑)






 ではおまけとして、この先出す機会がない『ダンレン! ~ダンジョンの数だけ恋がある~』の設定を。読む必要はまったくありません。



☆相済ミルク (本名・相済一花)

 武闘派。こぶしで分かり合うほぼほぼ少年漫画の主人公的な存在。

 食べ物で簡単に釣られるものの、純粋な体術で本人が圧倒的に強いので一線を越えられる男がいない。

 食べ物か役に立つ防具か高級ポーションを与えればほっぺにチュウの大盤振る舞いはしてくれるが、脱がない! 脱がせない! 難攻不落!

 物語のオチとして常にだれかとそれっぽい雰囲気になって、次の話では目の前のモンスターとの戦いに夢中!


 本人からの好きなもの紹介。

「あたしが一番好きなのはママ! 二番はおばあちゃんでね、三番は『ミルクのパン屋』で、うーん、四、五はわかんないけど、その次は強敵(ライバル)だよ! あたし、黒マジョとラスボスモンスターのこと考えると、すっごい胸がドキドキわくわくするんだ!」





☆ミルクのパン屋

 アンパンの好きな沙華が養母の相済真津子の全面支援で開いたちいさなパン屋。不器用な沙華に代わって真津子がパン職人に。


 レジもお金の計算が苦手な沙華のためにキャッシュレス決済オンリー。

 商品は袋詰めされたアンパンとコッペパンのみ。会計時は袋の留め具の色のボタンを押していくだけ。それでも沙華は間違えるが、客が親切に計算してくれる。


 オプションとして隣のお惣菜屋さんでポテトサラダやトンカツ、唐揚げなどを買ってくると、沙華が不器用な手つきでコッペパンに詰めて手渡ししてくれる冒険者ぼったくり有料サービスがある。


 実は沙華は無自覚の特殊能力を持ち、パンの受け渡しで沙華が相手に触れると相手の体内魔素バランスが整う! (※サキュバスの魔力吸引効果から派生)

 はじめは沙華の美貌にパン屋に通っていた冒険者たちだったが、沙華の手に触れると不調が治る。なので次第に握手を求めるようになり、解決策として真津子がぼったくり有料サービスを考えた。

 ありえない料金設定なのに毎日希望者がいたため、ミルクのパン屋は超黒字経営。真津子が出資したお金もすぐに回収。


 隣のお総菜屋さんの売り上げも大幅アップ。お礼に毎日お惣菜をくれたので、相済家の食費はほぼゼロ。

 もちろんミルクの学費も大学授業料まできっちり積み立てていたが、本人の強い希望で中卒パン屋、冒険者になった。この貯金を沙華の高額治療費にあてられたおかげで沙華が延命できたともいう。


 ちなみに沙華の病気と白絹が罹っていた病気は同じもので、後天的な魔力過剰症。魔医療師の治療によって一時的に症状を抑えることは可能だが、元々の魔力が多い人間ほど根治は難しく、数カ月から数年で死に至る。


 なので、竜胆は本当に天才。しかし、ダンレン!の竜胆は姉の死から五年後には表舞台から姿を消し、乙女ゲームの隠しキャラのように冒険者養成学校に潜んでいた(笑)。


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