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27.いやホントごめんて……


「本当に申し訳ありませんでした」

「いや、事情が事情ゆえ特に責任を問うつもりは無いぞ?」

「甘いですわお父様!王女に無礼を働いたのだから2人共極刑に処すべきよ!」

「いや、本当にそういうつもりじゃなくて……。おい、ミダスも説明してくれよ」

「私は湯を堪能していただけなので何も見ていませんぞ?」

「嘘おっしゃい!どうせイヤらしい目で見ていたんでしょう!」

「イヤらしいも何も……。第一自分の娘と同じ年頃の子供を見て欲情なぞせんわ」

「え!?お前子供いたの!?」

「男児が8人に娘が3人程おりますぞ?」

「お父様!見るに値しないとまで侮辱されました!死刑です死刑!」


 金切り声で捲し立てる姫様にジャーバッハ王は深くため息をつき口を開く。


「他国の勇者を処刑などできん。それに警備の者を無理矢理遠ざけていたお前にも責任があるのだぞ?これに懲りたら子供みたいな立ち振舞を控えよ」

「うっ……。でもお父様――――」

「言い訳は聞かん!お前は部屋に戻っておれ!」


 ジャーバッハ王の一喝が聞いたのか姫様は大人しく部屋を後にする。物凄い形相で睨んでた気がしたが多分気の所為だろう、うん。


「すまぬな勇者殿、一人娘ゆえ甘やかし過ぎたのか少し落ち着きが無いのだ」

「いえ、こちらも不注意でしたので……」

「ピエーロ!元はと言えばお前の所為だ。場合によっては国際問題だぞ!」

「アッシはピエロとしての矜持を果たしただけにございます故♪」

「はぁ……。どうしてこうも問題ばかり起きるものか……」


 またしてもジャーバッハ王は大きくため息をつくがピエーロはどこ吹く風と言わんばかりにわざとらしい口笛を吹いている。少しの沈黙の後、王が顔を開け口を開く。


「明日伝えようと思ったがタイミングが良いので今伝えさせてもらうぞ勇者殿。イーリスからの書簡がつい先程届いた」

「え?もう届いたんですか?」

「あぁ、余も2~3日はかかると思ったが余程良いワイバーンを揃えているのかかなり到着が早かった」

「して、内容はどうだったでやすか?」

「それが手紙の内容を纏めると『勇者に任せる』という内容でな、とりあえず出国の際に書簡を届ける旨の返答をした」

「神殿側からの返答はどうでしたか?」

「神殿側からの?」

「坊っちゃん方が仲間の所在を確認する旨の書簡を送ってるんでやすよ」

「いや、神殿側からの返答は特には無かったな。急ぎでは無いと判断されたのであればもう少し時間がかかるのではないか?」

「そうですか……。ではもう少しこの国に滞在する許しを頂いても?」

「それに関しては許可しよう。で、引き換えにと言う訳では無いだが……」


 ヒゲをイジりながら王が口ごもる。


「なんですか?お世話になる身ですしある程度の事であれば手伝いますよ?」

「うむ……。実は娘の誕生日が近くてな、勇者殿にはある物を取ってきて頂きたいのだ」

「あるもの?」

「『月華草』という花でな、一部の地域に群生している植物でな。少し危険な場所にあるのだが頼めるだろうか?」

「任せて下さい!こう見えてもそこそこ強いんですよ俺?」

「そう言って貰えると助かる。案内としてピエーロを付けるので準備ができ次第向かって欲しい」

「了解です!じゃあピエちゃん、ミダス、俺の部屋で作戦会議でもすっか?」

「善は急げと言いますからな!」

「アッシは王と話があるので先に向かっててくだせぇ」

「おう、じゃあ先行ってるわ。では失礼します王様」

「うむ」


 分からないなりに丁寧にお辞儀をして俺とミダスは部屋を後にする。


--------------------------------------------------


「して、ピエーロよ。あの物らの様子はどうであった?」

「はい、極めて()()かと」

「何だ?含みのある物言いだな?」

()()()()ますね。ミダスとか言う男は境遇や娘がいる関係上姫に対して反応が薄いのはわかりますが、アレス殿のそれはちと異常が過ぎるかと」

「仲間の一人に好いている者がいるのだろう?であれば問題なかろう?」

「余程女に慣れた者であればあの対応も頷けますが、特にそういった過去がある訳でもない青年が羞恥心も性欲を欠片も持たないと言うのはおかしいですね」

「しかし、性欲の薄い者もおるだろうて」

「確かにそういう者は居ます。しかしアレス殿の場合、ある程度の謝意はありましたがそれ以外の感情は一切ありませんでした。自分の経験上あの様な場面であれば人格者であっても大なり小なり邪な感情をいだきます」

