1.最底辺の始まり。
今日はもう一話!
あとがきもよろしく!!
「あの世代の1位だって? ――ははは。悪いけど、役立たずはお呼びじゃないんだよ。冒険者も簡単じゃないんだ」
「だったら、最低ランクから開始でも良い。薬草でも集めるさ」
「ふむ。そこまで言うなら、まぁ……」
簡単な手続きを終えて、俺は冒険者となった。
王都立学園での成績を見せたら、受付の男は失笑気味にそう言っていたが。どうやらここでも、俺の世代の評価は低い様子だった。
――史上最低の世代。
あるいは、不毛の世代と呼ばれた俺たち。
たしかに同学年の奴らは、本当に王都立学園に入学できたのが不思議に思える、そんな凡庸な生徒ばかりだった。いや、決して才能がないわけではない。
ただ言えるのは、天才と呼べる存在が皆無だったのだ。
「学園時代には結局、俺と張り合える奴は現れなかった」
剣技、魔法、体術――その他、座学においても。
だから俺も本気を出すわけにはいかなかった。もし本気で戦ってしまえば、そいつらに深手を負わせてしまう。それは火を見るよりも明らかだった。
だが、そのことを理解する者もいなかったのだ。
「別に、図に乗ってるわけじゃない。俺は――」
ただ、真っ当に評価されたかった。
そして自分の力を存分に、何の制限もなく発揮したかった。
「まぁ、冒険者になれば好き勝手に暴れられる。それじゃ、早速……」
薬草集めなんか、してたまるか。
俺はギルドを出てすぐに、その足でダンジョンへと赴いた。
◆
「最低限の物しか持ってこなかったからな。剣もロッドもない。それでも最低限の魔法は使えるだろうし、問題はないな」
ダンジョンを進みながら、俺はそう確認した。
そして、手頃な魔物を探す。
すると間もなく、姿を現したのは――。
「これくらいなら、大丈夫か」
身の丈五メイルは超えようか、というドラゴン。
分厚い鱗によって守られた巨躯を揺らし、そいつは俺を認めた。そしてすぐに、獲物と判断したのだろう。咆哮を上げると、その大きな口から【ブレス】を吐いた。
岩をも溶かすその熱量を前に。
しかし、俺は回避行動を取ることはなかった。
右手を前に突き出して、静かに詠唱を口にする。すると――。
「防御魔法は、問題ないな」
目の前に魔法陣が展開され、獄炎を左右に分断した。
ドラゴンは想定外の出来事に逡巡しているようで、だがすぐに第二撃を放とうと体勢を整える。俺はその大口目がけて、今度は左手をかざした。
そして――。
「爆ぜろ――!」
一言、そう呟く。
その直後に、ドラゴンの口内が爆裂した。
断末魔が響き渡り、魔物の上半身が消し飛ぶ。魔素の欠片へと還っていく敵を見送って、俺は静かに息をついた。
そして、学園時代には得られなかった手応えに震える。
そう、これだった。
俺の求めた戦いは、これに違いなかった。
「よし……! これなら、思う存分に戦える!!」
ひとまず、換金アイテムである魔素の欠片を拾い集めて。
俺は一路ギルドへ向かうのだった。
◆
「あの人、すごい……」
そんなダンの姿を岩の陰から見る人物がいた。
小柄で細身なその者は、彼の魔法の威力に目を丸くする。
「…………あの人と一緒にいれば、ボクも……」
そして、そう呟き頷くのだった。
面白かった
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