2.仲間になりたい少年。
今日はここまで(*‘ω‘ *)
明日からは、しばらく2話投稿かな。
あとがきもよろしくっす!
「これは、どういうことだ。どこから奪った?」
「いや、自分で魔物を倒したんだ」
ギルドに戻って魔素の欠片を提出すると、驚かれると同時に疑われてしまった。それもそのはず、最低のFランク冒険者が大量の魔素を持ち帰ったのである。
何かしらの不正を行ったと、そう思われるのも不思議ではなかった。
俺としては無実を証明する手段もない。
だから、今回は受け入れられなくとも仕方ない、そう思っていた。
「あの、ボク見ました……!」
「ん……?」
その時だ。
どこか怯えたような声が、後方から聞こえてきたのは。
振り返るとそこには、長い黒髪をした細身の少年が立っていた。
「あぁ、キミか。しかし、見たというのは?」
「ボクも近くにいたんです! そしたら、この方が巨大なドラゴンを魔法で吹き飛ばすのを見たんです!!」
彼は必死に声を振り絞る。
そして、俺の無実を主張するのだった。
「ふむ……」
それを受けて。
受付の男性も顎に手を当てて、何かを考え込んでいた。
ちらり、俺の顔を見て。最後に大きなため息をつく。そして――。
「はぁ……。上にどうやって報告すればいいんだ、まったく」
そう、認めるような発言をするのだった。
結果的に、魔素は金貨二十余枚に換えられることとなる。受付の男性が奥に消えるのを確認してから、声をかけてきたのは先ほどの少年だった。
「あ、あの……!」
「あぁ、ありがとうな。えっと……?」
こちらが礼を言うと、彼は大きく首を左右に振る。
その上でこう名乗るのだった。
「ボクの名前は、カオンです! その――」
強く、拳を握りしめながら。
「ボクと一緒に、パーティーを組んでください!」――と。
◆
カオンと名乗った少年は、一人で活動している冒険者、とのことだった。
自分より明らかに年下であり、小柄で頼りない彼がソロとは、いささか信じられない話だ。しかしそれも、この稼業ならではというところなのか。
俺は自分の名前を告げて、ひとまず食事を摂ろうと提案した。
「ところで、パーティーを組みたい、って話だったけど?」
「は、はい!」
そして、ギルド併設の酒場へ。
席に着いてから話を戻すと、カオンはやや力の入った様子で言った。
「もし、ダンさんの都合が良ければ、ご一緒したいです!!」
両拳を胸の前で握りしめて。
少女のような顔立ちのカオンは、瞳を潤ませていた。
しかしながら、俺にはその理由が分からない。だから訊ねた。
「でも、どうして俺と……?」
「あはは……」
すると少年は、苦笑いしつつ頬を掻く。
そして、こう言うのだった。
「貴方と一緒なら、その……」
だが、瞳の奥には確固たる決意を秘めたように。
「ボクも誰かを守れるくらい、強くなれるのかな……って」
俺はカオンの目を見て、眉をひそめた。
それと同時に思う。
「ふーん……?」
――この少年は、学園時代の俺と似ている、と。
誰かに認められたい。
誰かを見返したい。
そんな、強い反骨心を秘めていると。
だからこそ、俺にはもう断る理由がなかった。
「分かった。それなら、よろしくな……カオン」
「…………はい!」
俺が答えると、カオンは晴れやかな顔で頷く。
孤独だと思っていた。
ファーシードを捨てたその日、俺は新たな仲間を得たのである。
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