表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/7

3.二人でダンジョンへ。

この流れ、どこかで見たような……?(意図的


あとがきもよろしく!!








「ところで、カオンは何が得意なんだ?」

「え、ボクですか……?」



 ――翌日のこと。


 ギルドで待ち合わせた俺とカオンは、ダンジョンに向かいながらそんな話をしていた。というのも、俺自身はなんでもできるが、この少年の得意を知らないと作戦が立てられない。そうなってくると、どこをカバーすれば良いのか分からなかった。



「えっと……」



 しかし、カオンは何故か口を噤んでいる。

 表情はどこか暗く、後ろめたいことがあるようなものだった。



「あ、あはは! ボクは、あまり得意なことがなくて……!」

「ふーん。そうか、それなら――」



 だが、どこか無理に明るくそう言ったので。

 俺はあえて深く詮索せずに、腰元から短剣を取り出して彼に渡した。



「これを使えよ。せめて、護身用だ」――と。



 こんなこともあろうかと、合流前に購入したものだ。

 俺よりも一回り身体の小さなカオンが持つと、普通の剣のようにも見える。そんな得物をまじまじと見つめて、少年は俺にこう言った。



「あの、本当に良いんですか……?」

「ん? だって、丸腰でダンジョンに入るわけにはいかないだろ」

「それはそうなんですけど。えっと……」

「…………ん?」



 こちらが首を傾げる。

 するとカオンは、短剣を握りしめた。



「いいえ。やっぱり、なんでもないです……!」



 そして、そう笑うのだ。

 どうしたというのだろうか、まるで分からない。

 俺はもう一つ首を傾げてしまうが、ひとまずダンジョンに到着したので話題を変えることにした。



「さて、それじゃ――」



 今日の標的は『アレ』にしよう――と。







 ゴレムは、高い物理耐久を持った魔物だ。

 動きこそ緩慢だが、その腕から放たれる攻撃は破壊力満点。喰らえば即死。掠っただけでも、その部位は吹き飛ばされるに違いなかった。


 倒すには魔法が必須。

 俺がこの魔物を選んだ理由は一つ、カオンの動きを見たかったから。



「防御魔法は常に展開する。だからカオン、囮を頼めるか?」

「は、はい……!」



 無論、安全に配慮して、だ。

 そのことに安堵したのか、少年は緊張しながらも頷いた。

 あとは時間稼ぎしてもらっている間に、こちらが魔法を叩きこめばいい。今回はあくまで、トライアル的なもの。

 そう考えて、俺はカオンを送り出した。



「よし、行くぞ……!」



 前方には一体のゴレム。

 カオンを認めたそいつは、その拳を振り上げた。

 だが、少年の動きは想像以上に速い。ゴレムの後方に素早く回り込んだカオンは、注意を引くようにして小石で音を鳴らした。



「へぇ……?」



 これは、想定外。

 それほど期待をしていなかった。

 そう言ってしまえばカオンに失礼だが、正直な感想がそれだ。



「カオン……どこかで、戦闘訓練を受けたことがあるのか?」



 少なくとも、素人の動きではない。

 それが分かればもう、様子を見る必要はないだろう。

 そう考えて俺はゴレムに下級魔法である【ファイア】を叩きこんだ。



「大丈夫か? カオン」

「あ、はい! お疲れ様です!!」



 一瞬にして蒸発したゴレム。

 俺が声をかけると、少年は安心したように笑った。

 やっぱり、普通の子ではない。そう、思った時だった。



「ん……?」

「どうしたんですか、ダンさん?」



 俺は周囲の気配の変化に気付く。

 そして――。



「どうして、こんな浅い階層にいるんだかな……」



 そう、漏らした。

 こちらの言葉でカオンも気づいたらしい。

 俺たちの周囲に、この場にそぐわない気配があることを。




「【レライエ】……か」




 ――スケルトンの王。


 魔法攻撃の一切効かない、馬鹿げた魔物の出現。

 カオンが腰を抜かす隣で俺は、静かに息を整えるのだった。



 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!



もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより評価など。

創作の励みとなります。


応援よろしくお願いします!!


<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