3.二人でダンジョンへ。
この流れ、どこかで見たような……?(意図的
あとがきもよろしく!!
「ところで、カオンは何が得意なんだ?」
「え、ボクですか……?」
――翌日のこと。
ギルドで待ち合わせた俺とカオンは、ダンジョンに向かいながらそんな話をしていた。というのも、俺自身はなんでもできるが、この少年の得意を知らないと作戦が立てられない。そうなってくると、どこをカバーすれば良いのか分からなかった。
「えっと……」
しかし、カオンは何故か口を噤んでいる。
表情はどこか暗く、後ろめたいことがあるようなものだった。
「あ、あはは! ボクは、あまり得意なことがなくて……!」
「ふーん。そうか、それなら――」
だが、どこか無理に明るくそう言ったので。
俺はあえて深く詮索せずに、腰元から短剣を取り出して彼に渡した。
「これを使えよ。せめて、護身用だ」――と。
こんなこともあろうかと、合流前に購入したものだ。
俺よりも一回り身体の小さなカオンが持つと、普通の剣のようにも見える。そんな得物をまじまじと見つめて、少年は俺にこう言った。
「あの、本当に良いんですか……?」
「ん? だって、丸腰でダンジョンに入るわけにはいかないだろ」
「それはそうなんですけど。えっと……」
「…………ん?」
こちらが首を傾げる。
するとカオンは、短剣を握りしめた。
「いいえ。やっぱり、なんでもないです……!」
そして、そう笑うのだ。
どうしたというのだろうか、まるで分からない。
俺はもう一つ首を傾げてしまうが、ひとまずダンジョンに到着したので話題を変えることにした。
「さて、それじゃ――」
今日の標的は『アレ』にしよう――と。
◆
ゴレムは、高い物理耐久を持った魔物だ。
動きこそ緩慢だが、その腕から放たれる攻撃は破壊力満点。喰らえば即死。掠っただけでも、その部位は吹き飛ばされるに違いなかった。
倒すには魔法が必須。
俺がこの魔物を選んだ理由は一つ、カオンの動きを見たかったから。
「防御魔法は常に展開する。だからカオン、囮を頼めるか?」
「は、はい……!」
無論、安全に配慮して、だ。
そのことに安堵したのか、少年は緊張しながらも頷いた。
あとは時間稼ぎしてもらっている間に、こちらが魔法を叩きこめばいい。今回はあくまで、トライアル的なもの。
そう考えて、俺はカオンを送り出した。
「よし、行くぞ……!」
前方には一体のゴレム。
カオンを認めたそいつは、その拳を振り上げた。
だが、少年の動きは想像以上に速い。ゴレムの後方に素早く回り込んだカオンは、注意を引くようにして小石で音を鳴らした。
「へぇ……?」
これは、想定外。
それほど期待をしていなかった。
そう言ってしまえばカオンに失礼だが、正直な感想がそれだ。
「カオン……どこかで、戦闘訓練を受けたことがあるのか?」
少なくとも、素人の動きではない。
それが分かればもう、様子を見る必要はないだろう。
そう考えて俺はゴレムに下級魔法である【ファイア】を叩きこんだ。
「大丈夫か? カオン」
「あ、はい! お疲れ様です!!」
一瞬にして蒸発したゴレム。
俺が声をかけると、少年は安心したように笑った。
やっぱり、普通の子ではない。そう、思った時だった。
「ん……?」
「どうしたんですか、ダンさん?」
俺は周囲の気配の変化に気付く。
そして――。
「どうして、こんな浅い階層にいるんだかな……」
そう、漏らした。
こちらの言葉でカオンも気づいたらしい。
俺たちの周囲に、この場にそぐわない気配があることを。
「【レライエ】……か」
――スケルトンの王。
魔法攻撃の一切効かない、馬鹿げた魔物の出現。
カオンが腰を抜かす隣で俺は、静かに息を整えるのだった。
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