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7.憧れの冒険者ギルドへ!


「ふぁ~あ!よく寝たぁ!」

「おはようございます。アレスさん」

「おう、よく眠れたか?」

「はい、ぐっすり眠れました」

「んじゃあ朝食食いに行くか!」

「はい!」


 本日は快晴なり、目覚めもスッキリだ。


「どうしたんですか?」

「いやちょっと用事思い出したから先行っててくれ」

「? はい分かりました」


 窓の外を見ると小鳥がさえずり人々が行き来する。いや、外見てるだけだよ?ルシールの着替えに興奮したとかそんなんじゃないよ?


「おはようさん。よく眠れたか?」

「おかげさまでぐっすり眠れたよ」

「そりゃ良かった。お仲間はもう席に着いてるぞ」


 しばらくして食堂に降りるとジョンに話しかけらる。示された方向を見るとサラのあくびが見える。


「ふぁ~あ……」

「どうした寝不足か?睡眠不足は発育に著しく影響すると研究結果が……」

「あーもう、朝からうっさいわねアンタ!」


 朝から機嫌を損ねたようだ。愛しのサラの発育は重要だからしょうがないな!


「で、どうしたんだ?寝れなかったのか?」

「ん、壁が少し薄くて隣の部屋のいびきが気になってね……」

「そりゃ悪かったな。ホイ朝食だ」


 ジョンが朝食のパンとスープ、サラダをテーブルに次々と置いていく。


「そういやお前ら今日はどうするんだ?」

「外の状況次第だな。城門が開かないなら今日も世話になるかもしれん」

「なら朗報だ。昨日の魔物騒ぎは思ったほど被害は出なかったみたいだぞ。城門ももう開いてて警戒態勢も解除されてるって話だ」

「そういや忘れてた。10万もの大群が来て無事だったのか?」

「忘れてたってアンタ……」


 考えて見れば10万もの魔物の群れが来ていたなら夜寝れる程静かなわけがない。


「知り合いの衛兵に聞いた話だと襲ってきた魔物は精々3000超えるかどうかだったみたいだぞ。被害も衛兵が軽い怪我した程度らしいしな」

「そしたらあの宣戦布告は嘘だったってことか?ってか精々3000って言ってもかなりの数じゃないか?」

「その宣戦布告とやらが何かは知らんが魔物は騎士団長様直々に赴いて剣の一振りで片付いちまったとよ。怪我したやつは風圧で転んだらしい」

「パネェな……」

「あぁパネェのよ」


 宣戦布告の内容が嘘だったことに胸を撫で下ろし朝食を平らげる。


「はぁー食った食った」

「行儀悪いわよ、ホラ食べカスも付いてるし」


 そう言ってサラが俺の口を拭う。うん、良いお嫁さんになるね!


「こう見てるとわんぱく坊主と母親だな」

「バカな!いい旦那ランキング(俺調べ)1位のこの俺がわんぱく坊主だと!」

「ホント朝から騒がしいしツッコミどころが多すぎよ……」


 なんて馬鹿なやり取りをしているとルシールの表情が暗いことに気付く。


「どした?変なモン食ったか?」

「ウチの店に失礼だと思わんのかね?コイツは」

「昨日の襲撃で周辺の村に被害は無かったのか気になってしまって……」

「そういや田舎出身って言ってたもんな。ジョンは何か知ってるか?」

「いや詳しくは聞いてねぇな。商人連中が騒いで無いってことは特に問題ないってことだろうけど不安なら冒険者ギルド行くついでに聞いてみたらどうだ?」

「冒険者ギルドでわかるのか?」

「夜の内に襲撃の被害情報の調査とかも行ってるはずだし多分知ってるはずだろ」

「なら俺らも行って聞いてくるか。ルシールもそれで良いか?」

「はい、お願いします」


 そして冒険者ギルドへ向かうべく店を出る。


「おい、何してんだよ」

「何って仕事してんだよ見りゃわかるだろ」

「仕事ってお前、少し考えて分からねぇのか?ジョンよぉ」

「急に何だよ……ちょっと待て本当に何なんだよ!引っ張るなオイ!」

「俺らが道に迷ったらどうすんだよ?」

「知らねぇよ!おい!店長助けてくれ!コイツ意外に力強ぇ!」

「農民舐めんなよ都会ボーイ」


 助けてくれと必死に店長へ視線を向けるジョン。


「今は客も少ねぇし行ってきてもいいぞ。それにお前にもダチができたんだ。大切にしな」

「やめろ!コイツをダチにカウントすんな!」


 文句を言うジョンを強制的に連行し道案内をさせる。オレらズッ友だよ☆


「ここが冒険者ギルドだ」

「思ったより普通だな」

「思ったより普通ね」

「思ったより普通ですね」


 思った以上に普通の建物に『冒険者ギルド』と書かれた看板を見て少しだけガッカリする。何ていうかさ、もっとこう、いかにも冒険者ギルドって感じの見た目だと思ってたんだけどな……。


