2.どこか、自分と似ている。
ランキング、頑張ってます!
面白いと思っていただけましたら、あとがきまで!!
「ギルド最強の剣士、って?」
「ははは! 謙遜しなくていいぞ? 先日、そこにいる少年から聞いたからな!」
「………………」
なにやら身に覚えのない称号に、首を傾げて訊ねる。
するとクラディオ・リーディンと名乗った青年剣士は、胸を張って笑いながらカオンのことを見た。それを追いかけるようにして俺が見ると、少年は目を背ける。
どうやら、勝手に俺の剣の腕を言い触らしていたらしい。
師匠呼びといい、この一件といい。
一度、カオンとはしっかり話し合う必要がありそうだった。
「ところで、私との決闘は受けてくれるかな?」
「あー、それなんだけど……」
クラディオの言葉に、俺は少し難色を示しつつ訊ねる。
「その前に、どうして貴族様がここにいるのか、それを教えてくれ」――と。
リーディン家といえば、騎士を輩出することで有名な家系だった。
そこの嫡男だというクラディオ。
そのような人物が、どうして冒険者ギルドにいるのか。
俺が疑問を呈すると彼は、少し考えたようにしてからこう言った。
「……ふむ。まぁ、良いだろう」
一つ頷いてから。
「私はいま、とある男を超えるために武者修行をしているのだ!」――と。
◆
「武者修行、ねぇ……?」
「どういうこと、なのでしょうか」
俺はダンジョンを歩きながら、そう呟いた。
すると、隣にいるカオンも不思議そうに首を傾げる。どうやら、この少年もクラディオの口にした言葉に違和感を覚えているようだった。
だがしかし、俺はそんなカオンにも違和感を抱いたが……。
「まぁ、それは良いか」
ひとまず、クラディオのことが優先だろう。
そう思って考えを戻した。
「カオンは、どこまで知ってる? リーディン家のことについて」
「リーディン家、ですか?」
「そうだ」
訊ねると、少年はしばし考えてから答える。
「えっと、ガリア二大騎士貴族のリーディン家、ですよね? ――クレファス家には及びませんが、おおよそ名門と呼んで遜色ないかな、と」
「あぁ、そうだな。千年以上の歴史を持つ、大貴族の家系の嫡男がクラディオ。でも、どう考えてもおかしいんだ」
「そうですね。どうして、あの方は――」
――わざわざ、冒険者に勝負を挑むのでしょうか。
俺の考えを察してだろう。
カオンは、首を傾げながら言った。
少年の指摘する通り。
クラディオ・リーディンといえば、俺が学園生だった頃にも耳にしたことのある名前。二つほど学年が上で、クレファス家嫡男に次ぎ2位の成績で騎士となったはずだった。
それほどの人物がどうして、卒業後にこのような行動を取っているのか。
考えれば考えるほど、疑問が浮かんでくる。
ただ、一番のそれといえば――。
「どうして、あんな焦った目をしている……?」
俺を見るクラディオの瞳。
そこには、なにかに囚われているような動揺が見えた。
本人も理解しているのか、それは分からない。だが、彼から感じられたのは自信以上の焦燥感に他ならなかった。
そんな違和感があったから、だろうか。
「まぁ、戦えば理由を聞けるか……」
俺はクラディオとの決闘を承諾していた。
日取りは明後日の昼。
それまでに、彼について分かることがあれば良いのだが……。
「あの、師匠……」
「ん? どうした、カオン」
そう思っていると、不意にカオンがこう訊いてきた。
「どうして、そんなにクラディオさんを気にするんですか?」
「あぁ、それは――」
俺はそれに、誤魔化すように答える。
「……ま、ちょっと前まで似たような感じだったからな」――と。
少し、気がかりなのだ。
どこかあの男は、少し前の俺と似ているような気がして……。
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