1.リーディン家の嫡男。
ここから第1章です。
あれ、クラディオ・リーディンってどこかで……?
あとがきもよろしく!
「師匠! 今日は、どんなクエストを受けますか!?」
「あー、カオン……? 少し気になるんだけどさ」
「え、どうしました。師匠?」
子犬だとすれば尻尾を振っているような少年こと、カオン。
そんな彼に、俺は思わず苦笑いしながらこう訊いた。
「いや、いつ俺は師匠になったんだ……?」
『師匠』と呼ばれるようになって、かれこれ一週間。
最初は何かの冗談だと思っていたのだけれど、どうやら少年は本気の様子だった。正直なところ、師匠扱いはむず痒くて仕方ない。
なので、早急に取り下げてもらいたかった。
しかし――。
「そんなの些末なことです! ボクは、ダンさんについて行こうって決めたんですから! 師匠は師匠なんです!!」
「………………」
無垢で純粋な眼差しが、眩しい。
「お、おう……」
だから思わず、俺は頬を掻きながら肯定してしまった。
こうなったら本人の気が済むまで、放置するしかなさそうだ。俺はそう思って、ふっと息をつく。そして、周囲を何気なく見回した。
ギルドの談話室では、多くの冒険者たちが意見や情報を共有している。
密集している、というほどではないが盛況だ。
「ひとまず、カオンの実力も分かったし。次は――」
そう考えながら、今後の方針を定めようとした。
その時だ。
「この中に、ダンという少年はいないか!!」
「……ん?」
強く、談話室の扉を開きながら。
そんな風に俺の名前を口にする者が現れたのは。
「なんだ……?」
距離がある。
俺は、少し様子をうかがうことにした。
そうすると、その男性はこう名乗りを上げる。
「私の名は、クラディオ・リーディン! 名門貴族の嫡男である!!」
その男――クラディオは、豪快な言葉遣いで言った。
「このギルド最強の剣士、ダンと手合わせしたい!!」――と。
……は?
思わず面食らってしまう。
しかし、そうしている間にも周囲の視線が俺に集まった。それによってクラディオも、俺が件の相手だと察したらしい。
大股歩きで接近してきて、上から目線な態度でこう宣言した。
「いざ尋常に! 最強剣士の名を懸けて、勝負だ!!」
「はぁ……?」
ついつい、そんな返答をしてしまう。
これが、クラディオ・リーディンとの出会い。
世界最強の剣士を志す男。
そんな彼との、ひと悶着が始まった瞬間だった。
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