「んなこと言ってもしゃーねぇだろ。普通ってのは利点があるから普及した結果だ」

「ジョンのくせにまともな事言いやがって…ケッ!」

「道案内させて態度悪すぎだろ!」


 少し残念に思いつつドアを開き中へ入る。ドアは両開きじゃなくて普通のドアだった。


「ふっつーに事務所って感じの見た目だな」

「普通の事務所ね」

「普通の事務所ですね」

「普通普通うるせぇな!」


 冒険者ギルドの中は想像と違い荒くれ者の巣窟という訳では無く、至って普通の事務所然とした内装だった。


「アレは?依頼が貼ってある掲示板は?酒飲んでる冒険者は?」

「素材の買い取りとかもやってなさそうね」

「新人に足掛ける先輩も居なさそうですね」

「お前らは小説の読み過ぎだ……。まず掲示板なんてあるわけねぇだろ、依頼を誰が出したのか誰が受けたのかも守秘義務がある。酒なんて仕事中に飲むやつの方が稀だし酒場なら他にある。素材の買い取りは素材屋でやるからここではやってねぇ。新人に足掛ける先輩は知らん!」


 「えー」と三人が不満を口にするもジョンは無視して受付へと向かう。


「いらっしゃいませ。ご依頼でしょうか?ご登録でしょうか?」

「いや、昨日の襲撃で周辺の村に被害が出たかどうか知りたくてな」

「それでしたら騎士団発行の調査報告書が開示されてますので隣の窓口でご確認下さい」

「美人の受付嬢もいないのか?」

「普通におじさんね」

「普通のおじさんですね」

「お前らホンット失礼だな!探せばどっかにいるだろうよ!」


 苦笑いを浮かべるおじさんに会釈しながら隣の受付へと移動すると小柄でずんぐりとした体型の老人が出てくる。


「周辺の村の被害情報が知りたいそうだな。これが調査報告書だ。」

「ありがとうございます」


 そうお礼を言い真剣な表情でページをめくるルシール。


「どうだった?」

「はい、大丈夫みたいです。アレスさん達も確認しますか」

「おう、サラ頼むぞ」

「別に良いけどなんで偉そうなのよ……」


 そう言いルシールと同様に真剣な表情でページをめくるサラ。


「うちの村も大丈夫みたいね。報告書に名前は出てなかったわ」

「それなら安心だな。ルシールはこれからどうするんだ?」

「はい、このまま冒険者登録をしようかと思います。」

「それなら向こうの窓口だ。今度は美人の受付嬢が待ってるぞ坊主。後ろのお前らはどうする?」

「ワタシ達はだいじょ……」

「いやー!ルシールも心細いだろうし俺らも登録してこうじゃないか!なぁジョン!」

「あぁそうだな友よ!」

「分かりやす過ぎでしょアンタら……」


 ヒゲジィにお礼を言って少し離れた受付へと向かう。そこにはメガネをかけた美人が居た。胸も豊穣の加護を受けてらっしゃる!農民として祈らねば!


「何してんのよアンタら」

「これは農民の義務なんだ!」

「ははは……」


 呆れて苦笑いしながらルシールが受付へと進む。


「冒険者のご登録でよろしいでしょうか?」

「はい、お願いします」

「それでしたらこちらの書類に記入をお願いいたします」

「俺はお姉さんの名前とこの後のスケジュールを聞きたいnイタイイタイ!?耳は取っ手じゃありませんよサラさん!?」

「受付のお姉さんに失礼でしょ!すみません。私達にも書類を下さい」

「フフッ…。かしこまりました。こちらが書類です」

「ありがとうございます。ホラ!あっちで書くわよ!」


 サラに耳を引っ張られ空いているテーブルで書類に必要な事項を記入していく。


「職業:農民っと…」

「アンタ冒険する気ないでしょ……」

「そういうサラは何て書いたんだ?」

「ワタシは『魔術師』よ。少ないけど魔法は使えるしね」

「ルシールは?」

「僕は剣と魔法を嗜んでいるので『魔法剣士』と書きました」

「ジョンは?」

「………」

「ジョンは?」

「……ター……」

「ジョンは?」

「フリーターだよ悪ぃかコラ!」

「フッ……」

「ぶっ殺す!」


 書類を書き終えて受付へと提出すると少し待つよう言われお姉さんが奥の部屋へと消えていく。後ろ姿も綺麗だね!


「そういやルシールは何で冒険者になろうと思ったんだ?」

「そうですね。外の世界を見てみたかったんです。色々と知らないといけないと思いまして」

「立派ね。どっかの誰かは野菜のことばっか考えて村に引き籠もってるってのに」

「あれー?ディスられる流れだったっけ?」

「1番でお待ちのお客様ー!」

「お、俺らだな」


 受付のお姉さんに呼ばれて受付へ向かう。


「登録が完了いたしました。こちらが冒険者証となります。再発行に手数料がかかるのと悪用される可能性があるので盗難と紛失にはお気をつけ下さい」

「ありがとうございます」

「これで俺らも冒険者か。めくるめく大冒険が待ってるぜ!」

「いや、村に帰るだけでしょ」

「俺は店に帰るだけだしな」

「夢を持てよオマエら!」


 夢がないって悲しいね。これが現代の若者か……。


「ではここでお別れですね」

「あぁ、短い間だったけど楽しかったよ」

「また街にくる機会があれば店に顔だせよ。店長も喜ぶだろうしな」

「そうね。機会があればお世話になるわ」


 別れの挨拶を交わし俺たちはそれぞれの道を歩み始める。俺たちの冒険はこれからだ!







          え?最終回じゃないよ?続くよ?




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