22.新スキルゲット!
「にしてもチート臭いなソレ」
昨日に引き続き俺たちは魔力拡張訓練も兼ねてダンジョンに来ていた。
「敵の硬さとか関係なしに消し飛んでるもんなぁ……」
「くれぐれも扱いには気をつけなさいよ?」
「分かってるよ。鞘も作って貰ったしな」
昨日町へ戻った後、鍛冶屋や魔導具屋で鍬について調べて貰ったのだが、何かしらの魔術的な効果がある事以外は素材も効果の詳細も知ることは出来なかった。そして剥き身のままだと危険だと言うことで鞘を作ったが正直周りの目が痛い。すれ違うやつ全員憐れむ目で見てくるのは流石にメンタル的にキツいのでなんとか対策を考えたいところではある……。
「そういえばジョンさんって結構魔力量があるんですね。サラさんより多いんじゃないですか?」
「みたいだな。まぁ俺は魔法使えないから宝の持ち腐れとしか言えんがな」
「【完全記憶】でしたっけ?それには魔力を使わないんですか?」
「多分使って無いとは思うが……。使ってたとしても記憶力が良くなるだけだし対して消費してないらろうな」
「なら本格的に魔法でも覚えてみれば?ジョンなら良い線行くと思うわよ?」
「って言われてもな。フリーターが魔法覚えて得するとは思えんのだが……」
「極めると魔法で皿洗いもできるみたいよ?」
「極めて皿洗いって……。手で洗った方が早いだろ……」
「まぁそうね、冒険者か特殊な職業じゃないとあんまり活躍しないモノね」
「一応コントロールが上手ければふとしたところで役立ちはするんですがね……」
「あのー!僕一人しか働いて無いんですがー!」
俺だけに働かせて三人はジョンの魔力量について話し合っていた。ジョン曰く魔法には興味が無いらしく覚える気も無いようだ。【完全記憶】と多めの魔力量があれば戦力アップするのは間違い無いが俺としては、俺以外全員魔法が使えるのは悔しいのでジョンにはぜひこのままで居てもらいたいものだ。
「よし、やっと七階の報酬部屋まで来たな」
昨日は鍬の予想外の性能にテンパり過ぎて全員忘れていたが、報酬だけでも取ってから戻ればよかったな。
「お、またお前金色の箱じゃねぇか?今度は危なくないモノで頼むぜ?」
「俺が決めてるもんでも無いしなぁ……」
「きっと良い物ですよ!」
「ホラ、さっさと開けなさいよ」
箱を開けるとやはり紙が入っていた。緊張しつつ文字を読むと今回も『大当たり(確変)』の文字が書かれている。
「どした?急に振り向いて」
「いや、昨日と同じ紙だったから今回も扉が出てくるんじゃないかと……」
昨日と同じ展開になりそうなので後ろの壁を凝視するも一向に扉が出現する気配は無い。
「特に何も起きないわね?」
「武器の次は防具かと思ったが、流石にそう上手く行くモンでも無いわな」
「でも昨日と書かれてることが同じなら何かしらは貰えるんじゃないですか?」
「ん~……。今回もハズレなのか……?」
流石に神様が嘘を吐くとは思えないが、今までの流れもあるしなぁ……。などと考えていると他の三人の視線に気付く。
「どうした?」
「お前、右手光ってるぞ?」
そう言い指差すジョンにつられ自分の右手を見ると手袋越しに分かるレベルで紋章が光っている。光は次第に熱を帯び強まって行く。
「熱っ!熱っ!水くれ水!」
最初は温かい程度だったが今では熱すぎる程に熱を帯びており、冷やす為の水をルシールから受け取ると光と熱が急速に失われていく。
「何だったんだ今の?」
『スキル:ヒール EX を獲得しました。インストールを開始しますか?』
「へ?」
聞き覚えの無い声に驚き周りを見渡すが俺たち四人以外は見当たらない。
「今何か聞こえなかったか?」
「いや?お前が熱いって騒いでる以外には誰も喋ってないぞ?」
「えー?絶対何か声がし……」
『スキル:ヒール EX を獲得しました。インストールを開始しますか?』
「ほら!絶対今誰か喋ったって!」
「いえ、特に声は聞こえなかったと思います……」
「は?」
「どうした?ついに頭やられたか?」
『スキル:ヒール EX を獲得しました。インストールを開始しますか? インストールを行わない場合スキルは消滅します』
声は俺にしか聞こえないようで他の三人はキョトンとするばかりだ。てかインストールってなんだ?服の名前か?
『スキル:ヒール EX を獲得しました。インストールを開始しますか? インストールを行わない場合スキルは消滅します。残り180秒です』
「分かった分かった!とりあえずそのいんすとーる?っての頼むわ!」
「急に大声で何を……」
取り合えす貰えるなら貰っておこう。そんな軽い気持ちで俺にしか聞こえない声にそう返事をした瞬間、脳をかき混ぜたような激しい頭痛に襲われる。
「ぐっ!!ぎぃ!!」
「お、おい!マジで大丈夫か!?」
「ちょっと!どうしたってのよ!?」
『インストールを完了しました。プログラムを展開します』
頭痛に悶えていると声が脳内に響き、同時に頭痛が収まる。頭痛が収まり息を整えてると何かを理解する。
「何か俺、スキル貰ったっぽい?」
「は?急に苦しみ出したと思ったら何を……」
「ちょっと見といてくれ」
そう言ってジョンのナイフで自分の手を切る。
「ちょっと何してんのよ!?」
「良いから良いから。【ヒール】」
突然自分の手を切る俺に取り乱すサラを静止し、先程理解したスキルを使う。スキルを使用すると傷が少し発光し、またたく間に回復する。
「何かさっき変な声がして『ヒール EX』?ってのが使えるようになったらしい」
「宝箱の中身はスキルだったってワケ?そんなの聞いた事無いわよ?」
「いえ、前例は少ないですが目覚ましい活躍をした冒険者の中にはダンジョンの報酬でスキルを授かった人も居ると聞いたことがあります」
「もしかして俺も英雄の仲間入りってことか?」
「EXって言うくらいだしかなり特殊なスキルなのかも。もしかするとホントに凄い冒険者になれるかもしれないわね」
「だってよジョン。お前と差開いちまったな?」
「…………」
「ジョン?」
ジョンを煽ってみるも返事が無いので顔を見るとなにやら考え事をしている様だ。
「ジョンさんや?フリーターのジョンさんや?」
「ん?あぁスマン。考え事してたわ」
「超特別なスキル貰ったからお前と差開いちまったって話だったんだけど。ジョンさんの感想が聞きたいナー」
「って言われても俺だってユニークスキル持ってるしな。てかさ……」
「おん?」
「お前元々回復系のスキル持ってるし被ってね?」
「あっ……」
そういえば最近使って無かったから忘れてたが、左手の紋章から授かったスキルも回復だったわ。
「まぁ、ご愁傷さま」
「同じ役割でも無いより合った方が便利だと思うし、気落とさないで。ね?」
「その、ドンマイ……です」
「ちくしょぉぉぉぉぉ!」
スキルが被ったりもするけれど、私は元気です。




