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2.仲間になりたい少年。

今日はここまで(*‘ω‘ *)

明日からは、しばらく2話投稿かな。


あとがきもよろしくっす!







「これは、どういうことだ。どこから奪った?」

「いや、自分で魔物を倒したんだ」



 ギルドに戻って魔素の欠片を提出すると、驚かれると同時に疑われてしまった。それもそのはず、最低のFランク冒険者が大量の魔素を持ち帰ったのである。

 何かしらの不正を行ったと、そう思われるのも不思議ではなかった。


 俺としては無実を証明する手段もない。

 だから、今回は受け入れられなくとも仕方ない、そう思っていた。



「あの、ボク見ました……!」

「ん……?」



 その時だ。

 どこか怯えたような声が、後方から聞こえてきたのは。

 振り返るとそこには、長い黒髪をした細身の少年が立っていた。



「あぁ、キミか。しかし、見たというのは?」

「ボクも近くにいたんです! そしたら、この方が巨大なドラゴンを魔法で吹き飛ばすのを見たんです!!」



 彼は必死に声を振り絞る。

 そして、俺の無実を主張するのだった。



「ふむ……」



 それを受けて。

 受付の男性も顎に手を当てて、何かを考え込んでいた。

 ちらり、俺の顔を見て。最後に大きなため息をつく。そして――。



「はぁ……。上にどうやって報告すればいいんだ、まったく」



 そう、認めるような発言をするのだった。

 結果的に、魔素は金貨二十余枚に換えられることとなる。受付の男性が奥に消えるのを確認してから、声をかけてきたのは先ほどの少年だった。



「あ、あの……!」

「あぁ、ありがとうな。えっと……?」



 こちらが礼を言うと、彼は大きく首を左右に振る。

 その上でこう名乗るのだった。




「ボクの名前は、カオンです! その――」




 強く、拳を握りしめながら。




「ボクと一緒に、パーティーを組んでください!」――と。




 





 カオンと名乗った少年は、一人で活動している冒険者、とのことだった。

 自分より明らかに年下であり、小柄で頼りない彼がソロとは、いささか信じられない話だ。しかしそれも、この稼業ならではというところなのか。

 俺は自分の名前を告げて、ひとまず食事を摂ろうと提案した。



「ところで、パーティーを組みたい、って話だったけど?」

「は、はい!」



 そして、ギルド併設の酒場へ。

 席に着いてから話を戻すと、カオンはやや力の入った様子で言った。



「もし、ダンさんの都合が良ければ、ご一緒したいです!!」



 両拳を胸の前で握りしめて。

 少女のような顔立ちのカオンは、瞳を潤ませていた。

 しかしながら、俺にはその理由が分からない。だから訊ねた。



「でも、どうして俺と……?」

「あはは……」



 すると少年は、苦笑いしつつ頬を掻く。

 そして、こう言うのだった。



「貴方と一緒なら、その……」



 だが、瞳の奥には確固たる決意を秘めたように。




「ボクも誰かを守れるくらい、強くなれるのかな……って」




 俺はカオンの目を見て、眉をひそめた。

 それと同時に思う。




「ふーん……?」




 ――この少年は、学園時代の俺と似ている、と。



 誰かに認められたい。

 誰かを見返したい。



 そんな、強い反骨心を秘めていると。

 だからこそ、俺にはもう断る理由がなかった。




「分かった。それなら、よろしくな……カオン」

「…………はい!」




 俺が答えると、カオンは晴れやかな顔で頷く。




 孤独だと思っていた。

 ファーシードを捨てたその日、俺は新たな仲間を得たのである。



 


面白かった

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