「邪な感情を持たない事こそ異常……か。しかし邪悪な者では無いのだろう?」

「それが自分も頭を悩ませている点です。取り繕っている様子も無く、間違いなく善人だと言い切れます。しかし、一見感情豊か過ぎるように見えますが心の中での感情が薄すぎるのです」

「少なくともただの善人だとは言えないということか。ヤツの関係者ではあるまいな?」

「自分もそれを疑いましたが、アイツとの接点や痕跡は確認できませんでした」

「そうであるなら問題あるまい。しかし、事が起きた際には始末するのだぞ?」

「心得ております」

「なら良い。話しは以上か?」

「いえ、もう一点ございます。王国の書簡に関してです」

「うむ。余も気になっていた所だ」

「流石に送った日の内に書簡が届くというのはおかしいですからね。世界中のどこを探したってそんな速度で移動できる生物は居ないでしょう」

「では魔法や魔導具の可能性は無いのか?」

「書簡を持ってきた使者を確認しましたがその様な魔法や魔導具の痕跡はなく、使者もワイバーンも至って普通でした」

「一体どういう事なんだろうな」

「可能性の一つとしては『こちらの書簡が届く前に書簡を送っていた』というのが考えられますが……」

「それは無かろう。向こうからの書簡はこちらの書簡に返答する内容だったぞ?」

「そうなんですよね……。そうなると痕跡を残さずに高速で移動する何かが秘密裏に開発されたとかですかね?」

「それこそありえん。そんな物があれば世界の勢力図が丸々塗り替えられる上、秘匿せずに勇者なんぞに使わんだろうよ」

「ん~。これ以上はここで考えても無駄ですね。引き続き探ってみます」

「うむ。苦労を掛けるが頼むぞ」

「いえ、ご恩を返しているだけなのでお気になさらず。では」


 そう言ってピエーロがお辞儀をして部屋を後にした後、王が誰も居ない部屋で一人愚痴る。


「全く、アイツも律儀なヤツだ……」


--------------------------------------------------


「お、やっと来たかピエちゃん!何話してたんだ?」

「すいやせん。最近の悪戯についてちょっとお説教されてたんでやす」

「あー確かにあれはやり過ぎだからなぁ……」

「しかし、アッシもピエロとしての職務を果たす為!涙を呑みつつ道化を演じさせていただきやす……!」

「にしては楽しそうだったが?」

「趣味も兼ねてますので……。所で坊っちゃん、作戦会議はどんな塩梅で?」

「ソレなんだけどさ、良く考えたら2人とも月華草がどんな物で何処にあるかも知らないだわ」

「あー……。言われて見ればそうでやしたね……」


 少し呆れつつもピエちゃんが月華草の説明を始める。


「月華草とはここから南に半日程歩いた崖底に群生する花でして、満月の夜にしか花を咲かせず。蕾の状態で摘み取ってしまうと枯れてしまうという何とも変わった特徴を持ってるんでやす」

「随分と面倒くさい花なんだな?」

「はい、面倒くさい花でやす。しかしその面倒くささを補う程に美しい花でもあるんでやす」

「そんなキレイなのか……。で、次の満月はいつなんだ?」

「明日でやす。そして姫の誕生日は明後日でやす」

「ふーん……。って明日!?てか姫様の誕生日も明後日!?」

「という訳なんで坊っちゃんには明日の朝イチで行って花を取ってきて貰う必要がありやす」

「まぁ、俺らも神殿の返事来るまで用事があるわけじゃないから良いけどさ……」

「まぁ、姫様への謝罪だと思って頑張りやしょう」

「そう言われると弱いな……。よし、頑張って取りに行きますか!」

「アッシも同行するんで頑張りやしょう。ところでさっきから気になってたんでやすが……」

「言うなピエちゃん……。久しぶりの飯に風呂、そしてふかふかのベッドだからしゃーない……!」

「ぐがー!しゅぴぴぴぴ……」

「随分と独特な寝息でやすな……」


 ミダスは寝てしまったがピエちゃんと翌日の段取りに付いて話し合い。明日に向けて俺も眠りに着く。ミダスのいびきはうるさかったがベッドはヤバイくらふかふかだった。

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